ボタンと金持ちお兄さん
「なあ、ボタン。俺な、金以外は信じない主義なんだよ」
――――あれ、奇遇だね。僕もそうだよ?
「そうだろ? 俺が金を落とすから、この宿に来れるし、お前さんもこうやって、耳に優しい声で愛だのなんだのをさえずってくれる」
――――なんだよ、お兄さん。いきなり当たり前のこと言い始めて……もしかして、なんか寂しくなった?
「なんだよ。寂しくなんてねぇよ。金の上での関係のほうが、気楽でいいや」
――――うん、僕もそうさ。お兄さんとの今の関係は、とっても気楽だよ。
「……そうだよな」
――――お兄さんが、お金を沢山、たっくさん宿に落としてくれるから、僕もこうやって、お兄さんに会えるし、一緒にご飯も食べられる。だからさ、お兄さん。
「あ?」
――――だから、一生お金持ちでいてね。じゃないと、お兄さんに会えないし、一緒にご飯も食べられない。一緒に添い寝もできないし……愛も、囁けない。
「ぼたん、それは」
――――大丈夫だよ、貴方がお金持ちなのは、間違ってない、間違ったことじゃない。やっぱり、あればあるだけいいんだもの。お金なんて。
「……ああ、そうだな。一生、頑張ってお金持ちでいてやるよ」
――――そうそう、辛気臭い顔なんて、お兄さんに似合わないよ! さ、今日もご指名ありがとう。今日は、一緒に何しよっか。
世苦亡の宿(シリーズ) バルバルさん @balbalsan
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