奈良のかき氷のお話です

瑞葉

奈良のかき氷のお話です

 奈良という街は、近年、かき氷が流行りだそうだ。

 二月の寒い日、埼玉県三郷(みさと)出身のわたしは一人旅で奈良に来ている。コートを着てブルブルと震えながら、お目当てのかき氷屋さんを探していた。

「地図、ここのはずなのに」

 三回くらい、行きつ戻りつして気がついたんだ。普通の民家の中が、カフェになってるのね。

 中に入ると、暖房が効いていてとても暖かい。

 ぬくもりのある、和の内装。店の明かりが雰囲気あって、いいね。

 はやる気持ちをおさえて、ニコニコとした女性の店員さんに、席に案内してもらった。

 金魚柄のコースターが置いてあるのね。

 このカフェの名前は「金魚鉢」という。トーストやケーキもメニュー表にあるけれど、有名なのはかき氷!

 抹茶かき氷もあるし、マンゴーのかき氷もある。

 目移りしてて、たっぷり十分はメニューを見ましたとも。

「マンゴーかき氷を一つください」

 関東の民は少しだけ臆病に注文。ここには、地元の人たちばかりいそうな気がするから。

 観光客もいるのかな? 店にいる人たちは八人くらい。みんな、店に馴染んでる。一人で来てる人も、お友達同士の人も、恋人か夫婦かな、と推測される人もいた。

 そして、かき氷が運ばれてきました!

 オレンジ色の鮮やかな果肉と、マンゴーのシロップの載ったかき氷。もちろん、写真を撮ります。

 とてもとても大きくて、おそるおそるスプーンをさします。

 サクサクと掬うと、雪みたいにふわりとしてる。

 甘くて酸っぱいマンゴーの果肉を口にして、雪のような氷を口にして。頬が落ちるかと思います。

 奈良のかき氷のお話でした。

 

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奈良のかき氷のお話です 瑞葉 @mizuha1208mizu_iro

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