きさらぎ駅
Kisaragi
本編
私は、ある街に住む学生だ。
私の街にはとある噂があった。それは、電車で寝過ごしたら知らない駅に着いていてそうしたらもう帰れないというものだった。
私は別に信じていなかった。そういう類いのものはすべて作り話だと思っていた。
しかし、祖父も私に、
「もしあの駅に行って祭り囃子が聞こえたらすぐに逃げなさい。」
といっていた。あの真面目な祖父が言うのだと本当なのかな。と思ったりもしたけど、やっぱり信じられなかった。
ある日だった。その日は部活で遅くなってしまって、うつらうつらしながら電車に乗っていた。そのうち眠ってしまったらしく電車は駅に止まっていた。私はしまった。と思い電車から急いで降りた。しかし、その駅は何かが違った。いつも乗っている路線にこんな駅はなかった。すべてが古くぼろぼろで、どこか不気味ささえも感じる。
ふと、駅の名前が書いてある看板をみたらそこにはかすれた字で「きさらぎ駅」と書かれていた。
知らない。こんな駅路線にはなかった。
まさかこれが例の駅なのか、と思った。
携帯もつながらず、どうすればいいのかわからなくなっていたときだった。
遠くから祭り囃子のようなものが聞こえてきた。そのとき思い出した。祖父の言葉を。ここが本当にあの駅なら逃げないと。
私は駅の線路に飛び込み、逃げ出した。
一心不乱に走った。途中、「線路を走ると危ないよ。」という声が聞こえたが、後ろからどんどん近づいてくる祭り囃子から逃げるのに夢中で気づかず走り抜けた。
途中トンネルもあった。
そのトンネルを抜けたら祭り囃子は止まった。
私が息を整えていると、一台の車が私の前に止まった。
「やあ、大丈夫?困ってそうだし乗っていくかい?」
走っていて疲れていた私はその車に乗った。
その車の男性は優しくいろいろな話をしてくれた。ああ、優しい人でよかった。
『学校が終わり、部活帰りに●●線に乗って以降行方がわかっていません。何か情報をお持ちの方はこちらまでご連絡をー。』
きさらぎ駅 Kisaragi @unknown_2624
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます