第4話 風見真凜28歳。一児の母
ふう。今日も仕事、疲れたぁ……。
でも、家に帰れば、愛する妻がいるんだ。
ふふっ。君の笑顔で俺はすぐに元気になれるんだぞ。
ガチャッ。
ただいまー。
「お帰りなさい。あなた。お風呂にする? ご飯にする? それとも、わ、た、し?」
うっ……。
あ、ま、まずい。この感触、赤ちゃんになるやつだ……。
立っていられない……。
「あんっ……。もう。こんなところで……。んっ」
「おっぱいがいいんだ……。そんなに私のおっぱい好き?」
はあはあ……。好きだけど。そうじゃなくて、俺の背が低くなっていることに気付いてくれ……!
だ、駄目だ。身体と知能が急速に……。
「え? あっ。待って。これ、甘えておっぱいに顔ダイブじゃなくて、小さくなってるやつ! あっ、あっ、あーっ! あー……。赤ちゃんになっちゃった……」
ばぶー。
「もー……。今日は早く帰ってきてくれたから、久しぶりにいっぱいできると思ったのに……」
「あなたのこれ……。なんど見ても驚くわ……。赤ちゃんになっちゃうなんて不思議よね……。あんっ……。お腹すいたんでちゅかー? しょうがない赤ちゃんでちゅねー。よしよし」
「それじゃあ。ごはんからでちゅねー。ママのおっぱいでちゅよー」
ばぶー。
「んっ……。あっ……。吸い方……いやらしいっ……。あなた、本当に、心も赤ちゃんになってるの? いつも覚えていないって言うけど、最後に忘れるだけで、体は赤ちゃんで頭脳は大人、じゃないの?」
ばぶ?
「あんっ……。噛んじゃ駄目ぇ……」
「んあっ……。もう……。母性本能がうずいて気持ち良くなっちゃう……。あーくんはもうパパなんだから、あーちゃんの分のおっぱいまで飲んじゃったら、駄目だからね?」
「おーしーまーい。おしまいだから。右が終わったら左もーとか、おっぱい、そういうのじゃないからね?」
「それじゃ、今度は私の番。あーくんのぷるぷるほっぺ吸っちゃうわよ……。んちゅっ……。ちゅーっ……。ちゅぱっ……。んもうっ、嫉妬しちゃうくらいお肌もちもち……」
「左ほっぺも、んちゅ~っ……。ちゅっ……。ちゅっ……。赤ちゃんほっぺ、おいちいでチュねー。よしよし」
「げっぷ出る? 背中さすさすしましょうねー。さーす、さーす」
「はーい。よくできました」
「それじゃあ、お風呂の前におしっこしーしーしましょうねー。こーら。暴れないの」
トタトタ。
ガチャッ。
パタンッ……。
「あなたは赤ちゃんになると服が脱げちゃうから、オムツを脱がせる必要がなくて、あーちゃんより楽だわ~。はい。し~し~」
「あらら。どうしたのかな~? し~し~。おしっこしましょうね~」
「満員電車で揺られているあいだ、おしっこい~っぱい溜まってまちゅよね~? だから、い~っぱい、し~し~していいんでちゅよ~? それとも、おむつ履いて、おもらちちたいでちゅか~?」
「もしかちて、赤ちゃんの時は大人の意識が残っているから、恥ずかしくておしっこし~し~できないなんて、ないでちゅよね~? だから、し~し~しましょうね~」
「はやく出さないと、つん、つん……しちゃうよ? ほーら。し~し~。でまちたね~。その調子でちゅよ~。が~んばれ。が~んばれ」
「はーい。いっぱい出まちたねー。よちよち。それじゃあ、お風呂に入りましょうねー」
ガチャッ。
パタンッ……。
トタトタ。
ガチャッ。
パタンッ……。
「私が服を脱ぐ間、待っててね」
ゴソゴソ……。
シュルシュル、パサッ……。
「あら。おっぱいばかりじっと見つめて……。さっきいっぱい飲んだのに、もうお腹すいちゃったのかな? ……それとも、エッチなのかな?」
「下も脱いでほしい? パンツ、見たいんだ……。でも、だーめ。お風呂に入るのはあーくんだけでちゅよー。私は濡れても大丈夫なように上しか脱がないからね」
「おまたせ、あなた」
カラカラ。
「あーちゃん用に買った小さなベビーバスだから、今は大人に戻るの駄目でちゅからね~」
「はーい。だっこ。お風呂に入りますね~」
チャプッ……。
「あーちゃんをお風呂にいれてから少し経ったから、ぬるいかな? 大丈夫? あなたはぬるいお風呂が好きだから、ちょうどいいかな」
「それじゃ、頭から洗っていくわね。目を閉じてくだちゃいねー」
「……大人しいし、言うことを聞くから、大人の意識が残っているように見えるんだけどなあ……。気のせいかな」
「ふふっ。なーんでもない。はーい洗いますよ。じゃぶじゃぶ。ちゃぷちゃぷ。気持ちいいでちゅか~?」
「次は右腕。じゃぶじゃぶ~。じっとしていて偉いでちゅねー。左腕も洗いまちゅよ~。じゃぶじゃぶ~」
「お腹もじゃぶじゃぶ。右足もじゃぶじゃぶ。うふっ。赤ちゃんは体が小さいから洗うのが楽で助かるわー。左足もじゃぶじゃぶ~。あなたって、大人の時に洗いっこすると、すぐに他のことしちゃうから、お風呂の時間が長くなっちゃうのよね……」
「はい。あとは、洗っていないところ、あそこだけでちゅね~。どうしてほしいでちゅ~? うふふっ。きちゃないきちゃないだから、綺麗綺麗しちゃいましょうね~。ちゃぷちゃぷ……。うふっ。ちゃぷちゃぷ……。裏側もしっかり、ちゃぷちゃぷ……。気持ちいいでちゅか~」
「はい。綺麗、綺麗、できまちたよ」
「最後に10数えて終わりまちょうね~」
「あなたは右耳で囁かれるのが好きよね……。だから……。ふふっ……」
「じゅーう、きゅーう、はーち、なーな、ろーく、ごーお、よーん、さーん、にー、いーち……。ふふっ。赤ちゃんなのに、カウントダウンを聞いて嬉しいんでちゅか~? お風呂が気持ちいいんでちゅか~?」
「カウントダウン、中断しちゃいまちたね~。お風呂、出れないでちゅねー。しょうがないでちゅね~。左耳で、もう一回最初からやりまちゅからね~」
「じゅーう、きゅーう、はーち、なーな、ろーく、ごーお、よーん、さーん、にー、いーち……。まーだ。出ないよ……。体、温まってないよね……。さーん、にーい、いーち……。もうちょっと温まりたい? うふふっ。次でほんとうに最後だからね……。ゼロになったら出すからね……。さーん、にーい、いーち……。ぜーろっ……。ぜろっ、ぜろっ、ぜろっ!」
「はーい。お風呂終わりでちゅよー。外に出るまちょうねー。大きくなるの我慢できて、偉いでちゅねー。変な意味じゃないでちゅよー。赤ちゃん用のバスタブの中で体が大きくなっちゃったら大変って意味だからね」
「タオルで拭き拭きしましょうねー」
うっ。か、体が熱い。
元に戻りそうだ……!
よく覚えてないけど、めちゃくちゃ恥ずかしかった気がする……!
「あっ。ちょっと待って。大きくなるの待って。重くて持ちきれないから!」
はあ、はあ……。
「ふう、セーフ……。改めてお帰りなさい、あなた。……ふふっ。大きくなって、えらい、えらい……」
別の意味みたいだから、やめて?!
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