前代未聞の怠惰すぎるヒロインは、出来合いの溺愛にわずかたりとも溺れない

『溺愛もの』として斬新すぎる切り口で、最初から最後まで非常に楽しく拝読いたしました。
何せ、ヒロインが怠惰すぎて何もしたくないあまり、ラクして生きられる人生をランプの魔人にお願いし、その結果として逆ハーレムができちゃうわけですから。
そこまでの力技ギャグみたいな展開からもう面白い。

王となったヒロイン・シアランに対し、個性も事情も様々な四人の王子たちは、それぞれの方法で愛を囁くのですが。
そういうのすら面倒くさいというシアランのブレなさが、もはや痛快です。

しかし本作はただのラブコメに留まりません。
シアランの心を一向に掴めない王子たちのやきもきは、次第に王家のゴタゴタにも繋がっていきます。
渦巻く陰謀。水面下にある対抗心。ランプを手にすれば王権を手中にできるという事実。
自分の魂にすら頓着しないシアランを巡って、物語は急展開していきます。

終盤の伏線回収はお見事のひとこと。この中編のサイズで驚きの満足感です。
本当に面白かったです! 一風変わった溺愛ものをお求めの方に、ぜひお勧めします!

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