第3話 ゲームセンター



(トントン ドアをノックする音)


「ケン君おはようーっ」


「ケン君? ケン君ー?」


「起きてるー?」


(トントン ドアをノックする音)


「ケン君ー?」


(ガチャ ドアの開く音)


「おはよう、ケン君」


「はい、おはようございます」


「今日はね、ゲームセンターに行こうと思うよ。お小遣いたくさん持った?」


「え? 2000円? 中学生なら上出来だよ。私も出すから安心して」


「準備できた?」


「そう、じゃ出発進行ーっ!」



//////



(駅前のゲームセンター)


「着いたね、ケン君。まず何から遊ぶ?」


「ん? UFOキャッチャー? OKっ!」


「んーどれがいいかなあ、」


「ケン君はどれがいい?」


「これ? 『小さな森のどうぶつ』のうさぎだね。可愛いの好きなんだね」


「そうだね、大きいね。100円で獲れたらたいしたもんだよー」


「UFOキャッチャーは正攻法では獲りにくいみたい。こう紐に引っ掛けるみたいな技が必要らしいよ」


「え、関係ない? ケン君らしいね」


「じゃ早速やってみよう♪」


(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)


「1番ボタンはいい位置じゃん 後は降ろすだけ、レッツゴー」


(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)


「お、おお、おおおおおおおおおおおおーっ!」


(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)


「あと少しだよっあと少しっ 落ちるなよー……」


(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)

(がこん うさぎぬいぐるみがアームから落ちる)


「う、あ、だめか……」


(ぽよーん うさぎぬいぐるみがバウンド)


「え?」


「ええ?」


「ええええええええええええーっ!」


(がこん うさぎぬいぐるみが出口に)


「う、うそっ! ケン君凄いよっ! 一発じゃんっ!」


「可愛いね。ちいもりのうさぎ」


「うん?」


「え、くれるの? ほんと? ありがとっ!(嬉)」


「じゃあ、私もちいもりのねこのぬいぐるみにチャレンジするね」


(100円投入)

(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)


「よ、よーし 1番ボタンは大丈夫」


(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)


「あとは掴むだけ……」


(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)


「そのまま、そのまま……」


(トゥルトゥルトゥルトゥル UFOキャッチャーのアームが動く音)

(がこん UFOキャッチャーのアームからちいもりのねこのぬいぐるみが出口手前で落ちる)


「落ち、た……」


「出口に落ちてよ……」


「お、お姉さん、もう一回頑張っちゃうよーっ!」


(100円投入)

(トゥルトゥルトゥルトゥル 以下略)


「よし、ここまではOK」


(トゥルトゥルトゥルトゥル 以下略)


「よし、掴めたっ!」


(トゥルトゥルトゥルトゥル 以下略)

(ぱさっ ちいもりのねこのぬいぐるみが出口に落ちず)


「だ、ダメなの……」


「もう少しなのに……」


「え? ケン君が? いやでも私が一人で獲りたいわ」


(100円投入)

(失敗)

(100円投入)

(失敗)

(100円投入)

(失敗)

(500円投入)

(全失敗)

………………

…………

……


「ケン君、ごめんね」


「え? 謝らなくていい? ありがとう、ケン君」


「私、もう8割くらいお金を使っちゃったよ ケン君と太鼓の名人とかプリクラとかやりたかったのに~」


「え? ケン君が出してくれる? ありがとうっ! 今日のケン君、かっこう良く見えるよ」


「それでは太鼓の名人をやるドン(笑)」


「スタート?」


「『star』っと ね(笑)」


「ケン君、太鼓の名人は久しぶり? そう 

私も久しぶり。好スコアいけるかな?」


「そうだね、頑張ろ」


(『star』のメロディ 弾けるドンドンドンカッ)


「ケン君上手ーっ! スコアで負けちゃったよー(泣)」


「次は『君が好き』、ね 頑張るよーっ!」


(『君が好き』のメロディ 弾けるドンドンカッドンドンカッ)


「いやー、また負けたーっ ケン君上手だなあ。プロゲーマーになれるよ」


「え? 将来はお金持ち女性のヒモになりたい? 若いのに、、 お姉さんじゃダメなのかしら?」


「冗談よ冗談(笑)」


「ケン君も本気にしないのーっ(笑)」


「え? 少し本気? そ、そう 」


「でも、ケン君には相応しい女性がきっと現れるわ」


「その時まで、ね、」


「え? そうね、プリクラ撮りましょ。最近のは加工ができるみたいなのよね~」


「加工しなくても綺麗? もう可愛いんだから、なでなで」


(プリクラボックスの中)


「とりあえず撮りましょうか。そのあと加工ね」


(ぱしゃ 撮影)


「へえー、いろいろあるんだなあ。私は少し綺麗に(苦笑)」


「ケン君は?」


「格好良く? 了解」


「あ、ハートも付けられるよ、どうする?」


「え? いいの? ありがとう(嬉)」


「では印刷ね」


(ジィー 印刷完了)


「うん! 上出来! 早速スマホケースに――」


「え? 恥ずかしい? じゃぁ、そのまま大切の持って置くわ」


「ケン君も大事に持ってて」


「うん、ありがとっ」


(二人 ゲームセンターを後にする)

(ぴょん 大きなうさぎのぬいぐるみが袋から耳を覗かせていた)



//////



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