百怪スクール
ユウリ
転校生
朝、
「ねむ…なんでこんな眠いんだろ」
理樹は顔だけ上げると周りを見る。大体みんな来ていて友達と話して盛り上がっている
(よく朝から元気でいられるよな〜…)
そう思いながらふと隣にある席を見た。理樹の席は窓側から2番目の1番後ろのため、昨日まで隣に机と椅子はなかった。しかし、今日は置いてあったのだ
(転校生でも来んのかな?)
それ以外何があるのだろうか…そんなことを思いながらもまた顔を伏せ、目を瞑った
その時、チャイムがなった。その30秒後くらいに担任の
「今日は朝の学習時間を短縮する。ということで
先生の合図で日直から「起立!」と号令がかかる。理樹は眠いながらも立ち上がった。そして挨拶をしたり教科の連絡をしたりと、いつもの手順で進んでいく。
やがてHRも終盤で、先生の話を聞いていた
「…ということで、今日はこんな感じだな。」
そう言って先生が教卓に広げたいろんな紙が挟んであるボードを閉じる。理樹はそれを見て、机にだらんとなだれた
(やっと終わった〜!HRにしては先生の話長いよ〜)
理樹は、起立する準備をした。その時、先生が口を開いた
「最後にお知らせだ。うちのクラスに転校生が来ることになった。」
それを聞いて、クラスがザワザワし始める
(やっぱり転校生だったか。どんなやつが来るんだろ?)
理樹は誰もいない隣の席を見る
「それじゃあ、入ってきてくれ」
先生の合図でガラガラと教室の扉が開いた。
そこからワイシャツの上にパーカーを着ている少年が入ってくる。白くて綺麗な肌、大きくてキリッとした目、そして鼻筋が通っていてとても整った顔をしている。またクラスがざわめきだす
(まじかよ…めっちゃイケメンじゃん…)
理樹はその顔を見て驚いた。周りを見ると女子は手を口元に当てて小さくキャーキャー言っている。一方男子は理樹と同じように目をまるくしていた
少年は、それを気にすることなく教卓の隣に立つ
「それじゃあ、
すると少年は前を向いた
「…名前は
ナイトはいかにも慣れたような感じで淡々と挨拶する
「後ろの窓側の席が君の席だ」
それを聞いてナイトはそこの席へ行く
「よろしく」
理樹は小声でナイトに言う。するとナイトはチラッと理樹を見て、無言で席に座った
(なにこいつ!感じ悪っ!)
理樹はナイトの態度に苛立つ。さっきまで仲良くなろうと思っていた気持ちが一瞬でなくなった
HRが終わり、ナイトの周りにクラスメイトたちが集まる。その様子をを見て理樹は頬杖をつきながら睨んだ。
授業中、理樹はノートを書きながらチラチラと横を見る。ナイトはシャーペンを動かし、黒板をチラチラ見ながらノートを書いている
(はぁ…こいつと隣まじ嫌なんだけど…)
そう思いながらも視線を自分のノートに戻す。しかし、ナイトのことが気になって、全然授業の内容が頭に入ってこなかった
そんなこんなでナイトが来て2週間が経った。
ナイトの行動を見て理樹には気になったことがあった
(放課後に一体何をやってるんだ?)
理樹はバスケ部の活動をしながらふと体育館の窓を覗くと、ナイトはよく校舎内を歩いている。部活見学に行っているわけではなさそう。しかし、真剣な顔で至る所を見回しているのだ
理樹は隣の席で静かに座っているナイトを見た
(またこの顔だ…)
ナイトはずっと険しい顔をして考え事をしているようだった
(何考えているんだろ)
普通に聞けたらいいのだが、理樹は未だにナイトと話すことができなかった。そのため、毎回気になったことがあってもただ自分がそう思うだけでなにもナイトのことを聞くことができない。何度か声をかけようとしたが、なかなか声が出ない。今回も話しかけようとしたが、声が出なかった。
理樹は、ナイトが嫌なやつだと思ったが、話せるようにはなりたいと思っていた
そんな理樹にナイトと話すチャンスが訪れた。
放課後、理樹はバスケ部の荷物をしまいに体育館に来た。今日は部活がない日のため、静かだ
「えっと…これは部室でこれはステージの裏にしまえばいいんだよな…?」
理樹は荷物をしまう場所を確認しながら、最初に部室へ行く。
(体育館に1人ってなんか新鮮だな)
そう思い、少しワクワクしながら荷物をしまう。そして部室を出ると、次はステージに上がった
(よし、これで終わり!)
しまい終わると、「ふぅ…」と息をつき、ステージから降りようとした。
「次はここか…」
突然、そんな呟きが聞こえた。声のした方を見ると、ステージの袖に誰かが立っているのに気づいた。誰か確認しようとしたが、暗くて見えにくい。理樹はゆっくり近づきながらジィッとその人物を見た
(…もしかして)
シルエット的にパーカーを着ている。そしてよく見ると、見慣れた険しい表情をしている
「…ナイト?」
すると、その声に気づいて理樹に顔を向けた。やはり、ナイトだったようだ
「あぁ、君か」
ナイトは冷静に言う
「ここで何してるの?」
「この学校を調べてたんだ」
「調べてた?」
理樹はなぜそんなことをしていたのかがわからず首をかしげる。そんな理樹を気にせずナイトは天井を見る
「やはり…この学校は【百怪スクール】だ」
「…は?」
ナイトの言葉に理樹は再び首を傾げた。百怪スクール…全く聞いたことがないワードだ
「百怪スクールって何?」
「それは…100個の都市伝説が現実に現れてしまう学校のこと」
「都市伝説が…?」
ナイトは頷く。理樹はそれを見てなんとなくナイトが見ている天井を見た。すると、隅っこに奇妙な模様があることに気がついた
「なにあれ…」
「あの模様は百怪スクールにしか刻まれない」
「…ってことはあれを見つけたからここが百怪スクールだってわかったの?」
「あぁ。都市伝説にもあの模様はついているが、違うところは封印できないところだ。」
「ふ、封印?」
ナイトの言っていることがますます意味がわからない
「あのマークは百怪スクール自体の模様だ。これからこの学校に100個の都市伝説が存在することになる」
「は、はぁ?どういうこと?!」
「そのままの意味だ。あの模様がある限りこの学校に都市伝説が現れる」
「じゃああの模様を消せば!」
「無理だよ、あの模様が消えるのは___100個の都市伝説、全て封印したときだけ」
ナイトはそう言って胸元にある何かを握りしめる
「…だから、僕が全て封印するんだ…」
ナイトはそう呟き、天井の模様を睨んだ
百怪スクール ユウリ @yu_ri0615
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