情報社会に生きるすべての人に突きつけられる鏡

現代社会の中心にある「情報の危うさ」を真正面から描いた作品。
現実と虚構の境界を揺さぶるような展開がつづき、読んでいるうちに自分自身もその渦中にいるような感覚を味わえます。
なかでも、玲子に「情報を支配すること」を叩き込むオリビアの存在感は圧倒的で、彼女の言葉ひとつひとつが読者への鋭い警鐘となっています。
社会批評としての重みを持ちながら、物語はミステリー仕立てで進むので、堅苦しさはなく、時にはクスッとする場面もあり最後まで飽きさせません。
読み終えた後には強い余韻が残り、「情報社会をどう生きるか」という問いが自然と胸に浮かびます。
挑戦的な内容でありながら、多くの人にぜひ読んでもらいたい良作です。

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