第7話 クラスルーム

「バリケード作られてる」


 何とか学校まで辿り着いたのはいいものの、校門が閉ざされ、更によじ登れないように机とかが重ねられていた。


 どうしようか悩んでいると、『御用の方はインターホンに』と殴り書きで記された紙を見つける。


 その紙に書かれていた矢印の方は視線を向けると、インターホンがあった。

 これまで気づかなかった。

 さっそく押す。いつ化け物が現れるか分からない状況で外に長居したくない。


「はい、何か御用でしょうか」


 インターホンから女性の声が聞こえる。


「食料調達から帰って来ました。怪我人がいるので早く開けてください」


「分かりました。お名前とクラスを伺ってもよろしいでしょうか」


「守屋、世羅、橘、田村、1年4組です。田村死亡、橘は意識がありません」


「——えッ。真島先生!! 怪我人と死亡者です!!」


 インターホンの先で怒鳴り声が聞こえた。

 そして、その後あっちでガヤガヤと物音が鳴る。インターホンから女性の声らしきものが聞こえるがはっきりとは聞き取れない。


「守屋、ちょっと覚悟した方がいいかも」


「え? 何で——」


「怪我人受け取りますね。他の人も中はどうぞ」


 校門が開き、お婆さんが現れ、その瞬間に橘をひったくるように受け取って走って消えた。


 次に真島が現れる。


「守屋、世羅無事でよかった。食料調達ご苦労だった。いつもの教室に戻っといてくれ。あとでまとめて話をする」


 こちらも缶詰とかが入ったビニール袋を無理やり奪うような力で俺から受け取り、走って消えた。


「ほら、言ったでしょ?」


「何というか、みんな余裕がないな……」


 俺たちはトボトボと教室に歩いて行く。

 疲れて今すぐにでも寝たい気持ちを抑え、足を動かす。

 幸いにも1-4の教室は校門から近いため、すぐに着いた。


 教室の扉を開けると、中にいた全員の視線が向く。


 俺は早く寝たいので、自分の席に向かう。

 だが、途中で邪魔が入った。


「なぁ、田村と橘はどこ行ったんだ? お前らと一緒に行ってただろ」


 ガタイの良い男子生徒が話しかけてくる。

 確かこいつは田村と同じバスケ部で仲良かった木村だ。


「田村は死んだ。橘は保健室だと思う」


 橘については先生が受け取ってどこかに連れて行ったので場所は定かじゃないけど、可能性の高い場所を適当に言う。


 すると、女子生徒の何人かは教室から走ってどこかに行く。


 目の前の木村はもう何も言って来ないので自分の席に向かおうとすると、頭に衝撃が走る。


「何を平気な顔で言ってんだ!!」


 その一言で俺は木村に殴られたのだと分かった。

 だけど、あまり痛くない。


「田村は俺が介入する余地なく死んだ。俺は何も関係ない。もういいか? 早く寝たいんだ」


 俺は席に着いて、寝る姿勢をとる。


 眠気が本当にやばい。


「うぉおおおおおッ!」


 木村の雄叫びが聞こえたため、顔を上げると木村が机を持ち上げていた。

 あれを俺に投げようとしているのだろうか。

 殺しに来ている。

 俺も応戦するべきだろうか。


 そう考えているうちに、世羅が木村を殴り飛ばした。


 応戦しなくても良さそうだ。


 早く寝よう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

化け物が降る世界のラブコメ〜化け物を喰らってスキルを手に入れたらモテ期到来しました〜 真田モモンガ @N0raken

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ