昼下がり、男、女二人

白川津 中々

◾️

「すごいダサい知り合いがいんの、男の」


「うん」


「香水なんてつけちゃってさぁ。ウッディ系のじじくさい感じのやつ」


「うんうん」


「そいつたまに私の胸見てんの。バレバレだって。嫌だよねぇ」


「嫌だねぇ」


「なんかクールぶってるけどさぁ。暗いだけだっつーの。私服もクソダサいし、話も面白くないんだよねぇ。うん、とか、へぇ、とかばっかだし。こっちばっか話してて馬鹿みたいなんだよねぇ」


「それはちょっとねぇ」


「ね、ムカつくよね。しかもご飯食べに行っても毎回同じもの頼むの。ハンバーグかパスタかチャーハンか肉炒め定食。絶対飽きるよねぇ」


「そうかも」


「この前なんか映画観に行ったらさぁ。あんま面白くなかったね。なんて言うの。私が観たいって一緒に行った映画なのにさぁ。確かにクソつまんなかったよ。でももっと言い方あることない?」


「結構一緒に遊んでんだね」


「うん、まぁ、なんか、うん。そうなんだよねぇ。嫌いってわけじゃないから。たまにご飯行ったりとか、映画観たりとかぁ」


「そうなんだ」


「あぁあと、そいつの友達がなんか中学の同級生でさぁ。なんか狭いよねぇ、世の中って」


「そんな事あるんだねー」


「いやぁそいつも結構なカスでさぁ。なんで変な男しかいないんだろう。私の周り」


「不思議だねぇ」


「今度、誰か紹介してよ」


「いいよ。どんな奴がいい?」


「面白い奴」


「……」


「どうしたの?」


「いや、かっこいいとかじゃないんだなって」


「いやぁ、つまんない人と一緒にいても、ねぇ。どんだけ顔良くてもご飯食べたり映画観ても退屈だったら嫌じゃん」


「そうなんだ。ちょっと探してみるけど、ちょうどいい奴いなかったらごめんね」


「全然大丈夫。でも、いい加減彼氏ほしいよねぇ」


「そうだね」


「ちなみにさ、彼氏とかいないの?」


「いないかな」


「そうなんだ。可愛いのに」


「お互いにね」


「一緒に、彼氏作ろ」


「そうだね。逆に、誰かいたら紹介してよ。さっき話してた人とか」


「あいつは駄目だよ、人とて」


「そうなんだ」


「そうだよ。中々、いないよね。いい男」


「そうだね」

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