ここの主人公は超能力もチートも持っていない。代わりの持たされたのは親世代から続くドロドロの因縁と運命、逆境に不運であり、普通の高校生日常ものとも一味違う。
心折設計という言葉が何度も思い浮かぶような状況に陥るが、だからこそ愛情と友情がよく映えており、ジェットコースター式の青春物語であるとも言える。タイムループものではないがその手の物語が好きな人はきっとハマるだろう。
また既に他の方が述べている通り、小説家になろうで完結済み作品のリライト版なので質も量も担保されており安心だ。
3年間の物語の中で一番印象に残っているエピソードはカクヨムでも公開された「第16話 君の手を引いて、暗い森を抜ける」だ。ヒロインのたった一言、それが主人公の心を奮い立たせると共に、完結まで追い続けるぞと私に決意させた名場面。ぜひここまでは一度読み進めて欲しいところだ。
これは現代高校恋愛小説のマイベストと言い切っていい作品。
主人公だけでなくヒロインたちにも過酷な運命と試練が何度も何度も襲い掛かるが、最後まで「負けるな」とあなたの声を届けて欲しい。