子供達は戦い続ける

科学が発展していった果てで魂の在所が突き止められ、
肉体が魂の器にすぎなくなった未来。
特別な戦闘能力を持つ子供達が、天空都市を守るため、
地獄の底から襲い来る悪魔と戦っています。

そんな戦いの中で保護された謎の子供、ノクス。
ノクスは味方か、はたまた敵か……?

とっつきづらいと思った人は第6話まで読んでみてください。
ノクスの心の内が明かされるあたりから物語が動き出し、
子供達がどういうつもりで戦っているのかがだんだん分かってきますよ。

作品ジャンルはタグにもあるとおり異能力バトルもので、
要するに、かっこいいキャラがかっこよく戦う姿の描写がメインディッシュですが、
凡百の素人ラノベみたいな「なんとなく強い」「主人公だから特別な能力が使える」では満足できず、
キャラクターの戦闘能力に詳細な裏付けがほしい、強キャラには能力相応のリスクがほしい、といった、
しっかりした作中設定をお求めの読者さんにおすすめです。

また、中盤までに登場した設定や伏線をフル活用し、
総決算としての最終決戦(それでも敵の攻勢を一時しのいだだけですが)が描かれる第三章は、
まるで、プロが書いたSF小説の終盤で作家がラストスパートをかけてきたときに似た、
「ウオオこの俺様の頭脳の回転速度についてこい!!」と言われているかのような感覚をおぼえ、
とても読み応えがありました。

レビュアーも一から十まで理解できたとは言い難いですが、
本作をちゃんと読みたい方は、入門書でもいいので、
ダンテとアインシュタインとラヴクラフトぐらいは予習しておいたほうがいいと思います……。