第2話

吾が母より授かったものは、単なる血肉のみではない。それは、透明而して確かな鎖、無意識の水に落ちたインキの蝕み、そして抉り出された後の人格だ。吾の内半身は母の傀儡である。そのような者が子を育てるに適さないことは、吾が一等分かっている。しかし吾子を初めてこの腕に抱いた時瞭然と感じた、吾子はその小さき身体に幾千万の可能性を格納していたのだ。一方同時に、吾は恐怖を覚えた。果たして吾は、母の吾にせしが如く、子に同じ呪詛を施してしまうのではないか、と。吾が一部身体は、まさに不随意とでも言えよう、教育、規範、法規を、その無垢な魂に押し着け、只三号機を製造しているのではないか。


吾は、ここでその恐ろしい系譜を断ち切りたい。


母は確かに吾を侵した。しかし、吾が一部は未だ吾である。今、吾の前には唯三筋の道のみ在る。一つは母を再現する道、一つは元来の吾を回復する道、残り一つは吾子を※※する道である。


**


私は選択を誤った。吾子は※※※。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

機械製 @niwatori_chicken

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ