第2話
咲き誇る可憐な花のような人になってほしいという願いを込めて、
まあ、気に入ってはいる。ただ、私が好きな物を好きと言うには少し恥ずかしい名前だった。
だから恥ずかしくない理解してもらえる物を好きだと言って生きてきた。
でも、もうそんなことをするのは飽きた。
テレビの中のあの人は好きな物を堂々と好きだと言っているのに。近所のお姉さんは毎日好きな服を着て大学に通っているのに。親戚の中には好きなことを仕事にしている人もいるのに。隣の席のあいつは今日も大好きな推しについて熱弁していたのに。
私だって好きだって言いたい。レースの着いたワンピースも、光沢のあるブーツも、テディベアみたいなブルゾンも、甘い匂いのするインクのペンも、リボンがかわいいポーチも。スポーティーなパーカーも、厚底のスニーカーも、ダメージ加工の入ったジャケットも、模様のないシンプルなペンも、真っ黒なクロスボディバッグも。
それだけじゃない。お菓子作りも好きだけど、アニメを観たりゲームをしたりするのも好きだって。ピアノを弾くのと同じくらい、運動するのも好きだって。習い事のバレエも好きだけど、学校の授業でやったダンスも楽しくて好きだったって。
だから、お願い。『かわいい私』じゃなくても私を理解して受け入れて。
私らしいとか、イメージとかで片付けないで。
私自身をちゃんと見てほしい。
じゃないと私まで私を嫌ってしまいそうになるから…。
誰かに受け入れてもらえなくても、私だけは私を好きでいたい。いつでも私は、私の味方でいてあげたい。
明日からも私が私を好きでいるために。
私が私を好きでいるために 七瀬みちる @nanase_michilu5
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