第3話 夏休みの宿題ば最終日が勝負

美玲さんが幸せになるには越えなくてはいけない壁がここから何個かあり、その為には彼女には毎日を日常を楽しみ、楽しい未来を夢を思い描く必要がある。


希望は生きることに深く結びつく。

どんな絶望の中でもそれを頼りに歩き前に進み、幸せをつかんだ物語は多くそのことは明白だろう。

人は希望があるから絶望の日々でも生きていけるのだ。


「だから僕は必死に考えた、キミ幸せを届ける方法を!」


「その結果がこれですか?」


冷ややかな目で僕を見詰める。

言葉遣いも態度も以前よりも砕けてきたのはいいが、その度に僕への評価が下がっているのは気のせいだろか。


「やはり知らない物を、新しいことを学ぶ時が人が1番楽しいと思って」


「考え方は嫌いじゃ無いですが、殿方が女の子を連れて来る場所として適切かどうかが問題です」


「でもみんな楽しそうにしてるし…」


「さて質問です、物語の中で女の子とメイドカフェに来る作品は何個あるでしょう?」


「…ぼく知る限り1個です」


「逆に1個あるんだ」


取り敢えず今日のお出かけプランの最初の場所してメイドカフェを選んでみたがなかなかの不評だった。 これが分からない。


店内は今日もご主人様と笑顔で奉仕してくれるメイドさんで賑わっていて、男性と女性、共に笑顔が溢れている。

なんだかその空間に一緒にいる自分達まで楽しくなってしまう。


「今までもなぜここを選ぶのかと思ったことはあったけど、ここまでなんて」


やれやれと項垂れ、頼んだクリームソーダに口をつける。


「あ、でも味はいいですね。おしゃれだし。」


クリームソーダはソーダの色を選べるお店で彼女は青色を頼んでいた。

ちなみに僕はピンクだ。


「でしょ?メニューも沢山あるしメイドさんと写真も撮れるよ」


「写真はちょっとあれですけど、まあ普通にカフェとしてとらえれば悪くないですね」


あのショッピングセンター告白事件のあと、遊びに誘うと約束通りちゃんと会ってくれた。

最初はいやいやと言った感じで、会話も少し距離間があったが最近は少しフランクになって、楽しんでる感じがする。


「店内の雰囲気にも力を入れてるからね、少し割高だけど物語の中に入ったみたいで好きなんだ」


店内はいかにも西洋の古いお屋敷といった感じで、白い壁紙と木材の骨組みで作られていて、飾られたり使っている小物がアンティーク風になっている。


「確かにこんな場所は他にないね」


だいぶ機嫌も良くなってきて、楽しむ余裕が生まれてきたようだ。


キョロキョロと店内を見渡して眺めている。目線を追うとメイドを見ているようだ。


「ちなみにメイドさんの格好って興味あったりする?」


「別にないですけど」


とゆう割にはまだ目で追っている。

これもしかしてなんかの罰ゲームとか理由つければワンチャン着てくれるかな?

来てくれたら最高だな、死んでもいい。


いや救わなきゃいけないのに死んだら困るな、でもな~尊死しそう。

てゆうか今の横顔だけで死ねる。やばいな、可愛すぎ。


「ご主人様にお嬢様方、お楽しみ頂けてますでしょうか?」


不意に声を掛けられる。見るとメイドさんが立っており笑顔で微笑んでいる。

姿勢も笑顔も品があってとても様になっている。


「楽しませて貰ってます」


「それなら良かったです、お嬢様はどうでしょうか?」


「私こうゆうお店、じゃなかった、このお屋敷に初めて来たんですけど初めて見る物ばかりでとても楽しいです」


「それは何よりです。遠くの方からお越し頂いたんですねありがとうございます。」


こんな会話もできる所、みんなで1つの楽しい空間を作っているのも魅力の1つだろう。とゆうかここのお店コンカフェに近いな。


「現在4000ゴールドで私どもの格好をして頂き、お写真を撮るサービスを行っているのですがいかがなさいますか?」


互いに目を見合わせる。


「せっかくだし撮らない?」


メイドコスプレチャンスだぜ!


「え、でもちょっと恥ずかしいかなぁ」


少し照れくさそうにもじもじしているが、もうひと押しすればい行けそうだな。


「失礼します、お嬢さま」


そんなことを考えているとメイドさんが美玲の下に顔を近づけ何かを囁く。


何かささやき終わると急に顔を真っ赤にしてあわあわし初めて、メイドさんが微笑む。


「さて以下がなされますか?」


少しの間うんうん唸っていたが遂に決心したようで。


「お願いします…」


小さくそう呟いた。


いったい何をささやいたのだろうか。とり「それじゃあ旦那さまにお嬢さま、ご準備をお願い致します」


あ、俺も含まれてるのか。俺のは要らないんだけどな。

何とかマジックで俺の写っているのは全て消してほしい。

別に見返したいと思うほど自分の容姿に自信がないし、写真に撮られるのが好きじゃない。

しかし安易に進めてしまった手前、自分だけ断る訳にはいくまい。

義理チョコしか貰ったことがないとゆう事実がこれを証明しているQED証明終了。


そんなことを思いながら渋々席を立った。





「もう少し顔を上げて右の方にお願いします」


「いいですね、では取りまーす」


ピピっと機械的な音がなるとそのまま写真がプリントされて出てくる。


写真はそれぞれ自分の写真が1枚づつと、一緒に撮るのが1枚で計2枚貰える。


店内でも写真を撮るために少し豪華になった内装の所で好きなポーズで写真を撮れるのだが、いきなりポーズをとれと言われても無理な話である。


取り敢えずオススメされた椅子に座って足を組み背もたれに寄りかかるポーズをしてみているのが恥ずかしすぎる。

完全に雰囲気とポーズに俺が負けてるよ。

どれくらい負けてるかとゆうと、ラブコメ作品の幼馴染くらい負けてる。


店員さんはそんなの慣れっこなようで平然ととってくれているが問題は春下さんである。


「くっ、ふふっつ」


消して笑うまいと何とか平然を装おうとしているが、笑い声が漏れてるし笑うのを我慢しすぎて顔が赤くなってる。

余計むなしくなるので辞めて頂きたい。


てかこうやって恥ずかしがるのはヒロインの役目だろ!どこの世界に男の方が恥ずかしがってそれを楽しむラブコメ作品があるんだよ。

そんな作品があれば10週で打ち切りにしてやる。


「はい、お疲れさまでした」

「こちらがお写真になります。冷めてからお渡ししますねご主人様。」


「ありがとうございます」


いや要らねーなこれ。


「ではお次はお嬢さまになりますね、ご希望のポーズはありますか?」


「えっとそうゆうの分からなくて」


さっきまであんなに楽しそうに笑っていたが、次は自分の番だと思い出したようでメイド服に着替えた時のようにもじもじし始める。


そうそう、こうゆうのでいいんだよ。


ポーズを何にしようかメイドさんと相談を始める。

ここは女の子同士とゆうこともありキャーキャー言いながら楽しそうに話している。


彼女の今の素晴らしさを語るにはやはりギャップ萌えと言い表すのが一番だろう。

背も低く髪も短い彼女は世間的にはボーイッシュに分類される。

そこに可愛さ前回のメイド服とか凶器でしかない。

カッコイイ×カワイイ=最強!

世界一美しい公式の完成だ。


「じゃあそれにしてみます」


壁の近くに寄って行くと、手を腰のあたりで優しく結び体を斜めに向けてカメラに微笑む。

よく見る構図ではあるが、初心者には持って来いだろう。


「はい、いいですね。」

「お顔の角度も体の向きもばっちりです!よくお写真撮られるんですね」


「まあ、家族が何かあるとすぐ写真に残したがるので」


確かにさまになっている。

写真の収まりがいい、まるでパンフレットに載っている写真みたいだ。


「じゃあ取りまーす」


また機械音が響くと写真が出てくる。


「はい、オッケーです」

「最後に2人で並んだ写真を撮りますので旦那様は奥様の横にお願いします」


「分かりました」


彼女の隣にに並ぶ、距離にして1m位の距離感だろうか。

今回は特に格好をつけてポーズをする必要もないだろう、それよりもなるべく俺が消されやすいように無難な格好でそこそこ距離を開けたい。


「せっかくですしもう少し寄りましょうか」


「分かりました」


そう言われてしまっては寄るほかないだろう、彼女に半歩近づく。


「あら、いいですね。」


カメラマンがいい笑顔を浮かべる。


「お二人ともお似合いですよ、幸せはいつも目の前にあることをこれからも忘れないでくださいね」


言い終わるとそのままシャッターが切られる。


「え、あの!撮られると思ってなくてもう一回いいですか?」


撮られると思っていなくて気を抜いてたのか。


慌てた様子でたのんでいるが


「いいえ、お二人ともとてもいい表情でしたよ。身構えてしまうと写らなくなる物もありますから」


「さすがにあれはちょっと、なんてゆうか」


「なんだ、あくびでもしてるタイミングでも撮られたの?」


「違います!」


「まあまあ、お写真はお帰りの際にお渡ししますので」


「じゃあまた着替えたらね」


さっさと部屋を後にする。

彼女があそこまで恥ずかしがる写真だ、撮りなおさせてなるものか。


「ちょ、戻れー!」


「聞こえなーい」


そのまま扉を閉めて部屋を後にした。


ドア1枚を隔てて喧騒から離れると、頭がに少し余裕が生まれる。

更衣室向かいながら今日の幸せを嚙み締める。

僕はこんな日がいつまでも続いてほしい、そして彼女もそう思ってくれただろうか。

思ってくれたのならそろそろだろう。

外を見ると晴れ空に少し雲がかかっている。

たしかニュースで今日の夜は雨が降ると言っていた。







いつもの本屋の見えるフードコートで君に僕はいつものように持論を展開する。


「物語はキャラクターが困難を乗り越え、成長することで進んでいくと思うんだ」


「まあそれが物語の王道だな」


互いにジュースを飲みながら、ポテトをつまむ。


「そしてそれがそろそろ僕と彼女の身にも起こそうだ」


「なんだ倦怠期か?」


「僕と彼女の間にそれは無いから安心して欲しい、毎日が新婚だ」


「別に心配してねえし、きもいなお前」


「それは自覚の上だよ」


「それで、俺に何をして欲しいんだ。わざわざイチャイチャの日々の1ページを語りに来たわけじゃないだろ?」


「さすが話が早い、主人公のピンチを助けてほしいんだ君に」


「ベタな展開だな」


めんどくさそうにニヤリと笑う。






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