目印を追って、追いかけてふと、我にかえる

無味乾燥な日々を送る主人公。
結婚して四年目、妻の心はもう他へと移り
遅くまで神経の張り詰める仕事を終えて
かえる家庭は安らぎの場所ではない。
 淡々と続けるには憂鬱な日々を、彼は
甘んじて続けている。何かのアクションを
自ら取る事も、既に諦観のうちに流されて
行く。
    今更もう、拘ったとしても。

嘗ての自分へとかえる訳でもない。只、
何かを忘れている様な。遠い昔の、子供の
頃の記憶を思い起こせば。

 ずっと、追いかけて来たのだろう。

過去へと立ちかえる。まだ幼かった頃の
 あの頃の自分へと。
            目印は、足跡。

   追いかけて
         追いかけて

惨劇なのか、何一つ残らない部屋の中で

 ふと、我にかえる。

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