君の種 子宮の奥 撫でられて まるで焼き印 今宵も溺れ

君の種

子宮の奥

撫でられて

まるで焼き印

今宵も溺れ




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「あいつ、また海のこと見てるけど?」

「あぁ、本当だね」

 元彼だ。

 うちの彼氏さんは、心配性だ。寝取りクズ野郎なんて、いまだ言う人もいるけれど。それも元彼が、足掻いているのことを知っている。

 ちゃんと、別れたのに。

 自分が言ったクセに。


 ――理想の幼馴染み。

 色々な人に、たくさん押しつけられた。


 今でも、色々な人が仲裁するって言うけれど。余計なお世話だって思う。

 味方になってくれる人は少ない。

 パパとママ、そして元彼のお姉ちゃん。それから、親友の下河さん。


 ――だって、誰かに期待されて付き合うの違うと思うの。誰かのために好きになったワケじゃないしね。


 下河さんの言う通りだ、って思う。


 ――ただ、傍にいると抑えが利かないんだよね。焼き印つけれれて、ずっと燻っている感じ。海ちゃんは、分かる?


 分かる。

 わかっちゃう。

 すぐ抑えがきかなくなる。


 くいっ、と私は彼の手を引く。


「海?」


 あぁ、この声。

 目、指先。温度。その全部、ぜんぶ。

 好き。

 大好きだから、


 心配してくれるのは、嬉しいけれど。そもそも、ね。私は、雷飛らいと君しか見ていないんだって。改めて、そう思ったんだ。


 同棲していて良かったって思う。

 同棲しているから。毎晩、抑えが利かないって思うけれど。


 首元の絆創膏に触れる。

 まるで、焼き印。

 真っ赤に今も焼きついて。


 今夜もつけて。

 私も、刻むから――。





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ヒロインがあまりに報われないから、噛ませイヌ君が全力で頑張るだけの話。わんわん。

https://kakuyomu.jp/works/16818093084185230960


お似合いの夫婦とまで言われた幼馴染みの二人が別れて。

未だ、未練を引きする君(ヒロイン)に、このタイミングで出会うナンパ師君。


少しアダルトで。少しピュアな真夏のアバンチュール。


ヒロインが幸せじゃないのなら、NTR(ねとり)ますけど? なにか?






ということで、報われないヒロイン【海】のその後でした。

実はこの子、尾岡には珍しく、名字は考えていなかったんです💦



赤は焼き印がつけれた後の赤

キスマークでうっ血した後の赤

唇の赤をイメージしていました。



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『短歌の秋』投稿作品~種々色々、朱色の感情~ 尾岡れき@猫部 @okazakireo

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