第35話 エピローグ2
俺の言葉を聞いた浩輔の、いつもは鋭く見える瞳が見開かれる。次の瞬間、俺の頬をがばっと掴むと唇を押し付けられた。
ああ、人工呼吸と違うキスだ。
浩輔の柔らかい唇が俺の口を何度も啄み、熱い舌が俺の唇を舐めるように動き出してからは、何も考えられなくなる。
カズマが俺を好きだと言ってくれた。
浩輔はもうそれだけで胸がいっぱいになる。鼻の奥がツンとして、涙が出そうだった。
でも次に来たのは情欲だった。欲しい。今すぐカズマが欲しい。
横向きのまま両手を上げ、カズマの頬に触れた瞬間、自分の唇はカズマの唇に襲いかかっていた。
柔らかく小さいカズマの唇に、自分の唇を何度も押し付けては離して感触を味わい、吸う。
上の唇、下唇と順番に触れ、唇の周りも全てに自分の唇を滑らせた。
足りない。唇全てに触れたら余計、中に触れたくなっている。
早く、カズマの唇全てを口腔全てを自分の物にしたくて、浩輔は舌で触れていたカズマの唇を押し開き、唇の裏を味わい、口腔に侵入した。余す所なく舐め上げ、仕上げとばかりにカズマの舌に自分の舌を絡めていく。
あぁ気持ちがいい。
「ふっ、んっ」
カズマも同じ気持ちなのか、柔らかく熱い舌が浩輔の舌にまとわりついてきた。
ぴちゃぴちゃと濡れた音をさせながら、上になり下になり舌を絡ませ合っていると、どちらがどちらの舌なのかもわからなくなってくる。
夢中でお互いを貪っているうちに、横にいた筈のカズマが自分の下にいた。
上から見る、瞼を閉じて口を半開きにした、陶酔しているかのような表情のカズマも可愛いすぎる。
浩輔はもう止まれなくなっていた。
「いいか、続きして」
「聞くな、そんなこと」
浩輔は、カズマの返事が言い終わる前に、パジャマ替わりに来ていたシャツの裾を引っ張り出し、手を忍び込ませていた。
浩輔の手が、普段服の中に隠れ、人に触れられることのない腹の横に感触を落とした途端、カズマの身体がビクッと震える。
浩輔はカズマを安心させるため一旦手を休め、唇にキスをする。カズマがキスに集中し始めたのを感じ、動きを再開し出す。
浩輔は、カズマの唇から徐々に首元へと自らの唇を移動させる。止まっていた手の平は、腹からへその横を通り、徐々に上に上がっていった。汗で湿った掌は肌に吸い付くようだ。カズマの白い肌を想像しながら肋骨の上を愛撫し、胸の小さな尖りを引っ搔いた。
舌を絡めるキスをしている時から既に、浩輔自身は萌していた。カズマの肌を、身体を撫でまわすだけで、自分の分身が硬く大きくなり、痛みを伴っている。
乳首を弄られてカズマの身体が再度震えた時、耐えられなくなった浩輔は一度身体を起こす。
膝を立て、仰向けのカズマの足元に膝立ちしたまま、自分の着ていた服を全て脱ぎ去った。
突然起き上がった浩輔に驚いたカズマが瞳を開くと、同じ帰宅部の自分とは違う、肩や胸、腹にもしなやかそうな筋肉が張り付いた、浩輔の均整のとれた身体が目に飛び込む。下の方に目をやると、浩輔の陰茎が天井に向けそそり立っていた。太さも長さも自分のモノより立派な屹立が目に入る。
カズマは普段見ることのない、他人の性器に気恥ずかしくなり、さりげなく目を逸らす。だが、隠れた場所ではカズマの性器もすでに硬く、浩輔の身体を見て欲情している自分に気づいていた。
カズマは浩輔に向かって両手を広げ伸ばし、浩輔を直接感じたいと、身体で表現する。
浩輔がそれに応え、覆いかぶさるようにカズマに近づく。
まだ両手を上げているカズマのシャツを、あっという間に抜き取り、現れたカズマの白い胸に所有の印を点けながら、浩輔はカズマの下の衣類も全て剥ぎ取った。
カズマの記憶は曖昧だが、一昨日の魔力抽入の際、浩輔は一度経験している。そして浩輔の学習能力は優秀だった。
カズマの胸の辺りを啄んでいた唇はいつのまにか片方の乳首に移っていた。吸いつき時々舌で転がしながら、反対の乳首は指で捏ねる。
空いている手でカズマの肌を弄りながら、今度は下に下ろすと下腹部に到達した。
既にカズマの性器も萌しており、浩輔は幸せを感じる。カズマも興奮していると思っただけで、浩輔自身が張り裂けそうに脈打った。
「駄目だ、一度出す」短く浩輔は言うと、カズマの手を取り自分とカズマの性器を揃えて握らせる。自分の手で更に上から握り、押さえながら上下に擦する。
「あ、あっ」
カズマが堪らず声を上げる。
2つの屹立は2人の重なった掌で包まれ擦られ、その刺激に先端から透明な液体が溢れ出す。 先走りにより滑りが良くなり裏筋同士が擦れると、射精に直結する強い興奮が生まれた。知らずに2人の腰は快感を追い揺れている。
「あぁ」「うっ」
たわいも無く2人同時に達し、濃い白濁が丸みを帯びた2つの先端から飛び散った。
カズマが心地よさから脱力し、身動きできないでいる間、浩輔は飛び散った2人分の精液を自分の指先に集めている。
ぼぉっとしながら浩輔のすることを眺めていたカズマは、浩輔のキスを受けながら、なすがままに内腿を撫でられ足を広げられていた。
浩輔は、集めた白濁をカズマの後孔の周りに塗り広げ、孔の周囲を優しく揉む。キスで蕩けたカズマの孔が緩んだ瞬間、迷わず窄まりに指を1本滑り込ませた。
異物感に身体が固くなるカズマを、啄むキスで宥めながら、指を、狭い襞を押し広げるように動かし奥へと進める。
時折指を曲げ良い箇所を探り、カズマの反応を見る。一度引き抜いたかと思うと続けてもう1本の指を揃えて差し入れた。
「痛いか」
浩輔は、身じろぎしたカズマを労り、横に首を振ったのを確認すると、後孔を攻めるのと反対の手で、射精し小さくなっていたカズマの性器を優しく揉んだ。
カズマの性器の根本から亀頭まで優しく撫で上げ、残っていた精子で滑りを良くし、掌で陰茎全体を包み緩急をつけ上下に擦る。
同時に、カズマと舌を絡ませ、吸い合う。
「あ、あ、」
塞がれた唇から堪らなくなったカズマの声が漏れる頃、浩輔はもう1本指を増やし、3本の指が自在に動くようになるまで、カズマ自身への愛撫とキスを続けた。
「そろそろ入れる」
「早く、早く入れて、浩輔」
1度は2人でイったものの、カズマはその後何度も射精寸前で止められ限界となっていた。
何を言っているのかもわかっていない様子で強請るカズマの声を聞き、浩輔は柔らかくなった孔から指を抜く。浩輔もまた限界だった。
カズマの大腿裏をしっかりと支え、血管の浮き出た硬く熱い陰茎をカズマの後孔に押し当てた。
カズマは浩輔を信頼し力を抜く。
「いっ、あっあぁ」
圧迫感が凄い。が痛くはなかった。
ズ、ズ、ズンとゆっくり隘路を広げながら進む浩輔の雄茎だったが、一番太い所が通ると、カズマの孔は飲み込むように浩輔を迎え入れた。
「ああぁっ」ひと際深くカズマが啼く。
「ふぅ入った」
額に汗を滲ませながら、浩輔は満面の笑みでカズマを見やる。カズマはその笑顔の破壊力に腰の奥がキュンとした。そしてそれは、浩輔を包む肉筒の襞にも直結し、浩輔の陰茎に絡みつく。
「あ、駄目だ、動く」
馴染むまでと必死で我慢していた浩輔がいよいよ耐えられなくなり、腰を揺する。
「待ってまだ…あっ、あっ」
心の準備を整える前に動き出した浩輔に、カズマは翻弄されないよう必死だ。浩輔の腕に必死にしがみつく。
腰の動きで雄茎を引き、また突き入れる。
何度も抽送を繰り返し、カズマの良い所を浩輔の屹立が穿つ。
後孔の擦られた襞から出る卑猥な音が官能を擽る。
何度かゆっくり抜き差しした後、浩輔が自分の気持ちよさを追い出すように、次第に大きなグラインドになっていった。
「ヤバい、止まらない」
浩輔が大きく腰を動かす動きに合わせて、カズマも腰をくねらせる。良いところに当てようと2人の動きがシンクロし、浩輔の性器とカズマの前立腺が押し付け合い、大きく擦られている。
「ああっあっ」
2人同時に高みに上り、迸った。
その後2回浩輔が射精するまで、その夜の情事は続いた。
「俺が全部するから休んでて」
翌日、身体のあちこちが痛くて動けないカズマを献身的な浩輔が世話をする。
「こんなことじゃ許さん浩輔。何いい人ぶってやがる。3回目の時、やめろって言ったよな」
「カズマだって、もっとぉとかって甘えて言ってたじゃん」
ニヤっと悪い顔をし、浩輔はそう言い返すと走って逃げる。
カズマが午後になりやっと起き上がれるようになると、わかっていたかのように狩猟小屋にレスターがやって来た。
「若いですねぇ」
魔導師の黒いマントを靡かせ部屋に入るなり、レスターは言う。
赤くなりながら、恥を忍んでカズマは聞いてみる。
「魔法の習得の時も思いましたが、レスター先生は人の心が読めたり、していたことがわかるんですか?怖いんですけど」
レスターは何でもないことのようにカズマに答える。
「ノーマ様も、素質は十二分にあります。私の後を継ぐ気になったら、本当の弟子にして差し上げますよ」
後ろで2人の会話を聞いていた浩輔は、レスター先生は、今日は勧誘に来たらしいと見抜く。王の依頼かもしれないが。
いずれにしても、自分はカズマの返答に従うだけだ。カズマのいる所が自分のいる場所だ。
「うーん。どうしようか」
カズマの呑気な声を聞き、気が抜ける。
浩輔との蜜月も楽しいし、魔導師見習いも良いが、あちらの世界にも未練がある。
次の満月まで日はあるから、今はこの生活を楽しまないと損だよな。その頃カズマはそう考えていた。
「浩輔とよく相談してから決めます。
せっかくだから生活に役立ちそうな魔法を一級魔道師にレクチャーしてもらおうと思って。よろしくお願いします」
何でも前向きなカズマのことだから、良く考えて答えを出すだろう。 完
異世界で初恋始めました 皆未 智生 @minami_tomomi
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