第27話「against all odds」

「よう、久しぶりだな」

ハナビが頭に包帯を巻いているヤマトに話しかける。

しかし、ヤマトもハナビも、以前のような距離感ではなかった。

「何だよ、もう全部話しただろ…」

「まあそう怒るなって… 大事な話があるんだ」

ハナビが不貞腐れているヤマトに真剣に話をする。

「話?」

「ああ、そうだ。俺と、お前だけの、大切な話だ」

「なんだよいきなり…」

何のことか見当もつかないヤマトは、少し困惑する。

「前に行ったよな?お前は俺以上に特別だって…」

「そういやそんなこと言ってたっけ… でも、今はまだ言えないんだろ…?」

「ああ… 言えない… だけど… もし、お前が…」

「──たとえどんな結末になったとしても、自分の気持ちを優先したいってんなら、俺がここから出してやる」

「今なんて…!?」

「ここから出してやるって言ったんだよ…!もうあまり時間がないから今すぐ決めろ…!ここでのやりとりは監視されている…!時期に追手が来る…!」

「でも、なんで…!?」

「さあな…!俺にもよくわからん…!でも、お前を見ていると…! すごく、勇気が湧いてくるんだ…!」

「さあ、選べ!お前はどうしたいんだ!!」

「んなもん決まってんだろ…! あいつが待ってるんだ!俺は、今すぐここから出たい!!」

「──決まりだな…」

そう言ってハナビは、ヤマトの拘束を解いた。

「行くぞ!俺についてこい!」

全速力で廊下を走るハナビとヤマト。

二人は階段を駆け上がり、地上へと出る。

あたりはすっかり夜になっていた、月明かりが二人を照らした。

しばらくすると、警報が鳴り響いた。

「ヤマト!急げ!車までもう少しだ!」

「ああ!」

二人は軍用車のある駐車場を目指す。幸いまだ追っては来ていなかった。

ハナビが守護警察本部のある伏見から、扉のある鶴橋を目指して運転する。


場面は戦国ソウスイ率いる守護警察側に切り替わる。

「将軍!藤原ヤマトが…!脱走しました…!!」

青ざめた顔でソウスイに報告する隊員。

「何…?」

ソウスイはにわかにはしんじられないというような表情でそう漏らす。

「爆師ハナビが藤原ヤマトの脱走を協力し、現在車で逃走中!目的地は、鶴嘴にある「扉」だと思われます!!」

それを聞いたソウスイは、壁に掛けてあった剣を取り、鋭い眼差しでこう言った。

「兵を集めろ…!」


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ETERNAL FLAME ayudrive @ayudrive

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ