11、決闘(をどうやらしているようです)。


オリエンテーションが全て終わり放課後、俺は学園を散策していた。


「にしても広いなぁ……」


 校舎は広く、グラウンド(ここでは戦闘場と言うらしい)が五つもある。しかも敷地内には山も川もある。とにかく広い。


「ここは武器収納庫か……。中、入れるかな?」


 引いてみるが鍵がかかっているのか開かない。


「流石に無理かー」


 諦めた俺はまだ行ったことのない3階へ向かおうと階段を探した。その時だ。


「「「おおおーー!!!!」」」


外から歓声が聞こえた。気になった俺は窓の外を見る。そこには大勢の人に囲まれた二人組が。


「そういや決闘するって言ってたな」


 三階も行ってみたいが、同学年の人がどの様な戦い方をするのかも気になる。


「行ってみるか」


 俺は階段を降りた。



 ――――――

 

 

 第一戦闘場に着いた。しかし、もう終わってしまっていた。


「すげぇよな! ぱっと見弱そうなのによ!」

「あの戦狂姫が手も足も出ないなんて」


 どうやら男性の方が勝ったらしい。見たかったんだが、しょうがないか。


 三階に行く気も失せた俺は自室に戻ろうと踵を返した。


「ちょっと待って!」


 その時、俺は誰かに呼び止められた。振り向くと昼に絡まれ、そしてさっき勝った例の男性がいた。


「えっと……どうされましたか?」

「君、昼の時に僕を庇ってくれたよね!」


 もしかして、馬鹿にされたと怒ってるのか?確かにあれは失礼だったな。

 

「見た目では想像がつかず、無駄なことをしてしまいました。馬鹿にした様に思われるのでしたら、本当に申し訳ない」

「違いますよ! 僕、嬉しくて、、」


 どういうことだ?

俺の不審そうな顔を見たのか彼は焦った様に話す。

 

「故郷の人達は僕が話しても無視されたり、なぜか怖がられたりするばかりで……。」


 なんだそれは? 酷くないか!

 憤慨する俺の気持ちを知らない彼は凄くキラキラした目で続けた。

 

「家族以外とこんな風に会話するのも久しぶりで今僕、凄く楽しいんです!」


 なんかもう、かわいそうに思えてきた……。


「もしよければですが、僕と友達になりませんか!?」


 言うことは一つしかない。

 

「もちろんですよ!」


 彼はとても嬉しそうに笑った。


「やったぁ! 僕、グラン・リッツって言います!」

「ルーク・リコルドです。……お互い敬語は外そうか」

「はい!……じゃなくてうん!」


 めちゃくちゃ嬉しそう。なんか俺まで嬉しくなってきた。

 というか大体俺だって、公爵家だってこともあり友達は愚か、同学年とこうやって話すこともほぼなかったのだ。ひとのこと言えないなぁ。


「そういえばグランはあの戦狂姫に勝ったらしいけど、どうやったの?」

「中々強かったよ。僕も奥義の一つを使ったもん」


 流石に戦狂姫も強かったんだな。ああ見たかった……。


「ちなみに奥義って何個あるんだ?」

「えーとね、100?もっとあったよーな……」


 それ、ただの技じゃね?


 そう言いたかったがキラキラした顔をするグランを見たら言えない。

 

…………天才って恐ろしい。

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勇者の親友は転生者!〜俺が知ってるラノベ達はこんなんじゃない〜〜 ゆーふぁん @yufan

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