いろづいた ゆうぐれもみじ ほほそめる きみのいろだよ きみのせいだよ

色づいた


夕暮れ紅葉


頬、染める


君の色だよ


君のせいだよ




________________


「真っ赤じゃん」

 言われなくても分かってる。

 君はガラにもないって言うんだろう?

 どうせ、ボクは男女って言われるぐらいには、ガサツだから。

 頬が火照る。

 体が熱い。


「嬉しいけどね?」

「……なにが?」

「だって、紅葉がちゃんと俺を男として認識しているってことでしょう?」


 俯く。

 また、そんなことを言うんだ、君は。

 そういうトコだぞ。

 本当に、そういうトコなんだから。


 まるで、男友達のようだった。

 遠慮なく、バカやって。

 カブトムシを掴めるのも、川釣りだって、ボクの方が上手かった。

 妹にような可愛げが自分にはないって、自覚しているから。


「紅葉は可愛いよ」 

 だから……。

 だから、そういうトコなんだって。

 君ってさ、何気ない瞬間にボクを女の子扱いするじゃんか。

 本当に、そういうトコ――。





 青々しく。

 緑の葉が

 朱色に染まるのは。


 時の経過だけ?

 違う、よ。

 たくさんの好きを、私がためこんだ。

 たくさんの好きを、君が私に囁くから。


 これは君が色づけたんだ。

 全部、君のせいなんだ。


 君の――。





 落葉。

 吹きぬける風。

 ボク達を隠すには、少し心許ないけれど。




「マサ君だって、真っ赤じゃ――」

 途中で、言葉を奪うの。

 ズルいよ。





________________


Summer Once Again ~オレとキミだけの夏休み日記~

https://kakuyomu.jp/works/16818093082533886643



小学校5年、田舎に帰省したあの日。大雨から川は増水。濁流に飲まれた俺はしたたかに岩に頭を打ちつけて……生きているのが奇跡だった。

それから、5年。

あの時のことは断片的にしか思い出せない。


そんな時。

帰省前に見つけた夏休み日記……を皮切りに、思い出すあの夏の断片。




紅葉は、Summer Once Againのダブルヒロイン

お姉ちゃんの方です🍁

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