赤黒く渦巻く人の欲望、その中心にあるのは…

  • ★★★ Excellent!!!

人の感情が色で見えてしまう、主人公大学生の橙野桜(とおのさくら)は、ある日友人が突然倒れて廃人同然になってしまった。
それまで、人の感情が色で見えるだけだった能力に変化が生じ、その変化により事件にのめり込んでいく。

事件の悍ましさもさることながら、死者の怨念や怪異、人の欲望が、これでもかと事件に絡み、タイトルにある通り、常に赤黒く渦巻いた何かがドロドロとした空気が流れ続ける。

主人公は能力はあるが、その精神は一般人に比べて強いとかでは無い。しかし、その精神でいて暗闇に踏み込む姿は、こちらの恐怖まで駆り立ててくれる。
主人公の心情、本作の空気、そのどちらもが、おどろおどろしいという言葉が似合うまでに、心をざわつかせてくれることは間違いない。
オススメです。