死判車(しんぱんしゃ)

もっちゃん(元貴)

あの夜の出来事



 深夜、わたしが寝ていたところ、突然!



 『ゴ・ゴ・ゴッ・ゴッ・ゴッーー!!』



耳をつんざくような轟音ごうおんが鳴り響いたのです。


 わたしは、何事かと眠たい目をこすりながら布団から起きました。


 部屋から南にある窓の方を眺めると、淡い光が四つ窓ガラス越しに見えたので、これはもしかしてUFOかな?と一瞬思いましたが、その光が動き始めて、家の前の道路を戦車のキャタピラーのような轟音が通り過ぎていったので、車だと認識したのです。



 わたしは、なぜか見たらいけない物ではないかと怖さを感じたので直接はその車のような物体は見られずにいました。


 その後、わたしの家から数十メートル進んだ先で、轟音や光が突如として消えたのです。


 まるで、ゲートに入ってしまったように!


 翌朝、一緒に住んでる母と父に、このことをいうと、まったく知らないと二人とも言って、夢でも見たんじゃないか?と信じてもらえませんでした。


 たしかに、夢の可能性があるとわたしも思っていましたが、その日の深夜、寝ていたら


『ピーポー、ピーポー、ピーポー』


と音が鳴り、救急車が家の近くで止まるではありませんか!


 その音で、目が覚めたので、自分の部屋の隣にあるリビングに行き、窓から救急車が止まった場所の方をみると、昨日の車が、轟音を上げながら動き始めた付近だったのです。


 その後、救急車で搬送された方がどうなったのか分かりませんが、わたしは身震いがしばらく止まりませんでした。



 どうして身震いがしたのか、それはもちろんあの車が天国に向かう可能性もあるかもしれませんが、四つの光がまるで、火の玉が光っているのではないかと思った点が一つ。


 また、車に関しても、よく思い返したら、キャタピラーの音というよりも、地面に何か固い突起物が刺さるような音という感じがしたので、車の車輪は、棘のようなものが無数にあるのではないかと思った点の二つあるからです。


 その点から、わたしは、あの車のことをこれから、こう呼ぶことにしました。この世とあの世を行き来する−−



      『死判車』と。


   

 

         終


 

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