本屋さんの凄く可愛いあの子と君とアホ

@Contract

第1話 人は作品を誤解する

君はその人のためなら死んでもいいと思えるほどの恋をしたことがあるだろうか。

現在の日本では男性と女性、両方の交際経験のない割合がふえているらしい。

ニュースや親はやれだらしない、やれ日本の未来は暗いと嘆いていて挙句の果てには、偉そうな専門家が的外れなしていて聞いていてイライラする。


それは僕が俗に言う非モテでオタクとゆう部類にいるからだと思う。


リア充にとってはそんな問題どこ吹く風で、モテない、彼女がいないの問題は社会が悪いのではなく、努力不足や逃げているだけと映ることだろう。


だから僕は今から僕はそんな世間に抗うために、今から彼女と友達になるのだ。


平日の夕方、僕はショッピングモールの一角にある少しおしゃれな本屋さんのいた。

いつも通り会社終わりのサラリーマンや、楽しそうにショッピングを楽しむ女性たちで賑わっていて何も変わったことはない。


おかしいところがあるとすればそれは僕とゆう存在だったと思う。


彼女を一目見るために用もないのに足しげく通い、本も買わずに店内をウロウロしていたのだから。

既に店員の何人かには不審人物としてマークされていたかもしれない。


でもそんな日常はどんな結果でも今日で終わる。


勇気をだして店内に入るが彼女の姿はまだ見えない。

奥の方のコーナーを担当しているのだろうか、足を進める。


浅くなる呼吸と今すぐにげだしたくなるこの思いは、何度経験しても無くなることはない。


やはり今日も彼女はそこにいた。


ここに来ると不思議な感覚に襲われる。

恋愛などくだらないことで知識と教養用もない人間がただ一時の気の迷いと、快楽のために無駄な苦労とお金を費やして何とか形にした無駄な行為だと思っている自分と、これからあるかもしれない幸せな未来を思い描いている自分とが重なり自分が分からなくなる。


でもここまで来たらすることは1つだ。


本棚に向かって作業する彼女に向かってゆっくりと歩く。


短い髪が動きに合わせて揺れる。

背は低くて、顔つきは可愛いとゆうか格好い方だろう。

ボーイッシュと言えばいいのか、ただそこににじみ出る女性らしさや声もしぐさもとて素晴らしい、こんなに完璧な女性がいていいのか。

世間一般で言う美人や可愛いとは違うが、彼女はそれがいいのだオンリーワンだ。

どんな有名人でも彼女以上の存在にはなりえないだろう、たまに出る男っぽい口調とかさり気ない気遣いとか完璧とゆうほかない。

なぜ世界が彼女を崇めないのか不思議である、いや別の形では崇められてはいるが。


神様が100時間ほどキャラメイクをして創造したに違いない、彼女のそばにいられるのであれば、彼女のためであれば僕はどんな不条理も不合理も、理不尽も無茶も全部こなしてみせよう。


たとえ道化を演じるとしても。


僕は作業する彼女の横に立ち笑顔で声を掛けた。


「あのーすみません」


「はい、どうされましたか?」


彼女は作業の手を止めて笑顔を浮かべて僕の方をみる。


「異世界転生したら最強すぎて金と権力この世の全てを手に入れた男になった件の12巻はありますか?あと店舗購入特典のコースターつきますかね?僕あれめちゃくちゃ好きでアニメ10周しちゃっててもうマジで今日楽しみで、あすみません興味ないですよね、あ、でもあれは見た方がいいですよマジで面白いので」


「…あ、そうなんですね、いまお調べ致しますので少々お待ちください」


引きつった愛想笑いを浮かべながら彼女はそそくさとバックルームにそそくさと調べに行ってしまった。


周りの一部始終を見ていたお客さんからのクスクスと笑いが聞こえる。


あー恥ずかしい!!!!!!出来る事ならこの場所から消え去りたい!!!

何が悲しくて愛しの彼女の前でこんなセリフをいわなくちゃいけないんだ!!

こんな時どんな顔をすればいいか分からないのって彼女もきっと心の中で言ってるよ!


でもしょうがない。

彼女は普通にご飯に誘ったり、連絡先を渡した程度じゃなびかない。

これは過去の俺が検証済みだ。


だからまずはどんなことでもいいから彼女に顔を覚えて貰って何度もこの店に買い物に来る必要があるのだ。


しばらく羞恥心に耐えていると彼女が戻って来る。


「その本の入荷予定は明日のようでして、よろしければ特典と一緒にお取り置きしておきましょうか?」


さっきのことはまるでなかったように、いつもの笑顔を浮かべている。

この笑顔に何度騙されて大事なことに気づけなかったことか。


「それでお願いします」


「ではこちらの方でお名前と電話番号をお願いします」


小さなカウンターに案内され、そこで言われた情報を書き込み彼女に渡す。


「はい、ありがとうございます。ではまた明日お待ちしております。」


さすが女神こんな俺にでも優しくしてくれるとかマジで神。


「はい、よろしくお願いいたします」


彼女に見送られながら店を後にする。

こんなに恥ずかしかったのは中学時代にライトノベルが周りに見つかって以来だ。


さて君にもこれで恋する理由と彼女の魅力が伝わっただろ?

彼女を目の前にして恋をしない方がおかしいのだ。


………


「よく分からないだって?確かにまだこれだけじゃ分からないか」

「じゃあ今度はやっと顔見知りになって初めて一緒にショッピングセンターでバイト終わりにご飯を食べた時の話をしようか」


「お待たせしました」


小走りで彼女が駆け寄ってくる。

仕事の時につけてるエプロンをぬいでそこに上着を羽織っている。

普段と違う格好とゆうだけで俺的には可愛さ100倍で彼女の目を見れない。


「いや大丈夫だよ、こちらこそバイト終わりにごめんね」


あれから2月が経った頃、ようやく僕は彼女を誘えた。


「いえ、明日はお休みですし私も外食したい気分だったので」


「それなら良かった」


「はい、ですね」


気まずい沈黙、彼女もこうゆう経験はあまりないのか互いに会話がぎこちない。

こんな時ゲームなら選択肢を選ぶだけでいいけど今日はそうはいかない。

ここは男を見せねば!


「じっ、じゃあ行こうか!何食べたい?」


「えっと…なんでもいいですね」


「なんでもいいか」


…正直これが一番困るが、君の好みはすでに知っている。


「じゃあロスバーガーでいいかな?」


「いいですね、私ロスバーガー好きなんです!」


「ほんと?なら良かったよ」


二人そろって歩き始める。

遠いような近いような、歩幅も合わないそんなぎこちない距離。

そんなくすぐったいような感覚。

でもとても充実していたし心地よかった。


休日何してるのだとか、どんな本が好きなのとかたわいのない会話を続けた。

会計をおごろうとしてお金が少し足りなくて恥ずかしい思いをしたとか、彼女の食べた後にソースが口についてて凄く可愛いかったとかいろいろあった。


とにかく彼女が笑ってくれる、それだけでこの世の何よりも何者よりも幸せだった。

初めて経験した恋の味は蜂蜜よりも甘くて、パンケーキよりふわふわだった。



………


え?つまんない?確かにそうか

他人の幸せ自慢なんて聞いてる分にはウンザリだし、爆発しろって感じだよね。

でも聞いて欲しい僕と彼女が結ばれないし、彼女は死ぬ運命なんだけど、僕は一度彼女に救われたから何があっても彼女を幸せにしたいんだ。


………


ラノベの話でもアニメの話でもないよこれは現実の話だよ。

だってほら、君と僕が話しているここから見えるその本屋で起こった話なんだ信じられないかもしれないけどね。

君もよく使うだろあそこの本屋。


話を続けるよ、僕と彼女と君のひと夏の大冒険だ、青春だ。


とりあえず彼女との食事の結末から話させてくれ、そこを説明しないとこの後の物語を説明できない。















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