ヒロインレースは修羅の道

白川津 中々

◾️

その結末に「なんでやねん」と奇声を発するのは俺にとって当たり前の事だった。



「絶対おかしいだろ。なんでこいつやねん」



半分怒りながら更に一人呟く。あまりの裏切り、よくない意味で予想を外れる内容。これが叫ばずにいられるか。誰がどう考えてもこいつじゃないだろう感が半端ない終わり方。作家の良識を疑わざるを得ない。期待に期待した、漫画"やり過ぎですよ茅ヶ崎くん"のヒロインレース。何故ぽっと出のキャラクター"下麻生"とくっ付くのか。それまでメインヒロインだった"百合々浜"さんが負ける利用が皆目不明。連載10年の積み重ねが瓦解する暴挙である。なんでぇ?



頭きた俺は週刊サニーデイズにクレームを入れたところ作者がXにて「ヒロインはなにがあろうと下麻生。読者の総意」などと抜かしやがる。

アホか。お前の趣味だろ。思い起こせば前作も前々作も似たようなキャラを急に放り込んで展開おかしくさせてやがった。セルフメアリースーしやがってこのヤロウ。担当も止めろやバカヤロウ。



やり場のない怒り。いや、やり場を見つけなくてはならない。俺は早急に液タブとクリスタを購入し執筆を開始する。


二次創作を描いて作者に送ってやるのだ。この暗黒たる情熱を奴にぶつけてやるのだ。


有給申請OK。

ホテルの予約も完了。

缶詰環境準備万全。

描くぞ、理想の展開を!



二週間後、反響をみるため(完成した作品を読んでもらいたいという気持ちもあったため)できあがった作品を投稿サイトにアップしたところ見事に酷評だらけであった。改めて、漫画家って商売なんだなと実感した。

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