高校をサボって便利屋でバイトしている主人公と、不死者で堕天使の店主が受けた失くし物探しの依頼から大きな事件に巻き込まれる話。
あらすじから勝手に短編連作的なものかと思っていたら、一つの事件を追う長編だった。しかし状況が刻一刻と変化し、章ごとにメインとなるキャラクターが異なるので、別の楽しみをかわるがわる味わうことができた。
主人公はその砕けた口調と態度から、軽い性格なのかと思いきや、読み進めていくほどにこんなに強い芯があったのかと驚かされることになった。今どきの作品には珍しく真正面から勇気のすばらしさを叫び、困難に立ち向かうその姿は、実に眩しい。逃げも照れもなく「カッコいい」とはこういうことである、を追求した作品。現代のライトノベル環境においては、かえって新鮮に映った。
サブタイトルにもある「黙示録戦争」については、エピローグで触れられたのみで、今回が大きな物語のプロローグといった形。2巻や3巻で終わってもらうとどう考えても消化不良に終わってしまうだろう。ぜひ長く続いてほしい。
エリちゃんは女王陛下です。
エリちゃんの野望は間借りしている事務所から、自らを女王とした国を建国すること。
班目君はそんな女王陛下の臣民第一号です。
エリちゃんはそんな班目君を紳士にふさわしくなるよう教育し、班目君もそれに素直に答える臣民の鑑です。
なので、徐々に紳士として成長していく班目君も見どころポイント。
もちろん、功を立てればご褒美もあり、陛下はそれを惜しみません。
だからこそ班目君もそんな陛下に応えようと頑張るのであって、陛下の教えを胸に人外の戦いにさえ赴きます。
この二人の関係は、単なる雇用関係でも、甘い男女の恋人関係というだけでもなく、そう、まさしく敬愛する主と信頼する従者、主従関係といえるでしょう。
この関係はとても尊い……推せる……いや、敬愛に値するッ!