第2話 オフ会当日
退屈な学校に行って、夜マリクラをやる。
そんな日常を繰り返して、早くも日曜日がやってきた。
俺たちは日曜日の昼12時、〇△駅前の「喫茶店ぽわる」の前に集合と約束した。
俺の家から喫茶店まではバスで20分ほどで、歩くと少し遠い。
まあ高校までは近くて助かっているのだが。
俺はその日、久しぶりに身支度を整えて出発した。
梅雨が明けて、猛暑の季節に入っていた。
「あっつ」
俺は近くの自販機で買ったの水を飲んだ。
それにしても今日は暑いとにかく暑い。
俺は最寄りのバス停から駅行きのバスに乗った。
車内は涼しかった。
俺は日ごろの疲れがたまっているのか、そのバスで寝てしまった。
___________
「…だ…………………で………か?」
「…………ん?」
「大丈夫ですかー、起きてくださーい」
気が付けば駅についている終点だ。
俺は運転士さんに起こされていたのだ。
「っあ、あ、す、すみません。」
「大丈夫ですよ、お気をつけて。」
「ありがとうございます。」
幸い、運転士さんは人柄がよい人だった。
たまに、少し変な人(?)がいるが、そういう人は少し怖かったり、対応がめんどくさかったりする。
こっから喫茶店までは歩いてすぐだ。
「こ、ここがあの喫茶店かぁ、」
すごいおしゃれな店である。
やっぱり俺に合うような店ではない。
時刻は11時55分くらい。他の三人はどんな人なんだろうな?
___________
12時になった。
するとスマホに「どこにいますか?」とXのDMがきた。
俺らは普段XのDMでやり取りをしている。
俺は服装を軽く答えたあとあたりを見回した。
すると目が合った人がいた。
「…あ」
多分あの人だろう。
すると向こうからやってきて、
「す、すみませんブルスカさんですか…?私KOkkoです。」
「は、はいblue skyです、って、ん?」
俺は何度も目を擦った。
見間違いだろうか?
頬をつねった。痛い、夢でもないようだ。
「ってあれ?佐伯くん…?」
やっぱり向こうも俺の本名を知っていた。
「岸和田さん、ですよね?」
そこには学年一の美女、岸和田凛香(きしわだりんか)が立っている。
目の前の光景が信じられない。
だって、俺には到底及ばないと思っていた人がまさかの俺のフレンドだぞ?
こんな奇跡みたいなことあっちゃダメだろ。
「やっぱり、佐伯くんだ。」
「こ、こんにちは岸和田さん。」
「まさか私たちフレンドだったなんてねぇ~。」
「う、うん」
そんな俺たちの前にある一つの影が現れた。
「…すみません、ブルスカさんと、KOkkoさんです、か?」
「うん、そうだよ、いかにも私がKOkko!」
「は、はい、blue skyですって、えええ、」
目の前にはまたしてもクラスメイトが立っていた。
「あれ?佐伯と岸和田か?」
クラスカースト最上位にして、みんなからの人気者。サッカー部のエース清水涼介(しみずりょうすけ)がいる。
目の前に。
どうして、なんで、俺のフレンドは俺と次元が違う人ばっかりなんだよぅ。
怖い。本当に怖い。
「あれ~清水くん?もしかしてtanoさんもクラスメイトだったりしてね!」
さすがにそれはないだろと思った矢先だった。
「あれ?なんで岸和田さんたち、ここにいるんですか?」
「ん?委員長?」
そこには学級委員の岩倉香澄(いわくらかすみ)が立っていた。
「私たちはね、ゲームのオフ会で集まったの!」
「…もしかして、ブルスカさんとKOkkoさんとtakotakoさんですか?」
「「「え、」」」
三人の声が重なった。
じゃあもしかして岩倉さんって、
「もしかして委員長がtanoさんなのか!?」
「は、はい…」
おいおいまじかよ。なんでこんな奇跡が起こるんだよ。
しかもなんでよりにおって俺と次元が全く異なる3人だろ。
なんでだよ。
おかしいだろ。こんなのおかしいだろ。
「ま、4人全員正体がわかったし、とりあえず喫茶店入ろー」と岸和田。
「よーし、行くぞー、岩倉、佐伯。」
それに清水が乗った。
「…ねえ?普通に名前で呼んでいいの?ゲームの名前じゃなくて」
俺はそう聞いた。
「別に知っている人たちですし、なんの問題もないのでは?」
岩倉がまじめに答えてくれた。
「だよね~かすみん!」
突然岸和田が岩倉のことをあだ名で呼びだした。
「か、かすみん?」
当然岩倉は驚いた表情を見せたが、
「それいいですね岸和田さん!」
「あ、凛花でいいよ〜」
「は、はい、凛花さん」
女子たちはわいわい話している。
「女子たち楽しそうだな〜、佐伯。」
「う、うん」
「どした?緊張してるのか?」
「ま、まあ、みんなほとんど話したことない人だし…、」
「そんなん気にすんな、仲良くしようぜ!」
「あ、ありがとう」
みんなノリよすぎるでしょ。
俺にはそんな芸当できないぞ。
まあそんなこんなで入店、俺たちはボックス席に座った。
「それにしても、まさか3人がクラスメイトだったなんてね〜」と岸和田。
「な、こんな偶然あるんだな!」と清水。
「私もびっくりしましたよ。」と岩倉。
「お、俺も」とほぼコミュ障みたいな俺が言う。
そんな感じでその日はマリクラの話をたくさんした。
あとみんなでラインを交換して、いつでも設計図とかを共有できるようにした。
同級生の女子のラインなんて入れるのは初めてだ。ちょっと感動。
日が傾き始めた頃、俺たちは別れた。
久しぶりに同級生とたくさん話した。
その日は正直楽しいと思った。
バスに乗って家に帰る。いい気分で。
マリクラであそこの装置はどういう仕組みにしよう?とか考えながら帰宅した。
___________
その日も俺たちはマリクラをした。
それに初めてVCをつけた。
『か〜すみ〜ん、あっちはどうすんの?』
『あっちは〜、設計図ラインで送りますね!』
『ありがとー!』
こんな感じでわちゃわちゃしてる。
和んだ空気の輪の中に久しぶりに入れた。
俺はその事実にただひたすら泣いた。感動した。
『さ、佐伯もしかして泣いてる?』
清水が心配してくれた。
「あ、ああ、大丈夫だよ、ありがと清水。」
これからが少しだけ楽しみだ。
あ、勿論ゲーム内でのことが楽しみだ。
まあ現実は、そう甘くは無いだろうな…(泣)
スキル(?)「学年の陽キャたちとの華々しい日常を送る」を何故か陰キャぼっちの俺が獲得した。が、クラスからの目線が非常にこわい。 とんとん @llltontonlll
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