エピローグ まりん0しゃい
俺は真凜と一緒に、あーちゃんの寝顔を見つめている。
はあ。幸せだなあ。
「可愛い。あーちゃんの寝顔、天使すぎ。ちゅっ……」
「ほっぺたぷにぷにのぷるんぷるんっ」
あーちゃんばっかりずーるーい。
「もー。赤ちゃんに嫉妬しないでよ。しょうがないなあ。ちゅっ」
えへへ……。左もお願い……。
「もう……。甘えん坊なんだから……。ちゅっ」
ああ……。幸せだなあ。
「あなた。あーちゃん寝付いたし、私、お風呂に入ってくるね」
うん。どうぞ。
「あれっ……。きゅ、急に目の前が……」
お、おい、どうした?
「そ、それが……。ああっ……。はあんっ……! か、体が熱い……!」
おい! 大丈夫か!
あっ!
ああっ……。ま、真凜の体が小さくなっていく……!
「あんっ……。ああっ……。あなた……。わたし、おかしくなりそうっ……!」
「だう~」
真凜が赤ちゃんになっちゃった!
『あれっ。なんかろれつが回らない。それに、視界もぼんやりする。ど、どうしよう。目眩? 立ちくらみ? あなた。助けて!』
「あう~っ。うぇぇん」
『ああっ。どうしよう。あーちゃんが泣いてる』
「うぇぇぇん!」
『あれ? すぐ近くで泣き声がする……。どこ? いない……。どうしよう。わたし、体もぜんぜん思うように動かない』
真凜……。なんでお前まで俺と同じことに……。
「だー! だーっ!」
『あ! あなた! 私は大丈夫。ちょっと疲れただけだから、あーちゃんを……。きゃっ』
「あーっ。あうーっ」
お前が何を言っているのか、なんとなく想像がつくよ。
戸惑うのも無理はない。
『あ、あなた、やけに大きくなったけど……。ど、どうしたの。なに、言ってるの。わたし、耳がよく聞こえないの』
お風呂に入りたいんだよな。
いつも俺が赤ちゃんになった時に入れてもらっているし、今日は俺が入れてあげるから、お前は楽にしててくれ。
俺は服に埋もれた真凜を抱きあげる。
「きゃーうっ!」
『きゃっ! あなた、凄い力。私のこと軽々と抱っこしちゃうなんて。で、でも、変よ。あなた巨人みたいに大きい……。あ、あれ……。も、もしかして……』
ふふっ。お風呂、楽しみだねー。
待っててね。すぐにお風呂に入れてあげるから。
『わたし、赤ちゃんになってるーっ?! ちょっと、あなた、笑わないでよ。あはっ……。なんか私まで楽しくなって……』
「きゃははッ! きゃはっ! だーっ! だーっ!」
『え? あれ? ど、どこに行くの? ま、待って。あなた。お風呂は大丈夫。あとで入るから。え。あっ……』
ガラガラ……。
「だーう、だー」
『待って! 夫婦だけど! わたし、こんな体だし恥ずかしい! ねえ、いやっ、いやああああっ!』
「きゃははっ! きゃっきゃっ!」
おいおい。そんなに元気に腕を振り回すなんて、本当にお風呂が楽しみなんだな。
全身、しっかりと綺麗にしてあげるからな。
『あんっ。あなたの手、温かくて大きくて気持ちいい……。あっ、やっ……。だっ、駄目ぇぇぇぇっ……』
「あうー。だー」
『で、でも、あーちゃんがお風呂に入れてもらっているときに、苦しくないか、ちゃんと体が洗えているのか、本人に聞くことができないんだから、私が体験して確かめるのは、いいこと……の気がする。だ、だから、うん。覚悟を決めた。私、あなたに洗われる! 全身、くまなく洗って!』
『あっ……。んっ……。手つきが優しい……。気持ちいい……。なんだか、眠くなってきちゃった……』
『すやすや……』
『んっ……! かっ、体が熱い! 目もしっかり見えるようになってきた。耳もはっきりと聞こえるようになってきた……。元の年齢に戻る……!』
「はあんっ……。あんっ……。体が……火照る……。はあはあ……。も、戻った……」
やはり俺と一緒か。真凜もすぐに戻れた。
良かった。すぐに戻れるって信じていたから、あまり心配していなかったけどな。
「うん。元に戻れて良かったわ……。それはそうとあなた……」
ん?
「私、赤ちゃんのときの記憶、しっかりと残ってるわよ! どういうことなの、あなた!」
え?!
俺は本当に赤ちゃんの時の記憶がないんだが……。
よく分からないが……!
ちゅっ!
「ちゅっ……! んちゅっ……! んーっ……。もう、キスなんかで誤魔化されないんだからね……」
ちゅっ! ちゅっ!
「あ、あなた……。赤ちゃん化しているときの記憶……。んちゅっ……。ちゅっ……」
「はぁん……。もう……」
「ばかぁ……。しゅき……」
俺も好きだ。愛してるよ、真凜。
俺達は夫婦そろって赤ちゃん化する不思議なことになっているけど、まあ、夫婦仲は円満だ。
これからも幸せな家庭を築いていくぞ。
まりんちゃん4歳が風見真凜28歳(俺のお嫁さん)になるまで うーぱー(ASMR台本作家) @SuperUper
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