生殺与奪のフィリピーナ

加賀倉 創作【書く精】

生殺与奪のフィリピーナ

 どうも、加賀倉 創作(かがくら そうさく)です。


 いつもSFやショートショートばかり書いています(今月は毎日投稿中で二十五作品ほど上げています)が……


 今日は久しぶりの、ライトな論説です。


 タイトルが、少々過激かもしれませんね。


 まず、結論から。


 日本人はフィリピンの方に親切にした方がいい、と思います。


 えー……


 一応言っておきますが、私が個人的にフィリピンという国やフィリピン人の方と繋がりがあるわけではありません。


 また、繰り返しになりますが、タイトルがやはり過激に聞こえるかとしれません。ですが、フィリピンやフィリピンの方に対して何か良くない感情を抱いているということもありません。


 むしろ、私自身、職場で技能実習生のフィリピン人の働きに、かなり助けられていた時期もありましたし、あるのは感謝の気持ちばかりです。


 単に、私は地理や政治、経済などの社会科分野について調べる、考えることが好きで常々調べ物をしておりまして、こんなことをふと思いついた、というだけのことです。


 そう考えた理由も早めにお伝えしておきます。


 まず、一番重要な事実はこうです。


「日系商船会社において、船員の七割以上をフィリピン人が占めている」


(ちなみに日本人の船員は指導員など管理側の人間を除いては、ほとんどいません。フィリピン人以外の船員も、外国人ばかりです)


 つまりこれは何を意味をするか。


 フィリピン人の力がなければ、日本という『海洋国家』は貿易する能力をほとんど失い、再起不能に陥るのです。


 フィリピン人がいなくなったら、食料自給率がカロリーベースで三八パーセント(飼料自給率だとさらに低い二五パーセント)しかない、またエネルギー自給率が一〇パーセント強ほどしかない日本は、確実に、日本国憲法第二五条第一項『全て国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』を維持できません。


 もっとわかりやすく、誤解を恐れずに、過激な表現をしましょう。


 日本国内では……


 餓死者が出るでしょう。


 寒さや暑さで体調を酷く損ない、亡くなる人が増えるでしょう。


 移動・輸送手段の選択肢が大幅に減り、孤立した地域ではもはや日常生活がままならなくなるでしょう。


 もっと言えば、食料や資源の不足は、様々な形で、争いを生むでしょう。


 とにかく、大変なことが起こるに違いありません。


 また、日本だけ取り上げてもフェアじゃないので、比較のために海外の商船の船員についても触れておきましょう。


 商船の船員にフィリピン人が多い、というのは日本に限った話ではなく、世界の商船の船員の約六人に一人がフィリピン人と言われています。


(ちなみに世界の人口八〇億超に対してフィリピンの人口は一億と一千万人強ですから、いかに海運におけるフィリピン人の貢献度が高いかがはっきりわかると思います)


 日本の商船の船員のフィリピン人比率は七〇パーセント以上、世界規模でも六分の一、ニアリーイコール十六パーセントですから、日本の商船のフィリピン人船員への依存度の高さは、世界の中でもトップクラスだとわかります。


 移民問題や出稼ぎ労働者の話になると、『治安』だの『犯罪』だの『日本らしさ』だの騒ぎ、自国を守りたい気持ちが芽生えるのは理解できるとしても、全てを頭ごなしに否定して外国人排除の考えをしてしまうのは、危険ですよね。


 脅しのように聞こえるでしょうが、日本はもはや、自国で全てまかなっていけるなどと絵空事のようなことを言ってはいられず、現実には生殺与奪の権を他者に強く握られている、そういう段階まで来ているのです。


 多くの事実を受け入れ、国民一人一人が当事者意識を持たなければ、日本に待っているのは破滅です。


 最後に、暗い感じで終わるのもなんなので、前向きな考えを一つ。


 海運での一連のプロセスにおける労働力を、AIと機械によって代用できれば、また違う未来があるかもしれません。

 

※多くを調べるきっかけになればと思い、あえて数字や事実のソースは出しませんでした。ご理解のほどよろしくお願いいたします。


 おわり。

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