勇気の讃歌を高らかにうたう

高校をサボって便利屋でバイトしている主人公と、不死者で堕天使の店主が受けた失くし物探しの依頼から大きな事件に巻き込まれる話。
あらすじから勝手に短編連作的なものかと思っていたら、一つの事件を追う長編だった。しかし状況が刻一刻と変化し、章ごとにメインとなるキャラクターが異なるので、別の楽しみをかわるがわる味わうことができた。
主人公はその砕けた口調と態度から、軽い性格なのかと思いきや、読み進めていくほどにこんなに強い芯があったのかと驚かされることになった。今どきの作品には珍しく真正面から勇気のすばらしさを叫び、困難に立ち向かうその姿は、実に眩しい。逃げも照れもなく「カッコいい」とはこういうことである、を追求した作品。現代のライトノベル環境においては、かえって新鮮に映った。
サブタイトルにもある「黙示録戦争」については、エピローグで触れられたのみで、今回が大きな物語のプロローグといった形。2巻や3巻で終わってもらうとどう考えても消化不良に終わってしまうだろう。ぜひ長く続いてほしい。