感想No. 1:キ・ス・リ・ハ ~共演者は、学校イチのモテ男子!? ないしょの放課後リハーサル~/pico(福山典雅さん推薦)
「お勧め、読んでみた!」コーナー第1弾は、福山典雅さんのお勧め作品です! 2024年10月26日にカドカワ読書タイムから発売された、カクヨム発のpicoさん作『キ・ス・リ・ハ ~共演者は、学校イチのモテ男子!? ないしょの放課後リハーサル~』(略して『キスリハ』)を取り上げます。
======
【書籍版】
pico、『キ・ス・リ・ハ ~共演者は、学校イチのモテ男子!? ないしょの放課後リハーサル~』、カドカワ読書タイム、東京:KADOKAWA、2024年。208頁。
書籍情報:https://kakuyomu.jp/publication/entry/9784046842954
【カクヨム版】
タイトル:キ・ス・リ・ハ ──同級生とキスシーンを演じることになりました。
作者:pico
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330656094551153
ジャンル:恋愛
話数:7話(2024/11/2現在)
文字数:11,880文字(2024/11/2現在)
投稿状態:完結済
セルフレイティング:なし
【紹介記事】
福山典雅さんの近況ノート「緊急速報 福山報道スペシャル(笑)( ;∀;)」(2024/10/26)
https://kakuyomu.jp/users/matoifujino/news/16818093087451078769
======
カクヨム投稿作品でも恒例の粗筋ですが、粗筋でネタバレはしたくないので、書籍情報ページの紹介文とほとんど同じになってしまいました。すみません。
【粗筋】
中学1年生の
内緒のキスリハから始まる、胸がキュンとする眩しくて甘い初恋のお話です!
*****
『キスリハ』のことは、発売当日の福山典雅さんの近況ノートで知りました(と言っても読んだのは後日になってしまったのですが)。福山さん独特のユーモアを交えた「福山報道スペシャル」の実況中継で紹介されていてとても気になったので、すぐにカクヨム版を読み、その日のうちに書籍版も購入しました。私が購入したのは電子書籍ですが、もちろん紙の単行本もあります。
『キスリハ』は、「長編児童向けノベルの種」になる短編小説を募集した「カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト」(2023年4月26日〜6月4日募集)の溺愛部門で優秀賞を受賞した作品です。
本エッセイでも都度都度述べてきましたが、私は児童小説執筆にも関心があります(ドロドロ愛憎劇好きなのに?というツッコミもあるかもしれませんが)。どれだけシンプルな描写で物語を組み立てられるのか、筆力が試されるので、挑戦してみたいジャンルです。
「カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト」最終選考結果の記事(2023年9月):
https://kakuyomu.jp/contests/dokusho_time_2023
本作のタイトルを見て、まず『キスリハ』というネーミングがドンピシャではまっていると思いました。とてもうまいネーミングでセンスを感じました。
『キスリハ』を読んでいる間、ドキドキ胸キュンが止まりませんでした。年頃の子達特有の初心でムズムズな展開の描写が巧みで、はるか昔(汗)に私にもあった青春を追体験させてもらえました。特に「はじめて触れたくちびる」の感覚描写に胸がときめきまくって、まさに「お腹のあたり」がうずうずとなりました。
作中(特に書籍版)には、初々しい恋やみずみずしい青春に関連するアイテムやイベントが色々と散りばめられていて話を盛り上げてくれました。例えば、劇中劇が切ない恋愛を扱っていて、すごく私の好みにはまっていただけでなく、柚月と絢斗の恋の発展にも寄与していました。また、女の子への誕生日プレゼントとしてはアクセサリーが安直に思い浮かぶのですが、書籍版で絢斗が柚月への誕生日プレゼントとして選んだ物が『キスリハ』のドキドキ感を効果的に盛り上げてくれました。
カクヨム版の最後は絢斗と柚月の関係がこれから発展していきそうなすごくいい所で終わっていて書籍版で続きを読みたくなりました。書籍版でも期待通りに柚月と絢斗は胸キュンキュンさせてくれましたが、すぐに溺愛ラブラブカップルになるのではなく、一気に距離感を詰めていかない・詰められない焦れ焦れな展開が挟まれていて単行本1冊、ドキドキしながら飽きずに最後まで読めました。
【カクヨム版と書籍版の比較】
書籍版では、「キス」がタイトルに入っている章もあって、試し読みをする際によりキャッチーになっていると思いました。
キスシーンでいくつか挿絵もあって、キャーと気分が盛り上がりました! やっぱり挿絵があるといいですね。かわいい絵柄も内容に合っています。
児童書なので、書籍版の振り仮名はカクヨム版より増えています。私にはカクヨム版程度のほうが見やすいですが、対象年齢の関係上、避けられないので仕方ありません。
私は最近、視点の統一や選択に迷っているので、『キスリハ』はどうなっているのかなと興味深く拝見しました。カクヨム版では3人称一元(柚月)、最後の番外編だけ絢斗視点でした。書籍版では柚月の視点と絢斗の視点が場面場面でタイミングよく切り替えられていて見習いたいと思いました。
原作が短編なので、もちろん書籍版は表現上も内容的にもボリュームアップしています。カクヨム版(最後の番外編を除く第6話まで)が書籍版の第1章に当たり、その続きは書籍版の第2章以降で読めます。カクヨム版と書籍版で重複している部分では、表現がちょっと変えてある箇所が所々あり、描写や内容がブラッシュアップしていて深みが出ています。特にカクヨム版では美術室に鍵がかかっていたのにどうやって絢斗が入って来れたのかなと思ったんですが、書籍版ではそのくだりがカットされていて納得しました。
絢斗が柚月を元々好きだった背景や、柚月が内気でネガティブな性格になったきっかけの「過去の出来事」はカクヨム版では分かりませんでしたが、書籍版で期待通り、明かされました。その一方で、絢斗がその想いを持ち続けられた理由や、柚月が所属事務所社長の
カクヨム版への私のレビューはこちら:
https://kakuyomu.jp/works/16817330656094551153/reviews/16818093088408778334
【短編から長編へ】
『キスリハ』は短編から単行本1冊分に加筆されて刊行されたわけですが、今月29日スタートのカクヨムコンテスト10【短編】で新設されたカクヨムネクスト賞受賞作品には、同じ未来が待っています。2024年10月24日の『カクヨムからのお知らせ』によると、受賞作品の短編はカクヨムネクストで連載する長編のプロトタイプとなるそうです。
「【カクヨムコン10】カクヨムネクスト賞が求める作品は? 編集者にも聞いてみた!」(2024/10/24)
https://kakuyomu.jp/info/entry/webcon10_next01
2024年11月8日にDiscordで開催されたイベント「ロシデレ担当編集者に聞く、短編→長編メソッド」でも、正に短編から長編へ加筆する手法について事前質問がありました:「①短編に肉付けし同じストーリーを文庫1冊にする」、「②短編に続きを加筆し文庫1冊にする」のどちらがお勧めかという質問です。角川スニーカー文庫編集長宮川氏の答えを端的に言えば、どちらもありだそうで、作家さんの意図と編集者さんの戦略次第、双方が意見交換して決めればいいとおっしゃっていました。
「【11/8(金)Discord開催】ロシデレ担当編集者に聞く、短編→長編メソッド」(2024/10/31)
https://kakuyomu.jp/info/entry/webcon10_next02
上記の10月24日の『カクヨムからのお知らせ』によれば、カクヨムネクスト賞の新設の趣旨は、「原石」(短編)を編集者とともにヒット作へと磨いていくことだそうです。そんなことが出来たら、とてもいい経験になりそうなので、私もぜひ挑戦してみたいです。
【追記2024/12/01】
作者のpicoさんが当記事へのコメントと近況ノートで書籍化の舞台裏を可能な範囲で教えてくださっています。ぜひご覧下さい。
私としては、児童書なので単行本でも最大208頁で6万5千字ということと、担当の編集者さんが伏線回収をあまり気にしていないような反応をしていたことが興味深かったです。後者ももしかしたら児童書なので、あまり複雑な話にしないようにということなのかもしれません。担当の編集者さんは「絢斗が柚月を好きになったきっかけは、絶対入れて」と言っていたそうですが、私もそれはカクヨム版を読んだ時に知りたい!と思っていました。
picoさんの近況ノート「声にならないさけびとなって。」(2021/11/20)
https://kakuyomu.jp/users/kajupico/news/16818093088961535363
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます