『長船兼成』の視点から語られる物語は、誰もが共感できる「仕事」と「人間関係」のもどかしさに満ちています。
新入社員の教育係という役目、再会したくなかった同級生・麗奈、そして個性豊かな女性たちとの出会い――どこにでもありそうな日常なのに、ページをめくるたびに胸が少しずつざわついていく。
キャラクターそれぞれの「距離感」がとても絶妙で、まるでその場にいるような感覚で読み進められます。
また、会話のテンポが自然で心地よく、軽妙なやり取りの中にも登場人物たちの本音や人生観が滲むのが魅力的。
恋愛だけでなく、社会人としての成長や人との関わり方を丁寧に描いているので、ラブストーリー好きはもちろん、ヒューマンドラマが好きな方にもおすすめです。
『ハイスペックな彼女たちは、なぜか俺のことを放っておかない』は、まるで大人の青春群像劇。かつての苦い記憶を抱えたまま社会に出た兼成が、過去のヒロイン・麗奈と再会し、さらにエリート司法書士の沙里亜、そして超ハイスペックな医学部生・真理と交差していく。その絡み合う関係性がとにかく面白い。
麗奈の「秘密にしよう」と言いながらも距離を詰める小悪魔的魅力、沙里亜の余裕たっぷりの言動の裏に感じる“本当の狙い”、そして真理の“初めての名刺”に込められた微かな感情…。読んでいるうちに、彼女たちの内面が見え隠れして、どの瞬間も目が離せない。
兼成がこの“ハイスペック包囲網”の中でどう成長していくのか、見届けてほしい!