高度知的生命体の少女は、グリフォンに乗って舞い降りた。

五木史人

高度知的生命体の少女

高度知的生命体の少女は、グリフォンに乗って舞い降りた。

ぼくは円盤型の宇宙船を想像していたのに、虚を突かれた。


「SFとファンタジーのジャンル分けは、ちゃんとしたいのに」

「君が来てくれって言ったから来たのに、その言い草はないよね」

と高度知的生命体の少女は言った。


「まあ、そうなのだが、でも本当に来るとは思ってなかった」


ここは、海の見える高級別荘地の一室。

正確には、昔、高級別荘地だったと言うべきだろう。

今では一般住宅以下の価値しかない哀しい存在だ。

ゆえに今は空き家だ。


そうぼくが勝手に住居不法侵入をしているだけだ。


さて、ぼくは別に、宇宙人の事を100パーセント信じたいた訳じゃない。

「いるんじゃないかな」って程度だ。


どうせ偽物だろう。って宇宙人の呼び出し方を本に書かれている様にしたら、本当に宇宙人が来てしまったのだ。


高度知的生命体の少女は、とても美しかった。

どのくらい可愛いかと言うと、人類で一番可愛い人より120パーセントくらい可愛さアップした位だ。


「生命体は進化すると美しくなるものだよ」

高度知的生命体の少女は、言った。


「それにしてもなんで全裸なのですか?」

「君に対して服を着る必要があると思う?」


彼女の言葉を深く考えると、なんか色々現実を知ってしまいそうなので、沈黙した。


「でも、君が気になるなら服を着ても良いよ」

と高度知的生命体の少女は、紺のコートを羽織った。


「いや・・・」

ぼくはそれを否定する言葉を否定した。


「今日はね、君の為に素敵な窓を取り付けてあげたよ」


そこには海が見える大きな窓が取り付けてあった。

今は、高度知的生命体の少女によって、紺色のカーテンが閉められていた。


「君はわたしと同じ景色を見たい?」


高度知的生命体の少女が見ている景色。


「ぼくが見ている景色と違うの?」

「そりゃーね」

この高度知的生命体の少女と同じ景色を見れる。

そりゃー興味をそそられた。

「見て見たい」

ぼくが言うと高度知的生命体の少女は微笑み、カーテンを開けた。


そして、ぼくは発狂した。


ぼくの意識の欠片が、高度知的生命体の少女の

「はぁ」

と嘆く声を、感知した。


        


      完

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高度知的生命体の少女は、グリフォンに乗って舞い降りた。 五木史人 @ituki-siso

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