きっと君は何もできない

白川津 中々

◾️

なにかもう駄目だと思った。


社会は批判と嘲笑。あるいは虚栄、自己陶酔。友人は「社不」「無意味」等のネガティブな言葉を投げやり、無気力に笑う。

これでいいのか、僕達が生きる社会はこれでいいのか。前向きな意思を全肯定するわけではないがさすがに社会が暗すぎる。なにかにつけて否定と比較。自意識の氾濫。多様性を謳いながら他者との差異を突きつけられる毎日。虚しい。

こんな社会で大人にならなければいけない僕達はどうすればいいのだろう。安定した職でつつがない毎日を送る。素晴らしい事だが、僕は嫌だ。何かのために死力を尽くし、喜びを享受したい。死力を尽くせる何かが欲しい。他者から何を言われようと崩れない何かが。


こうした葛藤、苦悩はいつの時代の若者も感じるものだと何かに書いてあったし、周りの大人に話をするといつだって「そういう歳だな」と言わんばかりの顔をする。腹立たしい事だが、俺もいつかは彼らと同じ立場となるかもしれない。そう考えると、背筋が寒くなる。そうならないために、何かをしたい。人々の淀んだ意識が顕現しているこの世界をどう生きるべきか、僕自身どう考えるべきか、夏、高三、この機に定めなくてはならない気がする。時は決して待ってはくれないし、戻ってきてもしないのだから。


一歩、進む。

空は青いが大気は重く、湿気がまとわりついてくる。高く飛べば、きっと晴れやかになるだろう。



跳ぶぞ、飛ぶぞ、高く、尊く。




決意。

いつか儚く消えるかもしれないが、今この時だけは、強く、固く。

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