第19話 戦い2
「つの・・」
それは確かに角だった。
そして、明らかにウルドの様子がおかしい。
動きに無駄がありすぎるのだ。
初めて戦闘をおこなうモンスターのように。
がむしゃらに攻撃する。
当然そんな攻撃当たるわけがない。
しかし、ウルドのそれは速すぎた。
アレックスはおろか、ジンですらギリギリ目で追えるかといったところだった。
実際、女はここまで実力の全て出していたわけではない。
ジンと戦っていたときでさえ、5割ほど。
まあそれは、ジンが異能を使える状態で無かったことが大きいが‥
ならば、ウルドの攻撃がいくら速いからといっても、女からすればそこまでの脅威ではないバズだが、自身の異能が破られたからか混乱状態の女はウルドの攻撃を食らい続ける。
どちらがモンスターか分からないほど獣のよに攻撃するウルド。
ただ一つ言えるのは、間違いなくウルドの方が優勢だということ。
体が動かせず状況が上手く掴めていないアレックスは、ウルドの異常に気付きながらもこのままウルドがモンスターを倒してくれる事をいのる。
すると突然空間が割れる。
ビリッビリッビリリッ
アレックスとジンは目だけ動かし、その方向を見る。
「あれは‥ヒト。」
アレックスは助けが来たのかと安堵した。
しかし、その期待を裏切るようにモンスター感知器が鳴り出す。
その意味とは
「おいおいラビ遅いと思ったらこんなとこ居たのか。心配したよ。ん、あぁ、そう言う。。」
男は状況を理解したのか。
アレックスそして、ジンの方を向いて行儀良くお辞儀をして自己紹介をする。
「初めまして、私の名前はクロ。あなた方のいうモンスター。まあ、最もそこで私の仲間を虐めている彼の方がその表現が適切だと思いますけどね。」
アレックスは2人目の人間型モンスターの登場に絶望する。
ジンは立ち上がろうとするが、動けない。
「あぁ、今日は戦う為に来たわけではないので安心してください。彼のことも今日はまだいいでしょう。ほら行くよ。すぐ冷静を欠くのラビの悪い癖だ。」
ウルドを見ながらそう言うと男は女を攻撃するウルドを一瞬にして無力化し、女を持ち上げて割れた空間の中へ入っていく。
「ではまた。」
一連のあまりの速さに気絶しているウルドはともかく、アレックスはおろかジンも唖然としたまま。
そこに、
「おーい。誰かいるかー。おい!ジン、何があった!?」
こうして突如として始まったモンスターの襲撃はウルド、アレックス、ジンともに重傷を負いながらも助かることが出来たのであった。
○
「おい何でやられたふりなんかしていたんだラビ。」
「データが必要って言ってたでしょ。」
「…なるほどね。」
「それにしても随分入れ込んでるんだな。」
「まあいずれ仲間になるかもだし‥」
2人の会話は続く。
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悪役転生 ~転生したら悪役になる予定のキャラになっていたので全力で悪役にならないように努力する~ たまご @tamagohead
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