【あらすじ】
傷心を抱えて帰郷した真帆は、祖母がかつて無くしたという結婚指輪を探そうと思い立つが……?
【おすすめポイント】
この物語の素敵なポイントは、挙げようと思うと、沢山有るのですが、全編で一万五千字程の物語であるという事を鑑み、ぐぐっとポイントを絞ってご紹介します。
(1)真帆の繊細な心の揺れ動き
本作は主人公「真帆」の一人称視点で語られています。彼女の心の動きが、祖母や幼馴染みとのやり取り、ダイビングでの経験を通して、現実と向き合う気力を恢復していくという流れが鮮やかです。
(2)美しい情景描写
これは、もう言葉で説明するよりも実際に読んで、是非ゆっくりと味わっていただきたいポイントです。個人的には、「青」という色彩と、「サトウキビ」の描写が特に印象的です。
(3)「おばぁ」の不思議な魅力
主人公の祖母である「おばぁ」は、主人公がダイビングをしてみようというきっかけとなる人物。一見、普通のおばあちゃんなのですが、不思議と心惹かれる魅力があるのです。それは、主人公が「おばぁ」に注ぐ眼差しがなせるものかもしれません。
【こんな時に】
☑日常に疲れてしまった時に
☑じっくりと読書を楽しみたい時に
まるで、短編映画を観ているようなクオリティの物語です。
また情景描写のなんと美しいことでしょう!
タイトルにある「青の円環」を、読んで感じて、確かめていただきたいです。
島で生まれ育ち都会で働く主人公。
恋人とは、大人だからこそ当人同士ではなく家族のしがらみで関係に綻びが生じていました。
疲れ果てた主人公は島に帰省し、認知症の疑いのある祖母や、幼馴染との交流によって、己自身を見つめ直します。
ラストシーンは爽やかで、とても心地よい読後感を得られました。
恋愛ジャンルにとどまらず、ヒューマンドラマ好きな方にも、読んでいただきたい物語です。