第2話

 振り下ろされた剣の刃が頬を掠める。すんでのところで回避し、距離を取る。ガンブレード「フランベルジュ」を構え、対象に銃口を向ける。撃ち込んだ弾丸の軌道は直線的に相手の方向へと向かっていく―、はずだったが、2・3発程かわされて、背後に回られる。


「フッ、やるじゃない」

「あっ、」


 仄香は反射的に体を捻って躱し、仰け反って斬撃をかわす。そして、フランベルジュの銃槍を、助走をつけて力まかせに振り下ろす。


(取った?)


「甘い!」

 フランベルジュの剣先の軌跡は見事に外れ、夜酔が脇腹付近向けてファルシオンの柄をスイングしてくる。


「仄香殿!」

 今まで後ろで見ていたアルシエルが危険を感じ取って、両者の間に割ってシールドを張る。

「アルシエル!」

「このシールドもいつまで持つか分からん!クッ!」

 両手を前に突き出しながら、必死に死守しているが、円形の透明なシールドも少しづつヒビが入ってきている。


「そんなんで防げると思ったァ?」

 剣先は脇腹に直撃し、仄香は転がりながら吹っ飛ばされる。


「ぬぅ......仄香殿。余も本気を出さなきゃいけない時が来たよのう!」

 アルシエルは苦し紛れに、鍵を取り出しペンダントの鍵穴に通す。空中に複数の赤黒い裂け目が平行に出現し、姿形がみるみる変わっていく。


 顔の左半分に仮面を被っていた部分には炎が張り付くように燃え、角はより長く、背中には蝙蝠を彷彿とさせる翼が生えている。そして背後には竜のような影が蠢いている。右手には、ギザギザした大仰な片手剣を握る。

 「余も本気を出したら強いのじゃぞ!」


 跳躍し、相手の腹部をめがけて炎を纏った大剣を力に任せて振り下ろす。

 「斬王竜撃ケーニヒス・アングリフ!」 

 火炎は腹部に直撃するが、相手の方は何食わぬ顔でいる。

 「なぬっ!?効かぬじゃと?」

 そのまま、アルシエルは砲撃によって、吹き飛ばされる。

 

 しまった!と思った隙に、仄香は胸元に銃口を突き付けられる。完全に先を読まれていた―!?


「ファルシオンの餌食になりなさい!」


 刹那、胸元に突き付けられたガンブレード「ファルシオン」の鋭い銃口から、花弁が発せられた。花弁は胸に当たるや、散開し、ただ花びらが舞うのみとなった。


「やぁ......強いですね......参りました、ハァ」

 仄香は、息が上がっている。


「いやいや、こんなくらいまだ本気のうちの僅かしか出してないよ?」

 萌葱色もえぎいろの、甲冑を思わせる制服戦闘服に身を包んだ風祭夜酔は笑い混じりで言う。その表情や態度には、並々ならぬ「余裕」を感じ取れる。


「ハハハ」と二人で笑いあう。


「2人とも模擬戦お疲れ様。この後、寮のメンバーでティーパーティーをするけど仄香達も参加する?」

「うん!」

「おお!あの甘々なジュースが飲めるのじゃな!余も行くぞ!!」

 アルシエルは何故か、目を輝かせている。

「う~ん、ジュースとは違うかなぁ...」


 3人が他愛も無いやり取りをしている中、古城の方角から、昼を告げる午砲の音が耳に入る。統治時代から続く伝統で、姫乃森市に暮らす市井の人々にとって無くてはならない合図であり、生活の一部に溶け込んでいる。


 * * *


「改めて歓迎するわ、古戸守仄香さん」

 ティーパーティーが開かれた会場は寮の一階部分にある広々としたラウンジだ。部屋奥の階段で全室と繋がっている。そこの丁度真ん中にテーブルクロスが敷かれたテーブルが置かれ、人数分のマグカップにコーヒーや紅茶が注がれている。


「ありがとう.......」


 仄香は祝福の度合いに足りぬ覇気の無さだ。しかし、これも仕方ない。親を幼い頃に亡くし、引き取ってもらっている親戚とも一人暮らしのため、最近顔を合わせられていない。ろくに誕生日を祝われた経験がない―、薄幸の少女に訪れた突然の祝福に、彼女はどう答えたらいいのかイマイチ分からないのだ。故に一本調子の、儀礼的な返事しか返すことを知らない。


 ―つまり、どうやって喜んだら、どういう風に盛り上がっておちゃらければ、他人により良い反応をして貰えるのかをよく知らない。


 それを見かねた夜酔が一言「なんか威勢がないね、シャキッとしなさい、シャキッと!」と背中を軽く叩く。


「ありがとう.......ございますぅ!」

 仄香は負けじと、息を吸って腹から思い切り声を振り絞る。

「フフフフ」

 有栖が手で口を抑えて上品気取って笑っているが、不慣れな一少女が思い切り感謝の言葉を大声で述べた滑稽さに、吹き出しているようにしか見えなかった。


 そんなこんなで良い雰囲気で盛り上がっている中、ドアをノックする音とともに、その向こうから低い女の声がしてきた。

「おい、入っていいか」

 少しドスの聞いた感じを受ける声と形容するのが正しいだろう―。


「あ、ユズハさん!どうぞ入ってきてください!」

 ドアの向こうの声の主に届く声で返す。

「失礼しま.......おお、楽しくやってるじゃないか」

 そう言って入ってきたのは青髪ロングヘアに女学院の制服姿の青桐ユズハだ。


「ユズハも参加してく?」

 夜酔がはつらつとした感じで誘うが、ユズハは首を振る。


「いや私は遠慮しておく。大事な任務があるのでな」

「ちぇ、釣れないの~」

 

 夜酔は口を尖らせてブータレている。

「ごめんね~ウチら今忙しくてさぁ、サボってるところ見られたらヒルダさんにどやされちゃうんだ~」

 ユズハの横からひょっこり、ピンク髪のポニーテールの愛くるしい少女が姿を見せる。悪いね~と言いながら、両手の代わりに右手を縦に出して首を小刻みに降っている。

「京香さん!」

「あれ、2人はいつ知り合いになったの?」

 夜酔が聞いてきた。


「あの、私が車で教会に運ばれて治療を受けた時に.......」

 と恥ずかしそうに下を向く。


「あーそう、この子ったら、翼瘴よくしょうで凄く痛がっててさ。鎮痛剤あげても、一晩中泣きじゃくってたんだよ?」


「うわーなんで言うんですかー!?」

 仄香は顔を真っ赤にして、ソンナコトナイデス~とでも言いたげに必死に手を降って否定するが、当の京香は意地悪くシシシ...と笑う。


「あ、初めて来たばかりだし仄香さんとアルシエルさんに学院を案内しようと思ってて......あ、あと街にも出かけようと思っているんだけど、行くかしら?」

 そんな仄香を気遣ってか、有栖が話題を変える。


「え、行っていんですか?」

 目を輝かせながら言う。

「勿論!」


「余も行くぞ!」

 少し遅れてアルシエルもついてくる。


 * * *

 

 2人がまず案内されたのは、教室がある本館だった。校舎は床や壁、窓、天井に至るまでほぼ木造で、天井には小ぢんまりした3灯シャンデリアが吊り下がっている。寮がある方角から見て、この校舎はちょうど西側にあり、敷地内を流れる水路に掛かるアーチ橋を渡って少ししたら見えてくる。

 

「なんていうか、趣がありますね......」

 仄香はひたすら感心したという表情で、案内する有栖の背中をついてきている。アルシエルもその後をつけてきて、ひたすら「おぉ~」、「これは凄いのぉ~」と物珍しそうにあちこち眺めている。


「でしょ、海外から一級の建築士を招いて作ったの。周りを深い森に囲われているから巷にはあまり知られていないけれど、施設の規模は自慢できるわね」


 丁度昼休みらしく教室には弁当を広げている学生が多く見受けられる。教室の中には黒板や机、ロッカー等ありふれた設備の他に、どこにもオルガンが置いてあった。校舎は5階建てらしく最上階から1階までひとしきり見て回ったら、渡り廊下があり、隣接する校舎と繋がっている。

 

 続いて通されたのは、木工室や実験室、部室棟がある校舎だった。さっきの校舎とは打って変わって物音があまりせず、椅子と机が片付けられ、使用されていない空き教室もちらほら見受けられた。それでも時折、合唱の練習らしき歌声がかすかに聞こえてくる。


「そういえばこの学校、部活がたくさんあるんでしたよね、今歌っているのって?」

「合唱部よ、この時間はほぼ昼練をしているわ。他にもオーケストラ部、箏曲部、ハンドベル部、その他運動部、複数の愛好会が活動しているわ」


 有栖は何故か「オーケストラ部」の部位を強調して言っている。仄香はその理由が分からなかったが、あまり詮索するのも良くないだろうと思って、聞くことはしなかった。それと同時に「部活」という二文字が仄香の心を躍らせた。彼女にとっては経験が無いが、話には聞いていたため内心とてもウキウキしていた。


「良かったらオーケストラ部の練習場所がある講堂にも行ってみない?」

「はい、行きます!」

「そうこなくっちゃ」


 そういうやり取りを繰り返しているうちに着いた先は、立派な講堂だった。先程の校舎郡とは打って変わり煉瓦造りとコンクリート製のハイブリッドで、正面玄関は2本の柱がお出迎えし、その上にはアーチ型のステンドグラスがはめられた窓が覗く。てっぺんには八角形の塔屋があり、風見鶏がはためく風に吹かれてギーコギーコという鈍い音をたてながら回転している。


 有栖は両開き戸の取手に手をかけて開く。まずロビーがあり、正面にはホールと繋がる扉がいくつか用意されている。ロビーの両端には鉄骨製の階段がある。3人は左端の階段へ歩を進める。

 階段を登ると回廊があり、楽屋や音響室がある。オーケストラ部の部室は手前から数えて3番目のやけにだだっ広い部屋にあった。他の部屋が5畳ぐらいだとすると、この部屋はざっと見ただけでも10畳くらいの広さはある。

「広いですね~」

「部長さんが理事長の娘で、その特権でこの一番広い部屋を貸してもらっているの。今日は用事で不在だけどね」


 有栖の話を横目に、何かを見つけた仄香が楽器の山に近づいていく。

「あ、これ...バイオリン」

「仄香殿、弾けるのか?」

「うん、お父さんが生きてた頃に習わされてて少しだけ弾けるの。ちょっとした自慢...かな」

 仄香が見つけたのは黒いバイオリンだった。


「有栖さんはオーケストラ部で何の楽器を担当しているんですか?」

「よくぞ聞いてくれました。花形のピアノよ!」

 有栖は凄んで言って、2人は感心した素振りを見せる。


「あと私のこと普通に有栖でいいわよ、なんか堅苦しいじゃない」

「わかりました。有栖さん、有栖ちゃん」

「フフフ」


 ひとしきり見て回った後、校舎に取り囲まれた中庭でくつろぐことにした。中庭は噴水があり、放射状に広がる花壇が周りを覆う。そのやや北に小高く土が盛られている場所があり、六角形の東屋が建っている。仄香達は窓側のベンチに座った。

「すごい学校ですね」

「そうでしょ、ここの他にもお祈りを捧げる教会チャーチや図書館もあるわよ」


「学校というところはどこもこんな感じなのか?」

 アルシエルが純粋な表情で疑問を問うてきた。

「うーん。半分正解、半分間違い......かな」


「ねえ見て、あれ例の転入生じゃないかしら?」

「知ってる?コネで編入したとか噂あるけど本当なの?」

ベンチの前を通りがかった生徒が何やら噂話をしているのが耳に入ってきた。それを聞いたアルシエルは、ムッとなって反論する。

「コネとは何じゃコネとは!それは此処にしか居場所が無い者に向けての態度か!」

「そうよ、ちょっとその言い方は無いんじゃないかしら、貴方達」


「フン、知らない顔ね。そこの赤髪、あんた誰なの?」

「余は...」

アルシエルは侮辱を受けた屈辱から名乗ろうとするが、現れた人影に止められる。そして侮辱を与えた生徒に向かって一喝する。


「貴方達、その態度は目に余るので生徒会を執行して代弁させてもらいます。この方達に対する侮辱を今すぐ辞めなさい。ヘスペリデスの園の名に恥じる行為ですわ」

声をかけたのは生徒会に所属する女学生だった。毅然とした態度だ。

「チッ...わかったよ」

注意を受けた生徒はそそくさと去っていく。背中が見えなくなったタイミングを見越して生徒会の生徒が頭を下げる。


「大丈夫かしら?本校の生徒が迷惑をかけたことを代わって謝罪させてもらいます。申し訳ございませんでした」

「いえいえ、こちらこそ。ありがとうございます」


「この学校に通うのが初ならアルシエルさんは恵まれてるわ」

 そう言ってワンテンポ置いて咳払いしてから、有栖は仄香達に提案をしてみせる。

「ねえ、いい天気だし寮の門限まで街に行かない?」

「いい...天気?」

 そう言われるまで気にもとめていなかったが、空は一面の曇天でとても「いい天気」と形容できる空模様では無いのだが...。


 姫乃森市の空は厚い雲が覆い、かすかな霧が街を覆っている。こういった外出時に人は快晴を望むだろうが、何もこの街においては問題ないどころか霧がかかる事は日常茶飯事であり、この街の雰囲気づくりに一役買っていると言っても過言ではない、「名物」と化している。


 街は古く、景観規制の一貫で高層ビルは一切建っていない。代わりに2階、3階建ての雑居ビルばかりが建つ。一階部分の多くは片屋根式のアーケードになっており、建物の上にはモルタル製の壁や丸窓、塔屋看板がある。通りの両端には角型ランタン街路灯と電柱が並ぶ。


「まもなく明星町名店街前みょうじょうちょうめいてんがいまえ、明星町名店街前です」路面電車のやや高齢であろう、しわがれた、温もりのある女性の自動アナウンスが繰り返す。


 安全地帯に降りたった仄香とアルシエルと有栖は深呼吸をする。視線の向こうには丘があり、フレンチロマネスク、ビクトリア様式、ビザンツ様式等多様な建築様式を綯交ぜにした巨大な古城がドンとそびえ立つ。緑屋根の尖塔郡がひときわ高い中央棟の四方を取り囲み、その複雑怪奇な出で立ちは見る者に重厚な印象を与える。高台の公園から見た時はそこまで感じなかったが、やはり下界から見るとその大きさがより際立つ―。


 横断歩道を渡り、左側の歩道に進む。横断歩道の目の前の駐輪場と化している雑草が生え放題の空き地を境にあらゆる店舗が軒を連ねる。その多くが外壁の塗装が錆びて、色褪せている。仄香達は駐輪場から数えて、5つ目の喫茶店に入った。

 

 喫茶店は出窓や回転扉こそそれらしい作りだが、入り口意外の建物全体が石蔵と一体化している。中央部分は吹き抜けになっており時折、カップを掻き混ぜるガチャガチャという音や人の足音の振動が、ノイズがかかって籠もった音質の軽快なピアノ・ジャズに乗っかって聞こえてくる。打ちっぱなしの天井にぶら下がるファンがコーヒーとパンの芳醇な香りを運んでくる。


「ここは、教会が運営する喫茶店、『ランドスケープ』よ」

「おお~」

 アルシエルは物珍しげにあちこちに視線を向けて観察している。

 取り敢えず仄香はカフェラテを、有栖はブラジルコーヒー、アルシエルはダージリンティーのアイスをそれぞれ注文し、窓際のテーブル席を確保する。


「んん~美味しい」

「喜んでくれて何より、ここの豆はどれも一級品のものを使っているの」


「あ、そうだ。何か甘いもの食べたいな。ここってスイーツとかってあるの?」

 仄香が言う。

「あるわよ」

 テーブル脇の呼び鈴を鳴らす。しばらくしてウェイトレスがやってくる。

「あの、プリンパフェを3人分お願いします」

「かしこまりました」


 注文を用紙に書き終え、確認を終えウェイトレスが厨房の方へと帰っていく。

 ほどなくして、サンデーグラスにカスタードプリンやさくらんぼチェリー、シガレットクッキーの載った豪華なパフェが運ばれてきた。


「んん~このプリン、カスタードのほろ苦さととろけるような甘さ!美味しい~」

「うむ、この棒サクサクしていて美味いな」

「さくらんぼ味ついてて美味い~」


「ふふ、2人の幸せそうな顔を見られる事がほんとうに嬉しいわ」


 幸せ―。仄香にとって縁の薄い二文字、だけどそう言われてみれば、これこそが「幸せ」なのかもしれない。ただ、以前置かれていた環境の時より、気分が満たされた感じがするのを単に「幸せ」と形容しているだけかもしれないが―。何しろ「幸せ」の意味について彼女はあまり知らないから。


 それでも、良い―。今、この時、この人達といられるのが何て喜ばしく、満たされた気分だろうか?

 そう思って、いつもより頬が緩んだ。


 例え、その先にどんなに苦い出来事が待ち受けていようと。カスタードプディングの頂部のように甘い日常を思う存分享受しよう。


 帰りにバイク屋に立ち寄った。さきの邸宅における一連の出来事を聞いて心を痛めた有栖は、何か気分転換にと手軽な外出手段を提案した。幸い、仄香は親戚の支援で教習所に通い、普通自動車運転免許を取得していたので、スーパーカブかサイドカーを中古で買う運びとなった。


「このサイドカー、かっこいいですね」

「年代物のウラルサイドカーだ。珍しいねお嬢ちゃん」


「仄香さん、渋いね」

「無機質で何も喋らないこの子、どこか私みたい。だけどどこまでも行けそう」


「おっちゃん、これください」

「まいどあり」


 後でバイクごと送ってもらうのも億劫なので、買ったその日にサイドカーに3人とも載せて帰ることにした。椅子が硬くて乗り心地は決して良くないし、エンジン音もうるさいけど―、新しい相棒が増えた。支払いは『教会』に顔見知りがいる有栖が全額払ってくれた。


 * * *


 寮は円環状の丸窓やアーチ状の天窓が特異なアール・ヌーヴォー様式の洋館だ。とは言えど、建てられたのはごく最近だが―。周りを森に遮られているため、外部からは遮断されており、反対に寮からも外部は一切見えない。物音一つしない静謐な空間からは星空が綺麗に見える。


「んん...」

仄香はベッドに入っても尚寝れずに、寝返りを繰り返していた。

「どこか行こうかな...」

そんな事を思って、布団から起き上がる。物音を立てないようにそっとつま先で歩いていく。


 向かったさきは寮の裏側の森だった。

「今の時間、ここなら誰も聞いてないよね」

そう呟いて、普段フランベルジュを収納している楽器ケースを長机に置いて中からバイオリンを取り出す。一本ずつ調律して、音を確かめる。


 演奏したのは、ベートーヴェンの『月光』。悲愴的な旋律が、今の心境に重なるものがあった。小一時間ほど演奏して、曲が終わってから近くの椅子に座って思いにふける。バイオリンの泣くような旋律が、静謐な花園に響き渡ったあと、辺りは変わらず静まり返っていた―。


to be continued.


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