世苦亡の宿(シリーズ)

バルバルさん

ミカと社長さん

「ミカ、どうしたんだよ。今日は随分といい香り漂わせてんじゃねぇか……」


――――あら社長さん。いらっしゃい。ちょっとね、タバコの種類を変えてみたのさ。○○シガーって言ってね、いい香りだろ?



「へぇ、○○シガー……って、その銘柄は俺の会社の商品じゃねぇか」


――――そうなのかい? なんか荒々しい風味のタバコだと思ったけど、どうりで……


「あっはっは。そうだろ? 何事も、刺激的に行かないとな。今後とも、わが社の商品をごひいきに」



――――はいはい。で、刺激の好きな社長さんは、今晩は何がお望みで?


「そうだな……今日も、ひざ枕してくれるかい?」


―――――相変わらず、膝枕が好きだねぇ。


「いいだろ? いつも刺激的に生きてると、夢の中でくらいのんびりしたいのさ」


――――ま、私としちゃ、社長さんの間の抜けた寝顔見れるんだから、文句は無いんだがね。


「そんな顔して寝てるのか? 俺」


――――ああ、まるで少年みたいに、間抜けで安らいだ顔して寝てるよ……じゃあ、今晩も。どうぞ、私の膝上へおいでください。

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