第3話 デート前夜、まったり(?)通話


 SE:通話アプリの呼び出し音


は〜いこちら可愛い後輩女子ちゃんです。

事件ですか事故ですか?

なにィ!? バカヤロウ! 

そいつがルパンだ!!!!


あっはい。

はい、はい。はい、すいません。

あー、あー、

声、このくらいだったら大丈夫っすか?

はい、サーセン。マジで。


んも〜センパ〜イ

イイじゃないっすかでっけぇ声出したって……

センパイも、聞きたかったんじゃないんすか?

私の、でっっっけぇ声を……♡

違う? あ、はい。

ま、しゃーないっすね。

あ、そうだ。

センパイ、ちゃんとイヤホンとか使ってます?

にししっ♡ そうっすよね〜?

私みたいな可愛い後輩女子と通話してるの聞かれたら〜

ふふっ♡ 

ご家族にからかわれちゃいますもんね〜?

え? あ、イヤホンしてるせいで?

私のクソデカボイスで鼓膜がないなった?

あは! ウケる!

ちょ、あ、まっ、

切らないで、切らないでほしいっすセンパ〜イ……

ごめんなさいっすぅ〜〜〜


ってかセンパイ!

さっきネットで調べたんすけど!

帰り道でセンパイが私にやらせたヤツ!

いやだから、カウントダウンっすよ!

あれ、えっちなやつじゃないっすか!?!?!?

なにやらせてるんすか!?!?!?


え? 私のヤツはぜんぜんえっちじゃなかった……?

あ゙ぁ゙??? 

えっちだったじゃろがい!?

鉄と油と燃焼材の香り漂うえっちなやつだったじゃろがい!?

あーはいはい。

わーってるっすわーってるっす。

センパイがしてほしかったのはぁ〜

そういうヤツじゃなかったんすよねぇ〜?


ざっくり調べてみたんすけど。

センパイが好きなカウントダウンって、

カウントゼロでとにかくナニかを出させればいいってことっすね?


フムン……?

じゃあ、こういうのどうすか?


さぁ〜〜〜ん

にぃ〜〜〜い

い〜〜〜〜〜〜〜〜〜っち

……ぜろっ♡ ぜぇろっ♡ ぜろっ♡

ほら出せ、解答用紙だせだせ出しちゃえ♡

くふふ〜♡ センパイの解答用紙、まっしろ〜♡

空欄だらけ♡ ぜんぜん穴埋めできてない♡


どうっすか。

私が試験官で、センパイは受験生。

……合ってます? これで?

おおむね合ってる?

はぁ。

 

…………あのっ!

あの。

あ、あしっ、あしたのォ、はなしぃ……なんすけどぉ……

え〜っとぉ……そのぉ……

センパイは、どっか行きたいとことか、あります?


え、あっいや、映画はもちそうなんすけど……

その他には、どうかなぁ〜なんて思ったりして……

あっ、ひょっとして、午後から予定とか、あるんすか?


(主人公の「一日空いてる」の返答)

(興奮を押し殺した感じで)

……あっ、すぅ〜……

そ、そ、そっすか、ふー……

じゃ、じゃあどっか、行かないっすか……なんて?

本屋? いいっすね〜。行きましょう。

イオンモール? いいっすね! 行きましょう。

水族館? いいっすね!! 全部行きましょう!!!!


……センパイ、ちゃんと考えて言ってます?

いや絶対全部まわるのムリじゃないっすか。

……え? 

私が好きそうな場所言ってみた……?

……おふぅ。

なんっ、そっ、ハァ〜……


センパイ……。

そうやってデート前日の女の子の気持ちをもてあそんじゃだめっすよ。

こっちはマジで楽しみにしてるんすから……


……あ?


あぇ? でーと?

あっ、いやいやいや!!!!

いまのはそのっ! 言葉のあやというか!

ただの例えといいますか!!

べっ、べつに明日のことを私がデートと思ってるわけじゃ……!!!!

ちがうんすよぉ……

ほんとにただの言い間違えでぇ……

だからぁ……そのぉ……

うぅ……


すいません……

なんか、ヘンなこと言っちゃったっすね……あはは……


……へぇっ?

せ、センパイ?

そういうこと言うと、私、勘違い、しちゃうっすよ?

……いいんすか……?

勘違い、しちゃいますよ……?


ふふっ、ふひっ♡

へへ〜ん♡

じゃ〜あ、そういうことで、いいんすね? センパイ?

ふふっ♡

それじゃ、たのしみにしてるっすよ、センパイ?

明日の、デート♡






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【ASMR】ちょいウザクソデカボイス後輩女子にささやかれて脳がバグるASMR 森上サナオ @morikamisanao

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画