伊勢かい?
夢想
第1話
王ハラルドは、苦しい思いをしていた。なぜ私が、このわたくしが、と申し訳程度に思うのみであった。
ハラルドは王ではなかったが、過去に異世界にいたことがある。もともとは、ゲームのストーリーを考えていたことによる妄想の発達により、現実と区別がつかなくなった瞬間の想い出であるから居たことはいたが、異世界人にとってみれば、生きながら死んでいるような迷妄した状態で即位した王の口を拭いたり女を見せて踊らせたりしていた程度であった。彼は椅子に寄りかかっており。女体をみるとふへと少し目に光がのぞくのみで、基本的にNPCとして扱われていた。
しかし彼は本物だった。
彼がゲームを手に入れたのは3年前の午後だ。午後のコーヒーやコーダーなどといった暗黒ツールツクール俺のボールみてほーる といったようなツールを作る技術を持つアングラ界唯一の重鎮であったハラルドは、拷問機器(椅子付き)MMORPGを手に入れたのだった。地下オークションの会場(オンライン主催)で、アバターで手に入れた彼は、拷問機器が配達のお兄さんに届けられた瞬間に、拷問機器を身に着けた。うほーでやんす、と個性的だと彼が信じる声を発するとかれは瀬戸内海に身をとおじた。今日はこれからゲームをするんだ、彼の心棒はスイムを続け、さざれ石とカニから離れた静なるあおい海で彼は重鎮と呼ばれたことを思い出した。
重鎮と呼ばれるアングラ界の住人には2種類いる。が、彼はどちらでもない、一つしかない世界トーナメントで、色物枠からアングラ男としてテレビに出たのだ。彼のツールは匿名でなかったし、彼自身アングラにも使えるものとして、便利なツールを皆に渡していただけであった。しかし、マルチバースWEB23というような状態にまで高度複雑発達を遂げた脳のシナプスにも似たネットワークの仕組みでは、彼は というか世界中、世間知らずだった。
マルチバースWEBにおいては情報は均一化され、または個別化されていて、他者を見ることができない。そこでは・ある有名を作る為の仕組みが起きる、。世間の荒波という名前で集団リンチ(行動)をする人々という集団行動以外に、ネットワークにのみつながった人人は何一つ旗印がなく、集まることもできなくなっているような状況になっていて、その属したマルチバースWEBの番号以外に彼は彼自身を知ることができなかったのだ。
皆何をしているのか知らない。 彼は水に浮きながら嘯いた。水どりが飛んで、瀬戸内海の海に翼をふれさせながらホバーする。ホバリング、彼はゲームの中で毎日していることを考えた。
彼には妄想癖があった。彼は現実はネットしかなく、ゲームは彼の心の支えだった。友達と会える。とネットにある5億人のアカウントを思い心を静めた。トーナメントは失敗だった。 彼は思った。彼は有名になって何かほわっとした像が欲しかったのだった。
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