リアルハント【後編】

『リアルハント』をダウンロードした翌日、ボクはテレビを付け、ボンヤリと朝のニュースを聞く。

リポーターが現場から生中継をしており、犯人が未だ捕まっていない事が伝えられると、スタジオにいる芸能人タレントが不安そうな声を出す。

ボクはひとつ確かめるため、『リアルハント』のゲームを起動させる。

思った通り、現実の渋谷とリンクしているようだ。

ゲーム内に映し出されたのは、現場検証をする警察官のキャラに、カメラクルーとリポーターのキャラも。

キーボードを操作し、ライフルをリポーターに合わせる。

桜井さくらいみさき、29歳、女】

「確かに実際のリポーターと同じ名前だ。だが本当にこれで殺せるっていうのか?」

リポーターの女性に恨みなどはないが、ボクはリポーターの頭をめがけ銃弾を発射した。

パンッ!!

テレビ画面からは、頭を撃ち抜かれ崩れ落ちるリポーターの姿が日本中に生中継された。

「うわっ、マジかよ・・・」

テレビには逃げ惑う人々が映し出されたが、ゲーム内のキャラクターも、同じ動きをしているのに気づく。

「これは、悪魔のゲームだ」

ボクはそれから渋谷のスクランブル交差点を通行する人々を狙撃し続け、ゲーム内で得点を稼いだ。

しかし、この連続無差別発砲事件の影響で、渋谷の街には厳戒令が敷かれ、スクランブル交差点から人々が消えた。

それに伴い必然的にゲーム内のキャラクターも消えたため、ボクは得点を上積み出来なくなってしまう。

警察の特殊車輌と、自衛隊の装甲車までもが渋谷を巡回する様は、まるで戦時中かのような光景。

「くそっ、あともう2人くらい狙撃して得点を稼げれば、ロケットランチャーが手に入るっていうのに」

ボクはパソコンの画面を見ながら、鬱憤が溜まっていく。

「そういや、少し前に手に入れた手榴弾があったな。これ使ったらどうなるんだ?」

アイテムから手榴弾を自分プレイヤーに持たせ、交差点の真ん中へと投げようと試みる。

「あっ!」

キーボード操作を誤り、手榴弾が自分プレイヤーの足元へと転がると、閃光と同時に自分プレイヤーの体がバラバラになった。

それと同時に、ボクの体の真下での爆発が起こり、一瞬にして腕と足はちぎれ、体もあっという間に吹き飛んだ。

「これで、人生終了ゲームオーバー・・・か」

ボクは薄れゆく意識の中、最期にそう呟いた。


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リアルハント 岸亜里沙 @kishiarisa

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