第6話 1年後



(トントン ドアをノックする音)


「ケン君ーっ! おはよっ!」


(ガチャ ドアを開ける音)


「いつも通り早起きだね」


「え? 私が毎日しつこいから目覚まし代わり? もうっ」


「え? もう毎日部屋に来なくてもいい? 引きこもりを卒業したから?」


「ふーん。お姉さん寂しいよー」


(いーこいーこ♡)


「こーら、お姉さんをからかうんじゃない(笑)」


「今日は学校でしょ?」


「うん、頑張って」


「バスケ部も始めるの?」


「そう、なんか別人だね」


「1年前とは大違いだよ」


「あ、私も高校の準備しなくちゃ。着替え見ないでよね?」


「見ないって?」


「中学生ってそんなもんかなあ(笑)」


「途中まで一緒だよね。一緒に行こ?」



//////



(通学路)


「正直な話、ケン君、私のこと好きだったでしょ?」


「え? 分からない?」


「えー うそん そんなわけないよ。ぜーったい私のこと好きだったよね?」


「もう、照れ屋さんなんだから」


「でも今、こうしてケン君と一緒に居られるのはやっぱり嬉しい。これは本当に」


「それにさ」


「ケン君は分からないかもしれないけど、私……」


「ケン君のこと好きだったんだ」


「でも今は他の男の子が好きになっちゃった」


「家族に戻れて良かった。だからこそケン君とは、ね」


「中学生だから分かるでしょ? もう」


「でも今日は一瞬だけ恋人になってあげる」


「私たちはこれまでもこれからもずっと一緒、ね」


「ちゅっ♡」



The End



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【第3回G’sこえけん】引きこもりの僕が姉さんとだけ外出する理由 ~僕にとっての癒やしのひととき~ とろり。 @towanosakura

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