第11話 復讐する私

高校生活の間、沙夜"は"薬を飲むことはなかった...。

そう。桃香に復讐する時が来たのだ。


沙夜は毎日考えた。桃香に直接ではなく、内部から破壊する方法は無いかと。

そして閃いた。


学校帰りのこと、沙夜は神崎医師の診察を受け、いつものように精神薬を処方して貰うと、家に帰りキッチンへと向かった。

そして、棚からすり鉢を取り出し薬を入れ、すりこぎ棒を使い、粉々になるまで潰した。


翌日、沙夜は気合いを入れる為に早起きした。

今日が復讐決行の日だ。

「ギャハハ!それウケんね!」

いつものように桃香が、馬鹿笑いをしている。

桃華がいつも飲んでいるカフェオレのペットボトルに、すり潰した薬を混入させる作戦だ。


沙夜は、チャンスを窺っていた。

「ちょいウチ、トイレ行ってくんね。」

桃香が取り巻きに言った。

沙夜はチャンスとばかりに久美に合図を出す。

廊下に居た久美が、クラッカーを鳴らす。

「パーン!!!」

破裂音が廊下から鳴り響く。

「え、なになに?」

桃香の取り巻きが廊下に集まる。

その隙に沙夜は、桃香のカフェオレに薬を入れ、上下に振った。

沙夜と久美はバレることなく席に着く。

完全犯罪だ。


そこに何も知らない桃香が帰ってきた。

みんながざわざわしていることに気付く。

「どしたー?」

「わかんなーい。」

桃香は自分の席に着くと、カフェオレを一気に飲み干す。

「ぷはぁ!スッキリした後のカフェオレは格別!」

その様子を沙夜は固唾を呑んで見守っていた。 


桃香が薬入りのカフェオレを飲んでから1時間経過したが、変化が無い。

沙夜が失敗したかと思った瞬間、事件は起こった。


それは英語の授業中のことだ。

桃香は教師に当てられると、急に俯いた。

そして暫く沈黙した後、叫び出した。

「I am the devil.」

「I am a person who should not live.」

「Woohoo!!!!!」

状況が理解出来ず、静まり返る教室。

桃香は一瞬我に返った。

皆の視線が桃香に集まる。

「え...。ウチどうしちゃったの。」

桃香は頭を抱えて窓際へと走ると、窓を開け、三階から飛び降りた。

沙夜と久美は顔を見合わせた。

確かに恨んではいたが、やりすぎたかもしれない。


幸い桃香は、一命を取り留めた。

しかし、現在も精神病院に入院している。

見えるはずもない"あれ"に怯えながら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎日 18:00 予定は変更される可能性があります

病んじゃう私と幻覚JK @sitodesu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画