第2話

教室の時計が、次の授業の時間を告げる音を響かせた。生徒たちは、教科書を閉じたりノートを整理したりしながら、次の授業の準備をしていた。日向一葉とその友人たちは、授業の合間に軽い会話を交わしながら、次の授業に備えていた。


日向一葉は、山鹿亜伊に「今度の音楽の授業、どうしようかな。何か提案ある?」と尋ねた。山鹿亜伊はにっこりと笑いながら、「私たちのバンドの演奏をみんなで見せるってのはどう?楽しいし、みんなで盛り上がれると思うよ。」


高瀬美紅菜が興奮気味に言った。「いいね!それなら、次の授業の前に少しリハーサルもできるし。」


石井壱与香が少し控えめに加わった。「それはいいけど、あまり大きな音は出さないようにね。教室の中ではちょっと難しいかも。」


教室の隅で、中村陽路は静かにノートに何かを書いている。彼女は友人たちの会話にはあまり参加せず、自分の世界に集中しているようだった。その姿に気づいた日向一葉は、ふと気になり、少し距離を置いて中村陽路に話しかけた。


「陽路ちゃん、何してるの?授業の準備?」


中村陽路は驚いたように顔を上げ、軽く笑った。「あ、いえ。特に何か準備しているわけではなくて。ちょっとしたメモを取っているだけ。」


日向一葉は心配そうに見守りながらも、「もし何か手伝えることがあったら、言ってね。」と優しく言った。


その瞬間、河合瑠璃が突然教室に入ってきて、みんなに「昼休み、みんなでどう?」と提案した。教室は一気に賑やかになり、陽路も少し安心したように見えた。


日向一葉は再び仲間たちと話しながら、陽路に少しでも楽しい時間を過ごしてもらえるようにと、心の中で願った。



昼休みの教室は、温かい光が差し込み、賑やかな雰囲気に包まれていた。日向一葉、山鹿亜伊、土肥夏、高瀬美紅菜、石井壱与香の5人は、テーブルを囲んで楽しそうに会話していた。お弁当の匂いが教室に広がり、みんなの笑い声が響く中、心地よい時間が流れていた。


「今日の昼ごはん、夏ちゃんのお弁当が一番おいしそうだね!」美紅菜が言いながら、夏のお弁当を指さした。夏は得意げに微笑みながら、お弁当を取り出した。「ありがとう、美紅菜ちゃん。今日は特に力を入れたからね!」


「夏ちゃんの料理はいつも楽しみだよね。どうやってこんなにおいしく作るの?」亜伊が興味津々で聞いた。夏は少し照れながらも、自信たっぷりに答えた。「特別なレシピなんかはないんだけど、心を込めて作ってるからかな。」


一葉は、そのやり取りを微笑ましく見守りながら、自分の弁当を取り出した。「私も今日はちょっと自分なりにアレンジしてみたよ。」彼女が弁当のふたを開けると、中身が美しく盛り付けられているのが見えた。「見た目もおいしそうだね!」壱与香が感心した様子で言った。


「一葉ちゃん、ほんとに料理上手だよね。私ももっと頑張らないと!」美紅菜が頷きながら言うと、一葉はにっこりと微笑んだ。「ありがとう、美紅菜ちゃん。でも、みんなの弁当も美味しそうだよ。」


「そういえば、今度の文化祭の準備どうしようか?」土肥が話題を切り替えた。「私たちで何か楽しいことを考えない?」彼女の言葉に、みんなの顔が期待に満ちた表情になった。


「いいね!文化祭で何をするか決めるのは楽しそう。」亜伊が目を輝かせながら言った。「何か特別なアイデアがある?」


「うーん、まだ決めてないけど、みんなで協力して面白いことをしたいね。」一葉が提案する。「例えば、手作りのものを作って、皆に楽しんでもらえるようなもの。」


「それはいい考えだね!じゃあ、来週あたりにみんなでアイデアを出し合おう。」美紅菜が賛同しながら言った。「楽しみだね!」

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