第4話

自分の顔が映っているディスプレイの前でハラルドは、それを見ていなかった。

ハラルドの情報量はもう彼の処理能力を凌駕しており、それにもかかわらずハラルドはインターネットにつなぎ続けていた。ハラルドは空疎な頭になっており、しかし習慣としてつなげ続けてしまっていたのだ。外はきれいなのに、二次方程式も解けない。そうしてハラルドは中学生になった。


彼のインナーマッスルは子供ではなかった。彼は中学生なのに、世界を恨み、世界の中ですべてが壊れて王様のように君臨する自分を夢見た。

彼の世界は荒れていて、しかし彼の見られる場所は亀裂の外にある光だけだった。


その亀裂は贄の刻印の形をしており、彼は赤子のころに王に売られた異世界の記憶を思い出していた。


毎日の日課になっている水泳を行うため海に飛び込む。彼はただもがいているだけだった 大きな海を超視野でみると、ただ水の上でもがいているサル科の生物のように見えた。

しかし彼のインナーマッスルは確実に成長をしており、彼は対岸にたどり着いたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る