最弱職の召喚士ですが、追放後にジョブが進化し神話級の魔物を召喚できるようになったので無双していこうと思います

鬼柳シン

第1話 神域の召喚士

「リヒト君、君のジョブは『召喚士』だ」


 僕の夢は冒険者だったけど、神託の儀でハズレジョブを言い渡された日から、その夢はとても遠のいた。


 召喚士は、様々な魔物を召喚するジョブだ。

 しかし、魔物は知性が低く、大雑把な指示しか出せない。異種族間で喧嘩を始めることもあり、統率は非常に困難。人間との連携なんて夢もまた夢。指揮を執る修練を今まで懸命に積んできたけれど、結局できるのは簡単な雑用を任せるくらいであった


 でも、僕はそれでも夢を諦められなかった。魔物を使った荷物持ちとして必死にギルドで売り込みをして、そんな時に出会ったのが、当時C級パーティー【深紅の翼】のリーダーとしてメンバーを募集していたジークさんだった。


「それだけ指揮できるようになるまでさぞ苦労しただろう。私は君のその熱量を買いたい。丁度、アイテムの回収に困っていたんだ」


 誰もが僕のジョブを知るたびに馬鹿にしていく中、ジークさんだけは僕を受け入れてくれた。


 その後は、メンバーを増やしながら、【深紅の翼】のランクも順調に上がり、Sランクパーティーに名を連ねることになる。


 パーティーメンバー全体のレベルも高レベルになっていった。しかし、召喚士がハズレジョブと呼ばれる所以として、レベル上昇の恩恵がほとんど得られないことがあった。


 そもそもどんなジョブでも、レベルが上がったとして、身体能力や魔力が明確に変わることは少ない。レベルが一定値に達することで、ジョブに応じた能力が得られるだけなのだ。


 だから高レベルでもただ経験豊富なだけの冒険者は多い。召喚士は特に、Sランクパーティーに一年近く在籍しても変わらないから、そのことを身に染みて知った。


 そんなハズレジョブ持ちの落ちこぼれの僕だけど、ジークさんやメンバーのみんなは優しく接してくれた。決して疎むことなく、【深紅の翼】の一員として受け入れてくれていた。


 夢だった剣を手に戦うような冒険者にはなれないかもしれないけど、大好きなこの人達を支える裏方としていられるならば、それでもいいと思えるようになっていた。


 だけど、


「リヒト、お前をパーティーから追放する」

「……えっ?」


 ギルドにて、ジークさんからの突然の追放宣告に変な声が漏れる。


 僕たちは今、長い遠征から帰ってきたばかりで、やっと一休みできると思い、心が緩んでいる時だった。

 遠征でもずっと、荷物持ちと雑用係を必死に頑張っていた。


 ジークさんも、そんな僕を時折暖かな瞳で見てくれていた。


 だというのに、今のジークさんの瞳は氷のようで、思わず背中に冷や汗が流れる。


 僕は、気づかぬうちに機嫌を損ねるような真似をしていたのだろうか?


 だとしたら、すぐに謝らないといけない。


 なので慌てて謝罪の言葉と共に勢いよく頭を下げ、僕は青い顔で叫ぶ。


「ご、ごめんさない! なにか気に障るようなことをしていたら謝ります! これからも必死に頑張ります! ですから、パーティーからの追放だけはお許しください!」


 そうしていると、ジークさん含め、他のメンバーたちが一瞬苦い顔をしたように見えた。けど、すぐに顔つきを険しいものへと変える。

 そして口々に、荷物持ちしか取り柄のない僕へ「無能」や「役立たず」といった言葉を何度も何度もぶつけてくる。


 本当に何度も繰り返される、僕に対するみんなの罵倒が心に突き刺さる。

「無能」「役立たず」「足手まとい」「ハズレジョブ持ち」


 なんで、突然みんなの態度が変わってしまったのか分からない。


 今までハズレジョブ持ちとはいえ、やれることを全力で頑張ってきたのに。

 冗談で馬鹿にするようなことはあっても、こんな露骨に傷つけるような言葉を使うことなど一切なかったのに、どうしたというのだろう。


 そんな疑問を投げかけようとして、ジークさんが一枚の羊皮紙を突き出してきた。

 そこには、遠征前の日付で、【深紅の翼】が、激化する魔物との戦闘に備え、戦力増強のために新メンバーを募集するという旨が記されている。


 僕は瞬時に、今のパーティーメンバーの数を思い返す。【深紅の翼】は、ギルドで定められている一つのパーティーにおける限度人数で構成されているはずだ。


 新たなメンバーを加入するのならば、誰かが一人抜けなくてはならない。

 抜けるとするなら、役立たずのハズレジョブ持ちである僕をおいて他にいない。


「そういうことだから、雑魚はとっとと出ていきな」


 僕が察するのと同時に、身なりのいい男性が現れ、僕にそう告げた。


「あなたは……?」

「なに? 私のことを知らないというのか? これだから庶民は困る! 途方もない頭の悪さだ!」


 とても上から目線で僕に言葉を投げつける人の隣にジークさんが立つと、咳払いをしてから口にする。


「賢者のロムルスだ。これからはお前に代わり、【深紅の翼】で活動してもらう」

「賢者って、魔術師の上位ジョブの……」


 一般的な魔術師より魔力量が高く、詠唱できる魔術は高レベルのものばかり。

 戦力増強というのなら、とても適した人材と言える。


 そんなロムルスは、僕を嘲笑いながら指をさしてきた。


「侯爵家生まれの天才賢者の私と、ハズレジョブ持ちの庶民に過ぎないガキじゃ比べ物にならないというものだな! それに貴様、なんでも荷物持ちとしてS級パーティーに同行していたそうではないか。ならば私の方が更に適任だ!」


 どういうことかと呆然としていたら、ロムルスは魔術を唱え、異空間の扉を開いた。


「私の数ある魔術の一つだ。この中にいくらでも、どんなものでも入れて持ち歩けてねぇ! わざわざ汚らしい魔物を召喚などしなくていいというものだよ!」

「そ、そんな……」


 あんな魔術を使われては、一々魔物を召喚してダンジョンの外まで運んでいる僕が馬鹿みたいだ。


「まさか、この程度で驚いているのか? ハッ! こんなの私なら片手間で出来るというのにな! それに比べて、貴様はわざわざ魔物の群れを飼いならして行っていたのか? バカバカしくて傑作だよ! 荷物運び一本でSランクパーティーにうだうだ居座って、挙げ句にまだ残りたいとほざくなど、無能なだけじゃなくてとんだ恥知らずなんだねえ! どうだ、ジーク? この雑魚と私ならどちらを選ぶかは明白だろう?」


 そう問いかけるロムルスに、ジークさんは小さく頷く。

 誰がどう見たって、ロムルスの魔術の方が荷物持ちという一点だけを見ても有能なのだ。


「……そういうことだ、リヒト。お前は今日をもって【深紅の翼】を追放とする」


 途端に、膝から崩れ落ちた。今までの日々は何だったのか。ハズレジョブ持ちなりに必死に努力してきたというのに、仲間たちからは散々無能と蔑まれ、ジークさんから追放宣告を受けるとは。


 そうして追放されて代わりに入るのは、人の事をこんなにも下に見るような傲慢な貴族。


 とても悔しく、同時に「何一つ勝っていない」と理解し、更に心が傷ついていく。


 「貴族に生まれ、上位ジョブを持つロムルス」と、「庶民に生まれ、ハズレジョブ持ちの僕」。比べ出したら寒気までしてきて、僕は次第に涙を探していた。


「はっはっはぁ! ハズレジョブ持ちに相応しい末路だ! 皆の者、そうだと思わないか?」


 ロムルスがパーティーメンバーに聞くと、一瞬言葉に詰まった後に、「まったくだ」と口々に言いだす。


 そうして、改めてジークさんが僕へ言い渡した。


「三度目になるが、これでお前は追放だ。もう会うこともないだろう」


 それを最後に、【深紅の翼】は去っていく。しかし、失意のまま泣いている僕へ、ジークさんが去り際に、何かの包みを渡してきた。


 なんだろうと開けば、光り輝く結晶――「経験値保存結晶」だった。

 魔物たちの経験値を蓄積出来るレアアイテムで、砕けば多少のレベル上げに使えるが、どれだけの経験値が詰まっているかは、砕くまで分からない。

 基本的には駆け出し冒険者たちが使うので、ギルドが買い取ってくれる。所謂換金用のアイテムだ。


 そういえば、今回の遠征でジークさんが魔物を倒して偶然手に入れていた。希少なアイテムだが、ジークさんはもう、十分に強い。だからこれは、ジークさんからすれば、僕への手切れ金替わりなのだろう。


 これを砕けば多少のレベルアップに繋がる。けどジークさんは、これを売って路銀代わりにする事を望むだろう。


 召喚士はそれだけ、レベルが上がることによる恩恵が少ないのだから。


 でもジークさんだけは、僕のことを気にかけてくれていた。最後に、それだけは分かった。


 せっかく入れたSランクパーティーを追放され、受け入れてくれるパーティーもないだろうけど、ほんの少しだけ救われたようだった。


 それにもしかしたら、このアイテムを使えば、召喚士として戦えるようになるかもしれない。


 そんな思いを胸に、ギルドを出ていった。




 ####




 僕は一度、街を出た。人気のない場所まで来ると、経験値保存結晶を取り出す。


 きっとこれは、路銀として売るべきだろう。ジークさんが、せめてこれからは故郷で静かに暮らしてほしいという願いの籠った物だろう。


 だけど、僕は冒険者として生きていきたいのだ。


「……ごめんなさい、ジークさん。僕は、あなたやみんなに沢山お世話になりました。だから、少しでも強くなって恩返しがしたいんです」


 もしこれで少しでもレベルを上げられれば、パーティー復帰の機会があるかもしれない。

 ただ、レベルアップのせいで制御できない魔物を召喚してしまえば、街の中で大騒ぎになってしまう。


 その想いで僕は単身で市壁の外へと出て、誰にも迷惑を掛けることのない、人目に付かない場所へと移動したのだ。


 下手をしたら、自分が召喚した魔物に殺されてしまう。それでも、僕の心は揺るがない。


「……生き延びて、力を得て、今度は荷物持ちなんかじゃなく、戦力として【深紅の翼】に戻るんだ。ジークさんにも、みんなにも、僕の力を見せつけてやる……! 召喚士だってやれることを証明してやる!」


 僕はハズレジョブを身に着けて初めて、この力をハズレなんて呼ぶことをやめた。


 絶対に使いこなして、必ず【深紅の翼】に舞い戻ってやる。あのロムルスにだって、僕の力を認めさせるんだ。


 そのために、僕は荷物の中から、ジークさんにもらった経験値保存結晶を取り出した。

 これを砕けば、僕のレベルは上がるだろう。


 だけど、具体的にどれだけ上がるかは分からない。なにより、危険が伴う方法だ。

 慎重に召喚できる魔物を見極めてから行わなければならない。だからまずは、今召喚できる一番強い魔物を確認して、身を守ってもらう事にした。


 しかし、魔法陣を展開しようとして、


『グオォォォォ!』


 けたたましい咆哮と共に、空から翼の生えた魔物が姿を現す。


 僕の数倍はある大型のワイバーンで、四本の牙は鋭利にとがり、真っ赤な瞳がギラギラと光っている。

 人を喰う魔物として恐れられる相手に、途端に足の震えが止まらなくなる。


 【深紅の翼】でも苦戦するだろう相手に、僕は恐怖のあまり頭も体も固まっていた。


『ガァァァァ!!』


「ハッ……! に、逃げないと……!」


 幸か不幸か、ワイバーンの咆哮で意識を取り戻すと、どうにか逃げ場所を探す。


 しかし、ここは誰にも守ってもらえない市壁の外だ。全力で街に走っても追いつかれるのは目に見えているし、街へワイバーンを誘導することになる。


 逃げることはできない。かといって、今の僕に召喚できる魔物でワイバーンと戦える奴はいない。


 僕の無力さを知ってか、ワイバーンが嘲笑ったように見えた。


 僕のジョブと逃げ場のない絶望に愉悦を感じるよう、地に舞い降りると歩み寄ってくる。


 捕まったら、死ぬより辛い苦痛を味合わせられたうえで喰い殺されるのだろう。


 でも、僕はまだ死ねない。まだ、手はあるんだ!


 せめて死ぬなら、レベルを上げて、ワイバーンだけでも仕留めてやる! それが僕の冒険者として最初で最後の魔物討伐になろうとも、ここまで来て躊躇ってはいられない!


「破れかぶれだ! ただで死んでたまるかぁぁ!!」


 僕は必死に叫び、経験値保存結晶を砕いてハズレと馬鹿にされ続けてきた召喚を行う。


 どんな魔物が現れようと、もう召喚士の力に縋るしかないのだ!


 そうして、僕の周りに召喚陣が現れた。今までの召喚とは明らかに違う神々しい光に、咄嗟に目を覆ってしまう。


『ガウッッ!?』


 僕をいたぶろうとしていたワイバーンも身構えるほど眩しく、力強い輝きだ。


『ガ、ガアァァァァァ!』


 突然の事に、今の今まで嘲笑うかのような余裕さを見せていたワイバーンが、息の根を止めようと襲いかかってくる。


 翼を広げ、鋭利な爪と牙を僕に向けながら、一瞬で目の前へと迫っていた。


 レベルは上がったかもしれない。でも、結局召喚士では、いくら上がっても駄目だったのだ。


 せめて、一度でいいから冒険者らしく戦いたかった。ワイバーンに飛び掛かられる刹那に目を閉じて思う。


 だが、この身がワイバーンの爪と牙に裂かれることはなかった。

 目を閉じていても分かるほどの膨大な光が召喚陣から発し、目の前に一人の影が現れたのだ。


「マスターに汚らしい牙を剥けるなど、蝙蝠風情がなんと不遜な」


 清らかな声がして目を開けた瞬間、僕の前に現れていたのは、耳の長い女性のエルフだった。ただ、明らかに普通のエルフと違う。


 なにせ、華奢な腕で目の前に迫っていたワイバーンを羽虫を払うかのように吹き飛ばしたのだから。

 そうして目を細めて鼻で笑うと、僕へ向いて片膝をついた。


「マスターの危機に、アーケインエルフが一人、プリメラが馳せ参じました」

「マ、スター……? 僕が? それに、アーケインエルフって、たしか【神域】の魔物じゃ……」

「流石はマスター、その通りです。我らアーケインエルフは神域の魔物として、マスターに召喚される日をずっと待っておりました」


 目の前で片膝をつくアーケインエルフのプリメラは、魔術を極めた者に与えられる刻印があるローブを身に纏い、まるで精霊のような神秘的な美しさを秘めていた。

 長い銀色の髪が召喚陣の光を浴びて輝き、翡翠色の瞳は僕をまっすぐに見つめていて、透き通るように真っ白な肌は、とても魔物とは思えない。


 それに、とても華奢で遠距離攻撃主体のエルフのはずなのに、ワイバーンを素手で吹き飛ばしてしまった。


 驚きと戸惑いの僕だが、次いで頭に言葉が流れた。


『召喚士のレベルが規定値に達しました。転職条件をクリア。上位職【神域召喚士】にクラスアップします。これにより、【神域の魔物】を召喚できるようになりました』


「神域の魔物だって!? じゃ、じゃあ、本当に君はアーケインエルフ……」 

「左様でございます、マスター」


 その名の通り、神の域に達した人知を超える魔物の事だ。そんな魔物を、僕が召喚できるというのか? 


 そもそも、神域召喚士なんて、大陸中でも片手で数えるほどしかいないはずだ。

 なぜ、いきなり僕が神域召喚士なんかに……


 疑問に思っていると、プリメラが微笑みながら答えてくれた。


「神域召喚士になるには、神託の際の与えられるか、召喚士のレベルをとても高く上げなければならないのです。そして召喚士はレベル上げも難しいジョブ――ですが、マスターはここまでレベルを上げて、私を召喚できるほどに成長なさったのです」


 僕はそんなに頑張っていたのか。自分のことながら動揺していると、クラスアップの恩恵に続きがあるのか、頭の中に声が響く。


『クラスアップスキルとして【魔物言語】を付与します』


 魔物言語? そう聞いて、今度は首を傾げていた。


 何のことか分からずにいたら、ふと聞きなれない声がする。


 声のする方へ向けば、そこには、フラフラと立ち上がったワイバーンが僕とプリメラに対して畏怖を抱いているように怯えていた。


「や、やべぇ、神域使い相手に喧嘩売っちまった……」

「えっ、この声っていったい……」


 ワイバーンの口から聞こえる声に困惑していると、このワイバーンも驚いた様子で反応した。


「ん!? な、なんで人間の言葉が分かるんだ?」

「それはこっのセリフで……まさか、魔物言語って……」


 少しばかり考えると、まずはプリメラに問いかけてみた。


「君と話せるのは、その、君が神域の魔物だから?」

「その通りですマスター。我ら神域の魔物は、人間の言葉も魔物の言葉も理解しておりますので」

「じゃあ、あのワイバーンの声が聞こえるのは……?」


 それが気に食わないのか、プリメラはワイバーンを睨んで委縮させると、神域召喚士として当たり前だと口にする。


「これよりマスターは、どのような魔物の言葉も理解できるようになるでしょう。流石は、召喚士としてこれほどまでにジョブを研磨されただけはあります」

「ということは……」


 今度はビクビク震えているワイバーンへと問いかけてみる。


「えっと、僕が何を言っているのか理解できる?」

「へ? え、えぇ、まぁ……」

「ちなみに、僕以外の人間の言葉は分かる?」

「いや、まったくですねぇ……」


 これを受け、僕は魔物言語の意味を理解する。これは、プリメラが言う通り、魔物と会話ができるようになるスキルだ。


 これはもしかすると、たった今大幅に上がった召喚士のジョブと組み合わせれば、今まで扱えなかった魔物を使いこなすことも可能ではないか?


 その証拠に、僕の傍らにはプリメラがいる。神域の魔物に加えて、他の強力な魔物も使いこなせれば、最強の冒険者だって夢じゃない。


 と、興奮しながらも一旦それは置いておいて、


「言葉が通じるなら言わせてもらうけど、このまま戦うつもり?」


 ワイバーンに聞くと、その顔をブンブンと振って「滅相もない!」と慌てた様子だ。


「あなた様、神域召喚士なんでしょう? その証拠に、あなた様のお隣にアーケインエルフがいますし……! もし傷でもつけたら俺なんて消し炭にされますよ……」


 そんな簡単には殺してあげない。プリメラが恐ろしいことを口にしてワイバーンを脅す中、僕は現状をようやく理解する。


 ジークさんに貰った経験値保存結晶には、とんでもない量の経験値が蓄積されていたのだ。それにより、召喚士のジョブ自体が上位のジョブへ進化し、更なるスキルも得た。


 きっと、ジークさん本人も気づかず僕に渡したのだろう。戦力増強のために新メンバーを募集していたのだから、これだけ強くなれる経験値を秘めた結晶を手切れ金替わりに渡すわけがない。


 追放され、ワイバーンに襲われ、そこまで追い詰められてから行った破れかぶれの行動が予想だにしない事態を招いた。僕は神域召喚士へとジョブが進化して、魔物の言葉も理解できて、これからは召喚士として真の力を発揮できる。


 すぐにでも、召喚できるだけ魔物を召喚したい。そう思っていると、ワイバーンの小さな声が聞こえてきた。


「あ、あのう、あなた様に仕える魔物たちに比べたら、俺なんて味噌っかすみたいなもんですが、代わりに一々召喚しなくてもあなた様の翼となり、牙となり、そこらの雑魚ならお手を煩わせることなく仕留められるので、お供をさせては頂けないでしょうか……」

 キッ! とプリメラに睨まれて慄いたワイバーンだが、僕が諫めると、少しばかり考えてから聞き返す。


「えっと……この一帯から立ち去って人間を襲うなって脅そうとしてたから丁度いいんだけど、君はそれでいいの?」

「人間は、俺たちの言葉や事情なんか知らずに徒党を組んで殺しに来ますからね……その人間なのに、魔物の味方であらせられるあなた様の配下になれるのなら、是非とも頼み申します」

 

 【深紅の翼】でも苦労するワイバーンを、まるで足代わりに使えるというので、僕は少し考えてから了承した。


 こうして、召喚士として神託を受けてからようやく一歩目……いや、数百歩は一気に突き進んだのだった。




 ####




 神域召喚士になってから二週間ほど、一旦街から距離を置いて誰も立ち寄らないような危険地域で魔物を召喚しまくり、それぞれと話す日々が続いた。


 プリメラとワイバーン――ガブちゃんと名付けた相方と共に、野生で育った魔物と召喚士に呼ばれるまで自由に動けなかった魔物たちに、一つの提案を投げかけてみた。


 魔物たちの国を作る、ということだ。召喚される魔物は基本的に言葉さえ通じれば人を襲うことはないので、一旦国を作り、そこで魔物たちの文明を築いてもらう。


 しかし、ガブちゃんのような野生の魔物には知能も低く暴れまわることしか考えられない魔物もいるので、偏見をなくしていくためにも、「魔物が人間のために危険な魔物を倒している」という事実が必要だった。

 そのためには、僕が召喚して戦わせるのが手っ取り速い。だとすると、危険な魔物の情報が集まるギルドに身を置きつつ、そう言った相手と戦う冒険者に戻る必要がある。


 僕としても冒険者に戻ることは大賛成だったので、しばらくはこの策で行くかと、化け物どころではない魔物たちとの話し合いが終わった。


 あとは、再び冒険者としてパーティーに加わるという問題があるのだが、実力だけなら問題はない。しかし、力と知名度のあるパーティーでないと、情報も集まらず、討伐にも向かえないだろう。


 つまりは【深紅の翼】に戻るのが最適だと言えた。人数制限が問題になると思ったが、プリメラに頼んで街に向かわせると、追放の際に散々馬鹿にしてきた賢者のロムルスがパーティー内で立場を悪くしているとの情報が入った。


 なんでも、貴族の生まれにして有能なジョブを得たからか、僕と同じ十四歳の頃から周りに称賛され、よいしょされ、おごり高ぶっており、パーティーでの横暴が目に余るという。


 追放しようにも、相手は貴族で、実力は賢者として申し分ない。


 つまりロムルスを力でねじ伏せて、今までパーティー内で荷物持ちや雑用をこなしていた僕が代わりに戻ればいいのだ。


 追放の際、みんなが本心であんな言葉を投げかけたのではないと、人の心を読む魔物から教えてもらった。


 本心では、これ以上ハズレジョブの身で冒険者を続けるなんて危険な事をしてほしくなかったのだという。だから心を鬼にして、露骨に傷つける言葉をぶつけてきたそうだ。


 つまり、みんなは僕が追放された後の事も気にしてくれていた。ジークさんも、経験値保存結晶で路銀を託してくれた。


 これだけされて、更に力も手に入れて、困っているのは見過ごせない。


 だから、僕がロムルスを追い出すことで、恩返しをする。それが今の僕がやるべきことだ。


 問題は戦う舞台が必要ということだが、そんな折、街に向けて大型のサイクロプスが進行しているとの知らせを受けた。


 どうやら【深紅の翼】が広大な荒れ地で討伐にあたるそうだが、仲間の魔物たち曰く、サイクロプスは人間たちが攻めつつある地域の弱い魔物を守るために捨て身で襲い掛かってきたそうなので、説得が出来る。


 ガブちゃんの翼で先回りし、サイクロプスを説得して帰るよう告げる。それから遅れてやってきた【深紅の翼】へ僕の力を見せてから、改めてロムルスに決闘を申し込めばいい。


「じゃあガブちゃん、そういうことだから急いで飛んでくれる?」

「了解でさぁ」


 ガブちゃんの前足に体をがっしりと握ってもらい、戦いの舞台である荒野へ。


 とても広く、あの傲慢なロムルスを完膚なきまでに叩きのめすだけの魔物を召喚しても、問題ないだろう。


 そうしてしばらく待っていると、サイクロプスの見上げるような巨体がズシンズシンと地響きを立ててやってくる。


 空で待っていた僕はガブちゃんにサイクロプスの顔へ飛ぶように頼むと、その巨大な顔を前に、これからの事と、自分の事を話した。


 戦いを望まない魔物のために尽くすから、今は手を引いてくれ。そう頼み込むと、サイクロプスはガブちゃんや僕の中にいる魔物たちの声を聞いてか、「約束だ」と、どこかたどたどしく口にして去っていった。


「……さて」


 ここまでは上手くいくと思っていた。あとは、いかにこの場でロムルスと僕のどちらがパーティーに対して有用かを示しつつ、散々馬鹿にしてくれた仕返しをできるかだ。




 ####




 【深紅の翼】は、サイクロプスが見当たらないが荒野へとやってきた。


 僕は上空から耳もいいガブちゃんに何を話しているかを聞いてもらい、少々呆れていた。


 なんでも、ロムルスが「この私に徒労を押し付けたというのか! 私の力を借りたいのであれば、確証のある情報を得てからにしろ!」だとか騒いでいるらしく、他のメンバーはウンザリしているそうだ。

 そのロムルスだが、どうやら自分が特別扱いされ、周りが引き立てるのは当たり前とまで言葉の端から伝わってくるそうで、みんなが不憫に思える。


 しかし、それだけ自分の事を特別だと思っているのなら、決闘を申し込むのは簡単だ。


 ガブちゃんと共に舞い降りると、真っ先にジークさんが驚いた様子で声を上げる。


「リヒトなのか!? いや、それにワイバーンだと!? いったいどうなっている!?」


 酷く困惑するジークさんに、詳しいことはあとで話すことと、サイクロプスは帰っていったことを話す。


 それと、


「最近パーティーの統率を乱している奴がいるって聞いてので、ちょっと様子を見に来たんですよ」


 言うと、メンバーの視線が一瞬ロムルスに向いた。だが本人は知らん顔だ。

 それどころか、僕に向かって「用が済んだのならとっとと帰れ」などと言ってくる。


 だが、僕はこれから本当の用事を済ませると言い返してから、ジークさんに向き直る。


「実はパーティーに戻してもらいたいんです。僕はまだ、あなた達のパーティーでやるべきことがあるんです」


 真っ直ぐに瞳を見据えて言うも、ジークさんは困惑していた。


「だが、人数規定が……」

「人数規定ですか。でも僕には一人、このパーティーに相応しくない人がいるって思うんですけど」


 ジークさんが言い淀むと、ロムルスへ向けてハッキリ言ってやった。


「傲慢で自分勝手で、パーティーの調和を乱すだけのあなたですよ」


 格下相手の僕に言われたのが気に食わなかったのか、ロムルスは眉間にしわを寄せながら睨みつけてくる。

 だが、僕はロムルスが何か言う前に指を突きさして宣言した。


「あなたに決闘を申し込みます! 僕が勝ったら、あなたとは交代でパーティーに入れてもらいます!」


 それまで睨んでいたロムルスだが、僕の宣言を聞いた時、声を上げて笑った。


「どういう経緯でワイバーンを味方につけたか知らないが、その程度でこの私に挑むだと? そういえば庶民とはロクな学びもなく無知だったな、力の差というものを理解しようともしない愚鈍さだ!」

「そういうセリフは、勝ってから言うものじゃないですか?」


 煽ってやると、ロムルスは「どいつもこいつも……」と口にしだす。


「この私にリーダーを譲らないジークも、劣っているくせにコンビネーションだとかほざくパーティー連中も、なによりハズレジョブ持ちの癖にして私に意見する愚か者! とにかく私を苛立たせる……貴様を叩き潰せば、少しは気分も晴れるというものですかね!」


 ジークさんが僕に無茶だと言おうとして、フッと笑って返す。


「問題ないですよ。今の僕は、賢者程度には負けませんから」


 この言葉がロムルスにとって限界だったようだ。完膚なきまでに叩き潰すと魔術を展開し、開始の宣言も待たずに放ってきた。


「ガブちゃん!」


 だが、あの程度ならガブちゃんのスピードで避けられる。そのまま接近して切り刻んでもらおうとして、転移の魔術で後方へと逃げられた。


「あくまで私に噛みつくつもりか……ならば、こちらもとっておきを使いましょう!」


 そう言ってロムルスが取り出したのは、魔物を封じておく「呼札」と呼ばれる魔道具だった。召喚士が軽視される理由の一つとして、呼札に魔物を封じておけば、いつでも呼び出して戦わせることが可能なのだ。


「私は賢者、つまりは後衛が主なのでね、前衛を任せる魔物を父上より授かっている!」


 呼札が光り輝くと、やがて三つ首の魔物――ケルベロスが現れた。

 真っ黒で針のように鋭い体毛に覆われ、真っ赤な瞳は血を彷彿とさせる。


 見上げるような巨躯と、鋭利な岩石のように大きな牙と爪。

 冥界の番犬の異名を持つケルベロスが遠吠えを上げると、大地を揺るがし、数多の魔物を倒してきた【深紅の翼】のメンバーたちも慄いていた。


 でも、僕からすると所詮は首輪の繋がれた子犬みたいなものだ。


『ガルルルル!』と僕に唸るが、正直まったく怖くない。


 しかし、ロムルスは絶対的な勝利を確信したのか、高笑いを上げる。


「はははははは! さぁ、ハズレジョブ持ちが冥界の番犬と私の魔術のコンビネーションに勝てるかな!?」


 ケルベロスも咆哮を上げ、ジークさんも驚いている。


「禍々しく、なんと恐ろしい魔物だ……これに合わせて、ロムルスの魔術も飛んでくるというのか? そんな物、俺ですら勝てるかどうか……」


 ジークさんは絶句手前で、パーティーメンバーに関しては、もはや目をつぶって僕の最後を見ないようにしている。


 しかし僕は、ケルベロスを見て首を傾げていた。


「冥界の番犬だっけ? そんなのに前衛任せちゃっていいの?」

「ハッ! ケルベロスを前に現実を受け入れられなくなったか! 冥界の獄炎とこの私の魔術に成す術などないのだからな! どうだ? 今ならまだ、靴を舐めて命乞いをしたら赦してやるぞ? ほらどうだ、早く跪け!」


 まぁここまで怒らせていると、靴を舐めようが助ける気などないだろう。


 ジークさんもパーティーメンバーもそれを理解してか、苦虫を嚙み潰したような顔を僕に向ける。


 一方、僕はというと、呆れて溜息を漏らし「どの子」でいくか考えている。


 そう考えながら、またしても魔術とケルベロスの炎が迫るので即座にマジックゴーレムを召喚し盾とすると、ロムルスが狼狽した。


「な、なんだ、その魔物は!? 私の魔術をかき消しただと!?」

「そりゃね、マジックゴーレムは対魔術の岩石で作られた魔物だから。もう千回くらい攻撃されてもビクともしないよ」


 見たところ、ロムルスは本気の魔術を放っていた。それをハズレジョブの召喚士による召喚魔術により防がれたのだ。


 あり得ないと、その顔がドンドン引きつっていく。


 しかし僕は気にせず、軽い調子で「よし決めた!」と笑みを浮かべた。


「出番だよ、来て、ラグナウルフ!」


 召喚陣が描かれると、そこに一筋の光が差し、巨大な狼が現れる。


『ヒュゥゥゥゥゥゥ!!!』


 召喚したラグナウルフは、金色の体毛を風になびかせて、高らかに咆哮を上げた。


 ラグナウルフを見て、ロムルスはすっかり余裕の表情が崩れている。


「馬鹿な!? 神域の狼じゃないか!? 怒らせたら世界が滅ぶぞ!」

「そんな怖い子じゃないよ? ねぇ、ラグ」


 撫でながら愛称で呼ぶと、神の一族――神域の魔物であるラグは人間の言葉を発した。


「当たり前ですマスター。マスターの世界を滅ぼすなど、天地がひっくり返ってもあり得ません」

「ほらね? 良い子でしょ?」


 ラグとの絆を見せつけると、ロムルスもケルベロスも委縮していく。


「マスターと呼ばれているだと……信頼関係まで築いているのか!? 神域の魔物と、友達にでもなっているというのか!!」

「なれるよ、言葉が通じて、力を認め合った者同士なら――さて、一気に決めるよ!」


 僕の声に合わせ、ラグが高らかに咆哮を上げると、周囲を光が包み込む。


 そして一瞬の瞬きの後に、その黄金の体毛が炎を纏う


 見上げるような巨体が黄金の輝きを放ち、真っ赤な炎の揺らめきを身に纏い、その鋭い眼光はケルベロスを捉えた。


 もうその後、ケルベロスには何もできなかった。


 僕が一言、二ッと笑いながら告げる。


「神域の獣よ、野良犬を焼き尽くせ!」


「マスターのお心のままに!」


 僕の命令にラグは応え、一瞬でケルベロスへと距離を詰める。


 そして口の中から神々しい光と悪性たるものを浄化する炎を吐くと、ケルベロスは塵となって消えた。


 体毛一本残さずに、ロムルスが自信満々に出してきたケルベロスは完全に消滅したのだ。


「流石! 神の名は伊達じゃないね!」

「神を従えるマスターのお力があってこそです」


 僕は謙虚な神様を、よくやったとして撫でまわした。


『神域の獣、ラグナウルフ』――ラグは褒められ、満足げに尻尾を振っている。


「……ば、かな」


 そんな傍らで、ロムルスはもはや膝から崩れ落ち、ご自慢の魔術も唱えないようだ。


 やがて情けなく、ヘナヘナと座り込んでしまう。


「貴様は、なんだ……? ハズレジョブの召喚士じゃないのか……? なぜそんな取るに足らない雑魚が、一瞬でケルベロスを消し去る化け物を従えているのだ……?」


 召喚士だからだよ。僕はそうとだけ答えた。きっと、世の中が召喚士を危険視なんてしなければ、ハズレジョブなんて呼ばれなかっただろう。


「さて、ラグは全然元気だし、まだまだ色んな子を呼べるけど……どうする?」


 もはやこの問いに、ロムルスは戦うという選択肢を取れなかったようだ。


 必死に転びながらもジークさんへ駆け寄ると、懇願するように両手を合わせた。


「あ、あんな化け物を仲間にしてはパーティーが危険視されるぞ! だ、だから私をパーティーに……」


 ここまで来て敬語の一つも使えないとは。僕も、そしてジークさんも呆れつつ、ハッキリと言った。


「ロムルス、お前を【深紅の翼】から追放する! 代わりに加えるのは、約束通り召喚士のリヒトだ!」


 力強い言葉に、ロムルスはとうとうその場に崩れ落ちて無様にも泣き始めた。


 そんなロムルスなど知らず、僕とジークさん、それからパーティーメンバーのみんなはようやく落ち着いて再会を果たす。


 みんなが、どこかバツの悪い顔をしている。追放の時、散々言った事を気にしているのだろう。


 だけど、みんなが僕に気を使っていたのは、もう知っている。


 みんなは、「ハズレジョブ持ちが追放されて、また変な希望を持たないようにわざと強く辛い言葉」で僕を追い出したのだ。

 これに関しては、召喚できる心の読める魔物のお陰で確信が持てる。


 だから、ペコリと頭を下げた。


「みんな、本当にありがとうございます」

「リ、リヒト……?」

「みんなが僕の事を想って心にもないことを言ってくれたのは、知っていますから。そうまでして僕の事を心配してくれて、本当に本当にありがとうございました! ……でも、これからはそんな心配なんてさせずに、一緒に戦いますからね」


 そのまま詳しい事情を伝えると、みんなは口々に「悪かった!」とか「ごめんなさい」と謝ってから、「いつだって挫けずに前向きでいい奴だったよな」とか「ハズレジョブ持ちなのに諦めないタフな奴だと思ってた」と、まるで追放の時に言い過ぎたからか、褒めちぎりながら迎え入れてくれる。


 そうしてジークさんが、改めて手を差し出してくる。


「正直リヒトの方がはるかに強いが、まだお前は成人したばかりの十四歳だ。言い訳に聞こえるかもしれないが、リーダーは引き続き俺がやる。構わないか?」

「むしろそうしてください。僕は力を手に入れただけで、他にはまだまだ学ぶべきことが沢山あるんですから!」


 こうして、僕たち【深紅の翼】は再結成を果たした。けど、僕は一人、いつかジークさんを含め、沢山の人に話さなければならない秘密を知ってしまった。


 なぜ、僕の元にこんなにも強力な魔物が集まっていたのか。それはひとえに、かつて打倒された「魔王」が復活し、その闇の力から逃れるためだという。


 その力は果てしなく、倒さなくてはならない。人間にとっても魔物にとっても共通の敵だ。


 それをいつ伝えるのか。それはまだ、決まっていない。


 パーティーのみんなと、魔物のみんなと話し合って、いつか魔王への対策をみんなで練る。


 その日まで、魔物の国作りや、パーティーとして戦闘に参加していく日々が続いていくのだろう。



####

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最弱職の召喚士ですが、追放後にジョブが進化し神話級の魔物を召喚できるようになったので無双していこうと思います 鬼柳シン @asukaga

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