「そんなことより勉強しなさい」と言われたあの日。


 大人を目指せと世間は言うけれど……

 一体、大人ってなんだろう。

 あなたはきちんと答えられますか?





「大人とは何なのか」と子供時代に言ったら、

 当時の母は「そんなことより勉強しなさい」と返した。

 それからたくさん勉強したが、結局その疑問は解決せず、私は大人と呼ばれた。

 今もよく分かっていない。

 というより、自分が大人なのかもよく分からない。

 初めてのことにはオロオロするし、傷つけば悲しいし、怒りたくなる。
 でもまあ「大人じゃない大人」とは言われたくなくて、ぐっとこらえて。
 母の言葉はそういう思いが、ふっと子供に漏れ出したのかもしれない。

 同じ気持ちになったのだろう。

 だから、母のことを大人じゃないとは思っていない。



 筆者の指摘はごもっともで、良く悩ませる文章になっている。

 自分の私見を述べるのなら、
 大人の世界と子供の世界は、ネットの普及・娯楽の発展もあって、かなり混じったものになっている。
 体の成熟度による(酒や煙草の影響などを加味した)区分けはともかくとして、
 心の成熟度に関して、「大人」「子供」の境目はかなりあやふやだ。本文中にもある通り、しばしば逆転現象を引き起こす。

 環境の変化に、制度が追いついていない点も多々あるのだろうけども。

 そうなると「完全な大人」というのはいないのだろう。
 どう努めても子供っぽさは人知れず出てくるだろうし、それを隠そうとして壊れた大人も大勢いるのだから。

 結論の出ない話ではあるものの、

 そういう問いに頭を悩ませながら、自分や周囲の大人像を振り返ることは、割と楽しいことであると、
 うやむやなアドバイスをして当レビューを終わりにしたい。