第7話 炸裂!!!闇晴らす冒険の一撃!
ギロッ
洗脳ルルハ「レ…イン…」
レイン(来る!)
スッ
レインはルルハのトップスピードで
あろう速度を目の当たりにする
本当に一瞬の出来事だった
魔法印の上に立っていたルルハは
音無くレインの右斜めに突如として現れた
レイン(嘘だろ…何で居るの!?…)
次の瞬間ルルハの風を割く蹴りがレインの
頭に向けて放たれた
パアンッ
レイン「うっ」
レインは魔法壁を張っていたのと咄嗟に
腕へ魔力操作による魔法壁強化を施し頭への
攻撃を防いだ為何とか攻撃を持ちこたえる
だがそれはルルハにとってはなんて事ない
一撃、これを連発されたらひとたまりもない
レイン(考えろ…早く解決法を見付けないと
絶対に殺られる…あの蹴りにルルハの意思は
感じられなかった…完全に殺す為の一撃…)
だがルルハは考える隙を
与えてくれそうに無かった
レインが体制を整え次に備えようとする
と同時にルルハの拳がレインに向けられる
レイン(これなら加速魔法で充分対応出来る)
レイン「うおっ」
レインはルルハの拳をスレスレで回避した
レイン(よし!ギリギリだけどなんとか…)
しかしその安心はルルハ本来の
狩りのスタイルを知らぬ故のもの
すかさずルルハは傾いた体制の
レインに強烈な横蹴りを浴びせる
レイン「くっ…」
レイン(この状態…回避も不可能…そして
魔力操作も間に合わない…このままじゃ…)
瞬間レインの脳内に
冒険に出た発想が浮かぶ!
それには流石に洗脳状態のルルハも
一瞬目を丸くした
洗脳ルルハ「ん!」
なんとレインはまだろくに扱えない風魔法を
完全無詠唱で地面に向けて放ったのだ
ボヒュゥーーッ
レインの放った魔法は暴発した……
否…レインは暴発させたのだ!
2人はお互い20m程の距離吹き飛んだ
洗脳ルルハ「うがァ!」
ズザーーーーッ
レイン「うっ…痛い…いやそんな事
言ってる場合じゃない…」
レイン(ちょっといい案だと思ったけど
だいぶ体制を崩した、だけど代わりに
距離も出来た………)
スッ
レイン「え…」
立ち上がろうと前を向いたレインの目の前
にはルルハの膝があった
パァン
レイン「アア゙ア゙ア゙アアア!!!!」
レインは顔面に蹴りを魔力操作に
よる魔法壁強化なしでくらう
蹴られた場所から30mほど先にふっ飛んだ
レイン「アア゙ア゙ア゙ア゙……」
レイン(痛い、痛過ぎる…これは血か…
まずい…ここで意識失えば確実に死ぬ思ったよりも体制を立て直すのに時間がかかり過ぎた…早く!次を考えろ…)
レインは倒れ込んだまま
必死に脳を回転させた
レイン(このまま自力で起き上がろうとしてもさっきと同じ目に合うだけ・・・は!何故
僕は気が付かなかったんだ洗脳魔法を術者が
近くに居ない状態で普通発動出来るわけがないじゃないか、であるとすればあの水晶か…この位置から窓は見える!一か八かでもやるしかない!やらないと死ぬだけだ!)
ルルハは今も向かって来ている
レインは痛みを堪えながら上辺を向いて
倒れ込んだ状態で片方の腕を突き上げると
もう片方の手を地面に伏せて唱えた
レイン「スパーク!」
するとレインの突き上げた手から眩い光が
発せられた
レイン(ここから!)
レインは更に伏せた左手で風魔法を放った
ボンッ
レインの体は宙を舞うそして光を纏った
右手は更に発光を増す
目が眩んで混乱しているルルハが一瞬見える
レイン(よし、上手くいってる…次!)
レインは窓のカーテン越しに家の中を見た
レイン(本来僕の目だとカーテン越しに中を
見れない…だけど光照らされ影の浮き出た
今の状況ならそれが可能!)
レイン「見えた!」
レイン(右から3番目の窓越しに村長が水晶を
持つ影…最後だ!歯ァ食いしばれぇ!!)
レインは自分子心に喝を入れると風魔法を
暴発させてその勢いでその窓向けて自分を
吹っ飛ばした
そのままレインはガラス窓に突っ込んだ
ガシャバリーーン
レイン「くっ、うがぁ…」
レインが突っ込んでくるなど知らない
洗脳された村長は驚きその拍子に持っていた
水晶を落とした
洗脳村長「ひぃぃぃ!」
ピキッ
レイン「うっく、割れた……?うっ!」
レイン(割れて…ない…ヒビが入っただけだ
でも込められた魔力は漏れだしてる………
そうだ!ルルハ達は……)
洗脳村長「ひぃぃぃ〜!!」
レイン(変わりなし…)
スタ スタ スタ スタ
洗脳ルルハ「レ…イン!!」
レイン「ル…ルハ…」
レイン(もう、1歩も動けない………)
洗脳されたルルハが拳を構えて振りかぶる
レイン(はぁ…諦めたく無かったな………
もっと生きたかったな……
約束守れなくてごめん…師匠……)
レインはそっと目を閉じた
ぽとっ ぽとっ ぽつ
レイン(何だろう…血かな?……ー)
ぐすっ ぐすん…
レイン(これは…)
気が付くと目の前には泣いている
ルルハがいた
レイン「ル…ル…ハ……」
ルルハ(は!)
ルルハ「レ、レイーーン♪生きてたー!」
ルルハがレインをギュッと抱き寄せる
レイン「いててててっ!!」
ルルハはそれを聞いて慌ててレインから
手を離す
ドタッ
レイン「いってぇーー!!!」
ルルハ「ご、ごめん!」
レイン「全くもう、はぁ…」
ルルハ「ごめんなさい…私のせいで…」
レイン「別に怒って訳じゃないよ…
ルルハ…」
ルルハ「え…」
レイン「いや、ただ思ったのは生きてるって
最高だな〜って事……だよね…ルルハ…
ハハハッ うっ…いったーい!!」
ルルハ「レインは本当におかしなやつだな」
そう言うとルルハはゆっくりとレインの
体を起こしておぶった
レイン「いてててて、もっと優しく持ち上げて欲しいよルルハさん……」
ルルハ「うお、ごめん!痛かったか?」
レイン「あ!ルルハちょっと待って!」
ルルハ「ん、なんだなんだ?」
レイン(魔法印は……よし、しっかり
効力切らしてるな……後は……)
レイン「ルルハちょっと右向いてくれる?」
ルルハ「こうか?」
ルルハは顔を右に向けて見せた
レイン「いや、ごめん…体ごと右に向いて
欲しいって意味で……」
ルルハ「ああ、こうか」
レイン「おお、ありがとう!それで大丈夫」
レイン(ルルハの洗脳が解けたって事は
村長も解けてるはず……)
レインは顔を村長の方に向けた
レイン「寝てるのかな?」
ルルハ「うっ…」
くらっ
ルルハがふらついた
レイン「うおっ、ルルハ!大丈夫?」
ルルハ「うん、なんでもないよ!」
レイン(ルルハはこう言ってるけど、実際
この洗脳魔法は使用された側もダメージが
かなり大きいみたいだ…)
レイン「ルルハちょっと僕を外に連れて
行ってくれる?」
ルルハ「う、うん…」
レイン(悪いけどあと少しだけだから)
ルルハはゆっくりと外までレインを
連れてきた
レイン「ありがとう!ここまで来てくれたら
大丈夫、降ろしてもらっていいよ…」
ルルハ「うん…」
ルルハは辛そうながらもゆっくりレインを
地面に降ろした
レイン「ルルハ、最後のお願いしていい?」
ルルハ「いいよ」
レイン「僕の荷物からメモ帳みたいなの
取り出して僕の手に握らせてくれない?」
ルルハはレインの荷物の中を探った
ルルハ「メモ帳みたいなやつ、これかな…」
ルルハは不思議なメモ帳を取ると
レインの手に乗せた
レイン「助かるよ、回復したらまた奢っ……
って、あれ……?」
スーー スー
ルルハは疲れて眠ってしまっていた
レイン(まぁ、いいか…)
レインは手に掴んだ不思議なメモ帳を握った
レイン(この囀り帳は師匠に手紙送るのに
使う予定だったけど助け呼ばない訳には
いかないからね…)
レインは囀り帳を握った状態で魔力を
込めながら伝えたい事を頭に思い浮かべた
バサ バサ バサ バサ
レイン(どうやら伝わったらしい…囀り帳は
その文章に乗っかった想いや内容に応じて
最適の場所に飛んでいき知らせてくれる…)
レイン「まか…せ…た」
そしてレインもまた眠りについた……
なんだろう……体が浮いているようで…
揺さぶられている感覚……そして…
誰かが呼んでる気がする……師匠……
「ね……ア…タ……起きなさいってば!」
レイン「わッ!は、はい!いぃ!?」
レインは勢い良く目覚めた反動をくらった
レイン「いったぁ〜、ん?ここ…は?」
周りを見渡すと驚いた顔をした
おばさんが立っていた
レイン「あれ?おばさん…」
おばさんに続きレインも
ポカーンとした顔をする
おばさん「アンタいくらなんでもそんな
勢いで起き上がらなくてもいいのに…
全く、タフな子だよ」
おばさんは少し嬉しそうにそう言った
レインはある事を思い出す
レイン「!そうだ、ルルハは無事ですか?」
おばさん「ああ、あの女の子ならもう
何か食べたいって言って出て行ったよ」
レイン「ははは…そうですか…」
レイン(そういえば獣人族は回復が早いって
言ってたなぁ、それに相変わらずの食欲…
なにより元気そうで良かった…)
すると部屋の外から足音が聞こえてきた
ト ト ト ト ト ト
ガチャ キーーーーコ
ルルハ「おばさん、レインはだいじょ…」
いつの間にか起き上がってる
レインを見てルルハは涙ぐむ
レイン「おはようルルハ♪」
ルルハ「レ、レイン!いつ起きたんだ?!」
レイン「さっき起きたとこだよ」
ルルハ「レイン全然起きないから…」
レイン「ああ、ルルハの膝蹴りはかなり
効いたからね!」
ルルハ「え!?私レインにそんな事
してたのか!?」
レイン「ああ、あれはもう殺す気満々だったよ!」
ルルハ「そうだったのか私…なぁ、私やっぱり1人で妹探すことにするよ!私もう…
これ以上レインを傷付けたくないんだ!」
レイン「何勘違いしてるの、僕の何処が
傷付いてるように見えるわけ?ルルハから
受けた傷なんて一つもないよ♪」
ルルハ「でも、膝蹴りが効いたって…」
レイン「じゃあ、聞くけどルルハは今僕を
本気で殺そうと思ってるの?違うよね♪
これ以上傷付けたくないって1人になる
危ないリスク負ってまで僕を守ろうとしてる
答えなんてそれで充分じゃないかな?」
ルルハ「レイン……」
ルルハは涙を拭うと
ルルハは突然レインの寝る
ベッドにダイブした
ルルハ「レイーーン♪」
レイン「ルルハァ!?いたたたたたっ!」
ルルハ「やっぱ、妹も一緒に見付けうな♪
レ イ ン♪」
レイン「おう!わがったからルルハさん
早く降りて下さ…い」
チーーン
ルルハ「ああ!!またレインが昏睡した!!
レイーーン!!」
おばさん「ルルハちゃん早く降りてぇ!」
宿屋の管理人「静かにしなさーーい!!」
そうしてレインはハチャメチャな
宿屋の一室で療養した
翌日…
レイン「まだ痛みがあるけど動くのに
問題は無さそうです」
おばさん「なら良かったよぉ」
ルルハ「私も頭のグラグラ完全に治ったぞ」
おばさん「2人には感謝してるよ♪」
おばさんはそう言いつつ少し
深刻そうな顔をしていた
レイン「やっぱり村長の事が
気になりますよね…」
おばさん「あれから4日経つけど村長は
まだ目覚めてないからね…」
レイン(やはりあの魔法、脳へのダメージが
大きいみたいだな…数分でもルルハは2日の
療養が必要だった、しかも回復力に長けてる
獣人族なのに、だ…)
ルルハ「あの頭を他の人に操られるような
考えれば考えるほど締め付けられる感覚は
少しの間でもかなり辛かったからな…」
レイン(おばさんから聞いた感じ、村長は
数ヶ月間ずっと洗脳状態だったらしいから
記憶や感情に異常が起きていてもおかしく
ないだろうからね…)
おばさん(この村はこれからどうすれば
いいのかねぇ…)
レイン「んー、もし村長が目を覚ましたと
してもそのまま村長を続けるのは難しいかも
しれませんね……」
おばさん「と言っても村の信頼を失ってる
今、誰が村長をするか…」
その時、ルルハが名案を思い付く
ルルハ「じゃあ、みんなしたくないなら
みんなですればいいんじゃないか?」
おばさん「ん?どういう事だい?」
レイン「……ん!そういう事か!」
おばさん「なんだい!?大声出して!?」
レイン「すみません、いわゆるですね…
みんなで分担して週変わりの係制で村長を
したらどうかという話です!」
おばさん「ま!それなら確かに平等で、
村の管理を皆でするからお互いに意見も
知れて管理が独りよがりになることも無い、確かに今のこの村にピッタリのやり方だわ」
レイン「もちろんこの案で村長の立候補が
あればその人達で係を回すのもありかと」
おばさん「村長が目覚めるまで一旦それで
村を回していく事にしたいわね…」
ルルハ「じゃあ、私 皆に伝えてくるよ」
レイン「心配だからついて行くね……」
レイン達は村の人々に新たな村長制度を
伝えて回った
そして絶望に満ちていた村には
新たな希望の風が吹き始めていた
おばさん「あの子達、大きくなりそうね…」
RAIN-ごくあの空に青は輝く 空猫 海徒 @nennekosensei
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