スキル(?)「学年の陽キャたちとの華々しい日常を送る」を何故か陰キャぼっちの俺が獲得した。が、クラスからの目線が非常にこわい。
とんとん
序章 オフ会
第1話 オフ会の約束
「俺はこっちで作業するんで、そっちの建築お願いします、っと。」
俺は少し薄暗い部屋で一人作業をする。
いや正確には画面の向こうのフレンドと作業をしている。
俺は高校2年、佐伯隆俊(さえきたかとし)。
学校では、the・陰キャといった感じだ。
別に俺は学校生活に大きな不満は抱いていない。
少し気味悪がられるだけで、別に誰も話しかけてこないし、いじめとかそういったものの対象にもならない。
おかげで平穏な毎日を過ごしている。
そんな俺の夜は、「マリクラ」というゲームでフレンドと作業や冒険をすることが習慣となっている。
ー了解!
チャットにはそんな文字が流れていた。
現実とは違って俺はこのゲーム内では頼りにされている(少し不満だが。)。
要因は単純、このゲームのセンスがあるからだ。
ゲームで俺は blue sky 通称ブルスカと名乗っている。
この名前を名乗ったのは、決めようと思ったときに窓の外に綺麗な青空が見えただけ、ただそれだけだ。
ゲーム内で俺とよく関わるのは、takotakoさん、KOkkoさん、そしてtanoさんの3人だ。
ーtakotako:そういやあっちはどうします?
ーtano:そっちは東側の塔と同じような感じになるようにお願いします。
ーtakotako:了解です!
俺たちよく4人で活動している。
takotakoさんは、作業が得意で設計図さえあれば一瞬で装置や建築を完成させてくれる。ちなみに男性らしい。
KOkkoさんは、戦闘や資材集めなどと言ったことが得意でいつも助かっている。ちなみに女性らしい。
tanoさんは、建築のデザインを考えるのが得意でセンス抜群。ちなみに女性らしい。
当の俺は装置を作るのが好きで、よく建築物にギミックを加えたりしている。一応言うが男だ。
そんな俺たちは今日も作業をしている。時期的には梅雨が終わったくらいだ。
城を今はみんなで協力して作っている。一度、誰も見たことないような豪華なお城を作ろう、といった話になったのだ。
___________
それは作業中のことだった。
俺はお城のセキュリティ装置的なのを作っていた。
ーtakotako:そういえばなんですけど、
ーblue sky:?
ーtakotako:俺たちもう少しでフレンドになって3年くらいじゃないですか?
ーKOkko:もうそんなたったんですね〜
ーtakotako:それでオフ会とかで会えたらなーって、
オフ会かー、確かに少ししてみたいなー
ーtano:あー、確かに会ってみたいんですけど私高校生であんまり遠くには行けなくて…
ーKOkko:私も高校生だからなー…
ーblue sky:俺も高校生。場所によるな、ちなみにオフ会には賛成だ。
ーtakotako:俺も高校生、みんなどこに住んでるんすか?
ーKOkko:私は埼玉県の◯△市だよー
ーtakotako:え、俺もだ
ーblue sky:奇遇だな、俺もだ
ーtano:え?みんなもそうなんですか?
どうやらみんな同じ市に住んでるらしい。とんでもない奇跡だ。
ーtakotako:うーん、じゃあ◯△駅前の「喫茶店ぽわる」でいいすか?
そこは地元では有名な喫茶店だ。少しおしゃれで、俺には似合わないような場所だ。
ーKOkko:私はいいよ!
ーtano:私も行きます、そこ行ってみたかったですし、
ーtakotako:ブルスカさんは?
ーblue sky:うーん
ーtakotako:どうして迷ってるんすか?
ーblue sky:いや、俺には似合わない店だから…
ーtakotako:そんなん別にいいすよ、みんなで集まりましょうよ、
ーblue sky:うーん、じゃあ行きます!
ーtano:ついにみんなと生で会えるんですね!
ーKOkko:ね、楽しみだよ〜
ーtakotako:だな、日にちは次の日曜でいいか?
ーKOkko:いいよ〜
ーtano:了解です!
ーblue sky:了解!
ーtakotako:じゃあ、決定だな!
そんなこんなでオフ会をすることになった。
みんなと会うことに緊張を覚えた。
ま、頑張るか、
内心、次の日曜日が楽しみでもある。
「この日くらい、髪をきっちり整えて、服もしっかりするか」
どんな人なんだろ?
そんな疑問を抱えながら俺はゲームを終え、眠りについた。
___________
次の日の朝。
俺はいつも通り、
「ちょっとお兄ちゃん、早く起きなよ。」
部屋に勝手に侵入してきた妹にたたき起こされていた。
「…ああ、わかったよ、起きるって。」
「もう。」
「てか、またお前侵入してきたのかよ。」
「お母さんに起こせって言われたの!」
「…」
母さん、頼むからこいつを俺の部屋に入れないでくれ。
プライバシーというものがあるだろプライバシーが。
ちなみに妹の名前は佐伯由美香(さえきゆみか)。
中学2年生で、最近、俺に少し反抗的な態度をとってくるようになった。
「母さん、もう由美香を俺の部屋に連れてこないでくれ…」
「でもそうしないとあんた起きないでしょ?」
「っう…」
机には朝ごはんが並んでいた。俺は机に腰掛けお箸を持った。
「いただきます」
今日のメニューは、目玉焼きにお味噌汁にご飯、至って普通の朝ごはんだ。
ごはんを食べ終え、俺は台所に食器を持っていた。
そして、歯磨きをし、服を着替えて、かばんを持って玄関のドアを開けた。
実は今日少しだけ学校が楽しみだ。
その理由は、
「もしかしたらあの三人が学校にいるかもしれないんだよな。」
そう、あの三人が俺と同じ学校の可能性もあるのだ。
誰なんだろう?と妄想が膨らむ。
そんなことを考えながら今日は学校に向かった。
___________
学校は楽しみだった半面、授業は退屈だった。
今は数学の授業。正直意味わからん数式が黒板に羅列してある。
「ふわぁぁぁあ…」
眠い。くそほど眠い。
でも寝たら先生に注意される。
クラスからのあのきつい視線を浴びるのは嫌だ。
だから、必死に睡魔と戦う。
「佐伯くん、ちゃんと寝てる?」
隣の席の女子が心配してくれた。
「っえ?あ、あ、えっと、その、だ、大丈夫です。」
「それはよかった。」
隣にいるのは学年一の美女とも呼ばれる女子だ。
俺には到底及ばない存在。
誰にも優しく接してくれて、何かあると気にかけてくれる。
そんな彼女に心を惹かれる男子は多数いる。
それにしても授業の時間長いな。
早く終わんないかな。
「…」
気づかないうちに睡魔が俺を襲って、
俺は寝てしまった。
この後先生に注意され、クラスからあのきつい視線を浴びたのは言うまでもない。
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