第31話 六角家残党包囲戦 ―慎重なる兵糧攻め

六角家の残党は山間部の要塞に籠城し、ゲリラ戦を展開していた。藤吉郎は急襲するのではなく、慎重に包囲し、兵糧攻めで確実に追い詰める作戦を選択した。無謀な突撃は被害を増やすだけであり、六角家の誇り高い戦い方を考慮すれば、焦りは禁物であった。


藤吉郎は滝川一益や丹羽長秀らと共に、六角家の残党が籠る山中の要塞を包囲した。周囲の地形を巧みに利用し、敵の動きを封じ込めるべく周到な作戦を練った。


「この地形を利用し、補給路を完全に断つ。無理に攻め込まず、じっくりと敵を弱体化させるのだ。」


藤吉郎の冷静な指揮のもと、織田軍は着実に包囲網を築き上げていった。山間部に築かれた六角家の要塞は防御力が高く、簡単には落とせないが、兵糧攻めを続ければ必ず敵は降伏するだろうという確信があった。


六角家はゲリラ戦を得意としていた。夜間に少数の兵で織田軍を攪乱し、奇襲を仕掛ける戦術で織田軍に疲労を与えることを狙っていた。


ある夜、山中から六角家の残党が奇襲を仕掛けてきた。斥候が敵の動きを察知し、すぐに藤吉郎に報告する。


「敵がこちらに向かっています! 奇襲のようです。」


藤吉郎は冷静に対応し、すぐに守備を固め、奇襲を迎え撃つ準備を整えた。


「決して慌てるな! これは彼らの得意な戦法だが、我々は冷静に対処する。無理に追撃せず、守りを固めろ。」


滝川一益の部隊が先陣を切って迎撃し、丹羽長秀がその支援に回った。織田軍は藤吉郎の指示通りに動き、敵の奇襲を防いだ。


日が経つにつれ、六角家の要塞内では兵糧が尽き始めていた。補給路を完全に封じられた彼らは、次第に戦う意欲を失っていく。


「彼らの士気は下がっている。今はじっくりと待つ時だ。無理に攻め込まず、敵が自ら音を上げるのを待つのだ。」


藤吉郎は兵たちに休息を取りつつ、包囲を強化するよう命じた。六角家の兵たちは飢えと疲労で士気を失い、次第に内部での混乱が広がっていった。


ついに、六角家の使者が藤吉郎の元にやってきた。彼らは城内の苦しい状況を伝え、降伏の意向を示した。だが、六角家の武将たちは誇り高く、降伏に対しても条件を求めていた。


「我々はこれ以上戦いを望んでいませんが、我が主、六角義治には誇りがあります。条件付きでの降伏を希望します。」


藤吉郎はその言葉に耳を傾けたが、織田軍に不利な条件を飲むつもりはなかった。


「無駄な血を流すことは避けたいが、織田軍に不利益をもたらす条件は受け入れられぬ。こちらも厳しい条件を突きつけるつもりだ。」


藤吉郎は滝川一益と丹羽長秀と共に、交渉の場に臨むこととなった。


交渉の場が設けられ、六角家の代表者が窮状を説明しながら降伏条件を提案してきた。藤吉郎は冷静にそれを聞きながら、相手の誠意を見極めた。


「無駄な血を流すことは望んでいないが、六角家の誇りがあるならば、それを守りつつも、織田軍の勝利は揺るがない。」


交渉は緊張感を伴いながら進んだが、最終的に六角家は降伏を決意した。藤吉郎は六角家の誇りを尊重しつつも、無駄な抵抗を許さず、織田軍の完全勝利を確実にした。


六角家の降伏により、山中の要塞は正式に織田軍の支配下に入った。藤吉郎はすぐに戦後処理を開始し、要塞の防備を強化した。六角家の残党が再び勢力を盛り返すことがないように、慎重に対応を進めた。


「これで六角家の脅威は一掃された。しかし、まだ油断はできない。要塞を強化し、再び敵に利用されることがないようにせよ。」


藤吉郎の指示のもと、織田軍はすぐに防備を整え、次なる戦いに備える準備を始めた。


次回の選択肢


1.藤吉郎は、信長に報告し、さらなる命を受けるため岐阜城へ戻る。

•六角家の脅威を排除し、戦勝報告を行うため、藤吉郎は信長のもとへ戻り、次の任務を受ける。


2.藤吉郎は、六角家の残党を引き続き追撃し、完全に壊滅させる。

•六角家の降伏を受け入れるも、まだ反抗する者が残っていると判断し、さらなる追撃を決意する。


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【毎日17時投稿】【読者参加型小説】太閤立志伝 〜秀吉の選択〜 湊 マチ @minatomachi

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